ネット投句(2024年2月15日)選句
★印は特選
春泥をこいでよくばりリュック行く | 北海道 | 芳賀匙子 | |
鶯餅おほきな口にのまれさう | 北海道 | 芳賀匙子 | |
墨を磨る音を聴きをる雪明り | 北海道 | 柳一斉 | |
二月果つガザでは果てぬホロコスト | 青森 | 清水俊夫 | |
いちまいのベールのように春の風 | 青森 | 清水俊夫 | |
嫁ぎ来てこの四十年雛飾る | 宮城 | 長谷川冬虹 | |
政界に年に一度の野焼あれ | 埼玉 | 園田靖彦 | |
サキスフォン曲傷だらけ春嵐 | 埼玉 | 佐藤森恵 | |
栴檀の実ようやく落ちて寒に入る | 千葉 | 芦野アキミ | |
青空がおいでおいでと寒紅梅 | 千葉 | 安田勅男 | |
被災地の春待つ心一入に | 千葉 | 若土裕子 | |
幼な子の猫に挨拶春隣り | 千葉 | 青山果楠 | |
曲がりたる能登の線路を春一番 | 千葉 | 谷口正人 | |
おでん酒一駅前で寄る一合 | 千葉 | 木地隆 | |
★ | あかぎれは砲弾の傷より痛し | 東京 | 岡田定 |
北窓を開ければ壱岐よ曾良の島 | 東京 | 神谷宣行 | |
春立つや泣いて飛び出す母の胎 | 東京 | 神谷宣行 | |
すみません母の接頭語寒桜 | 東京 | 長尾貴代 | |
ありがとうはもう言わないで母の春 | 東京 | 長尾貴代 | |
鬼やらひやおら取り出す鬼の面 | 東京 | 楠原正光 | |
忘るまじ元日地震のありし能登 | 東京 | 畠山奈於 | |
下萌にピンクの花を見つけたり | 東京 | 堀越としの | |
東京に大雪の朝征爾逝く | 東京 | 櫻井滋 | |
★ | 浮きが揺れ影また揺れて長閑かな | 神奈川 | 臼杵政治 |
小さき小さき董に会へるまはり道 | 神奈川 | 遠藤初惠 | |
首傾げちよいと手を出し猫の子は | 神奈川 | 遠藤初惠 | |
楽しみは朝桜また夕桜 | 神奈川 | 三浦イシ子 | |
フルートは春の口笛恋を呼ぶ | 神奈川 | 三玉一郎 | |
ぱつぱつと仕付を解く春コート | 神奈川 | 植木彩由 | |
早春の月や角の取れたる父の肩 | 神奈川 | 植木彩由 | |
翠黛の丹沢の嶺々春立てり | 神奈川 | 中丸佳音 | |
豆を撒く父に似しこゑいづこより | 神奈川 | 中丸佳音 | |
みちのべの小花をちこち春立ちぬ | 神奈川 | 藤澤迪夫 | |
千本の梅の遅速を見てまはる | 神奈川 | 片山ひろし | |
ダンボール机に能登の受験生 | 新潟 | 安藤文 | |
地に立ちて大白鳥の重さかな | 新潟 | 高橋慧 | |
凍湖は岸より溶けて日永かな | 新潟 | 高橋慧 | |
★ | 鬼やらひ能登の鬼ども生きとるか | 富山 | 酒井きよみ |
炉あかりや爺のあぐらは子の王座 | 富山 | 酒井きよみ | |
益荒男は能登救援へ春動く | 石川 | 花井淳 | |
熊穴を出で白山が動き出す | 石川 | 清水薫 | |
避難所へたとえ小さくも雛飾り | 石川 | 清水薫 | |
冬木立天を指すもの支えるもの | 石川 | 北村おさむ | |
能登の人あをさ両手に訪ね来る | 石川 | 北村おさむ | |
★ | さてもなほ火を持たせんか春暖炉 | 長野 | 金田伸一 |
ことし又二月の雪が滝と降る | 長野 | 金田伸一 | |
遠来の友と二月の雪見酒 | 長野 | 金田伸一 | |
雪野原狐が通る大浅間 | 長野 | 大島一馬 | |
犬駆ける冬野は草の種だらけ | 岐阜 | 古田之子 | |
鷹二つ金華山上騰翻す | 岐阜 | 三好政子 | |
いちはやきミモザの花の虚空かな | 岐阜 | 梅田恵美子 | |
富士見えぬ富士見峠や冬帽子 | 岐阜 | 梅田恵美子 | |
来春は大吟醸なれ種ひたす | 静岡 | 湯浅菊子 | |
水温む花まんだらの花屋かな | 愛知 | 稲垣雄二 | |
砂浜にガラスの欠片まるく春 | 愛知 | 宗石みずえ | |
鉄塔に作業員あり春立ちぬ | 愛知 | 宗石みずえ | |
ふり向けばもうそこにない冬の虹 | 愛知 | 青沼尾燈子 | |
紅茶の缶早春の空の色をして | 京都 | 諏訪いほり | |
★ | 幾筋かは恋の通ひ路田螺径 | 京都 | 氷室茉胡 |
★ | 水仙のその雪の香を手向けけり | 大阪 | 安藤久美 |
神戸愛し水仙の香は手向けの香 | 大阪 | 安藤久美 | |
戦場に戦車の轍菜の花忌 | 大阪 | 齊藤遼風 | |
義仲寺にいかなる縁菜の花忌 | 大阪 | 齊藤遼風 | |
理念なき政治は滅ぶ月朧 | 兵庫 | 加藤百合子 | |
空港に旧正月の人溢れ | 兵庫 | 天野ミチ | |
ひとの庭ピンクの梅に足留めて | 兵庫 | 天野ミチ | |
鳴きさうに喉の粉散る鶯餅 | 兵庫 | 藤岡美恵子 | |
姉妹とて道はそれぞれ水仙花 | 兵庫 | 藤岡美恵子 | |
悲しみをポケットに詰め春の海 | 兵庫 | 福田光博 | |
公園の池に薄氷魚の影 | 兵庫 | 髙見正樹 | |
山腹に紅梅の色見頃かな | 兵庫 | 髙見正樹 | |
春暁の人の影ある厨口 | 奈良 | きだりえこ | |
紅白を競ふ梅持つ長者ぶり | 奈良 | きだりえこ | |
★ | 北陸の女の指に水温む | 奈良 | 中野美津子 |
斑雪蹴りながら行く子供かな | 奈良 | 中野美津子 | |
春寒の市に飛び交う中国語 | 奈良 | 中野美津子 | |
川音や梅の匂ひの谷間より | 奈良 | 田原眞知 | |
囀の千筋もつるる深空かな | 和歌山 | 玉置陽子 | |
切り分けてからくれなゐや乾び鮭 | 和歌山 | 玉置陽子 | |
★ | 痛苦とは生あるあかし春時雨 | 岡山 | 北村和枝 |
春を待つ俳句に命支へられ | 岡山 | 北村和枝 | |
下萌ゆるはずの地面のなかりけり | 岡山 | 齋藤嘉子 | |
薄氷やわが掌になじむ花鋏 | 広島 | 森恵美子 | |
みすずの忌春の海鳴り遥かにす | 広島 | 森恵美子 | |
地震戦さ力いっぱい豆を撒く | 広島 | 鈴木榮子 | |
囀や小澤指揮するレクイエム | 長崎 | ももたなおよ | |
サンマルコ広場に春がきて踊る | 長崎 | ももたなおよ | |
★ | 百の春死ぬることさへ母忘る | 長崎 | 川辺酸模 |
今覚めし大地に一人麦を踏む | 長崎 | 川辺酸模 | |
★ | 春大根提げて和尚は歩行禅 | 大分 | 山本桃潤 |
酒汲んで転ぶ一茶や春の月 | 大分 | 山本桃潤 | |
大空にひらくる河口初雲雀 | 大分 | 竹中南行 |