ネット投句(2024年1月15日)選句
★印は特選
★雪嶺の襞を深めて青き空 | 北海道 | 柳一斉 | |
婆様とかばかりの火鉢なでしかな | 北海道 | 芳賀匙子 | |
えんぶりの舞のはじまり頭振り | 青森 | 清水俊夫 | |
人日や生きざま老ひざま死にざま | 青森 | 清水俊夫 | |
さざんかや君の笑顔と四十年 | 宮城 | 長谷川冬虹 | |
この齢あらひざらひに初日記 | 埼玉 | 園田靖彦 | |
火の女神くねりくねらせどんどかな | 埼玉 | 園田靖彦 | |
★年玉でもの買ふときの嬉しさよ | 千葉 | 谷口正人 | |
静けさに弓弦のうなる弓始 | 千葉 | 安田勅男 | |
老犬に毛布被せる夜寒かな | 千葉 | 青山果楠 | |
★我知らぬ母の話を女正月 | 千葉 | 池田祥子 | |
旅先の子より届くや金目鯛 | 千葉 | 池田祥子 | |
居眠りの母美しき炬燵かな | 千葉 | 麻生十三 | |
股引の伸びたるゴムや老いの春 | 千葉 | 麻生十三 | |
★元日や戻り来たりし旅の龍 | 千葉 | 若土裕子 | |
安定剤飲みてより不安やウメモドキ | 東京 | 長尾貴代 | |
おはようとサザンカに言ふ空の青 | 東京 | 堀越としの | |
水仙や灯台の白波の白 | 東京 | 櫻井滋 | |
美しき雪は悲しや震災地 | 神奈川 | 伊藤靖子 | |
正月は大嫌いだったと女同士 | 神奈川 | 遠藤初惠 | |
かの一日忘られてあり古暦 | 神奈川 | 三浦イシ子 | |
風花や炬燵に老いる猫と母 | 神奈川 | 松井恭子 | |
姉の声妣と紛ひぬ初電話 | 神奈川 | 中丸佳音 | |
黙契を交はすがごとく春を待つ | 神奈川 | 島敏 | |
年立つや地震の一撃食らひけり | 神奈川 | 片山ひろし | |
奥能登の余震の続く寒さかな | 神奈川 | 片山ひろし | |
どの蓮も枯れて折れたる影ばかり | 神奈川 | 片山ひろし | |
★大佐渡の不機嫌な空ふゆごもり | 新潟 | 安藤文 | |
大雪をものともせずにどんどかな | 新潟 | 安藤文 | |
どんど焚くはるかに能登をおもひつつ | 新潟 | 安藤文 | |
雪晴間ひねもす響く雫音 | 新潟 | 高橋慧 | |
森深く名も無き滝の凍りをり | 新潟 | 高橋慧 | |
年立つやわれら地震の上に栖む | 富山 | 酒井きよみ | |
能登一国氷つきたり大地震 | 富山 | 酒井きよみ | |
被災地に追討ちかくる猛吹雪 | 富山 | 酒井きよみ | |
★半壊の蔵動き出す寒造り | 石川 | 花井淳 | |
能登杜氏の静かな不屈寒づくり | 石川 | 花井淳 | |
先づ地震の暮らし問ひあふ初句会 | 石川 | 松川まさみ | |
いま何が吾にできるか能登は雪 | 石川 | 清水薫 | |
連絡の未だとれずに能登凍つる | 石川 | 清水薫 | |
数え日の女は人を寄せつけず | 石川 | 北村修 | |
一段を登りてあらた初景色 | 石川 | 北村修 | |
大島をどうだどうだと爺の春 | 長野 | 金田伸一 | |
背の順のいつかなだらかお年玉 | 長野 | 金田伸一 | |
大地震や日ごと荒れゆく餅の肌 | 長野 | 大島一馬 | |
荒れ野越え荒れ田を越えて除夜の鐘 | 岐阜 | 古田之子 | |
元日や地震警報けたたまし | 岐阜 | 三好政子 | |
初鏡かすれし眉に墨ひかむ | 岐阜 | 梅田恵美子 | |
褞袍着てジュリアン/ソレル死するまで | 愛知 | 臼杵政治 | |
投句面ばりばり披く冬の朝 | 愛知 | 臼杵政治 | |
叱られて初泣きすぐに初笑ひ | 愛知 | 臼杵政治 | |
九十九里一気に掃ひからっ風 | 愛知 | 宗石みずえ | |
老夫婦の諍ひのそば犬の冬 | 愛知 | 青沼尾燈子 | |
冬の朝歩む老犬老夫婦 | 愛知 | 青沼尾燈子 | |
たれかれの誕生日まず初暦 | 京都 | 諏訪いほり | |
残り福まだあるかしら我が余生 | 京都 | 氷室茉胡 | |
檜屑投げ入れ杣の初湯かな | 大阪 | 安藤久美 | |
陶製の古き湯婆も果大師 | 大阪 | 木下洋子 | |
★目出度さは髭の先まで飾り海老 | 大阪 | 澤田美那子 | |
鉛筆の音もしづかに初句会 | 大阪 | 澤田美那子 | |
日の丸にアイロンあてし開戦日 | 大阪 | 齊藤遼風 | |
★かすむ眼の整うてゆく初景色 | 兵庫 | 加藤百合子 | |
哀しみの疾走するや夜の雪 | 兵庫 | 魚返みりん | |
心地良き初湯に長居妻の声 | 兵庫 | 高見正樹 | |
病室のベランダに二羽寒雀 | 兵庫 | 高見正樹 | |
この胸の焔燃やせよどんど焼き | 兵庫 | 福田光博 | |
姉は山茶花妹は寒椿 | 奈良 | きだりえこ | |
締納めこの世大事と思ふかな | 奈良 | きだりえこ | |
けふもまた汚されてゆく根雪かな | 奈良 | 中野美津子 | |
歌留多切る母の手子らを釘づけに | 奈良 | 田原眞知 | |
床擦れの身を持てあます冬の夜半 | 岡山 | 北村和枝 | |
下手くそな垣直しては冬籠 | 岡山 | 齋藤嘉子 | |
春を呼ぶ音や火の粉やどんど焼 | 岡山 | 齋藤嘉子 | |
あるだけの毛布送らむ被災地へ | 広島 | 森恵美子 | |
有難や大寒に出る蛇口の湯 | 広島 | 鈴木榮子 | |
初鏡母の長着に義母の帯 | 長崎 | ももたなおよ | |
粥柱弱気の虫も払ふべく | 大分 | 竹中南行 |