| 重ねゆくこころの月や望の月 | 北海道 | 芳賀匙子 |
| うそ寒や要のゆらぐ大八島 | 石川 | 密田妖子 |
| 爽やかや無用の用を追ふ学者 | 長野 | 金田伸一 |
| 打ち延べて鋼の一句水の秋 | 大阪 | 安藤久美 |
| ゑのこ草風に必死の種こぼす | 大阪 | 澤田美那子 |
| 死ぬ時も五七五や零余子飯 | 奈良 | きだりえこ |
| 重ねゆくこころの月や望の月 | 北海道 | 芳賀匙子 |
| うそ寒や要のゆらぐ大八島 | 石川 | 密田妖子 |
| 爽やかや無用の用を追ふ学者 | 長野 | 金田伸一 |
| 打ち延べて鋼の一句水の秋 | 大阪 | 安藤久美 |
| ゑのこ草風に必死の種こぼす | 大阪 | 澤田美那子 |
| 死ぬ時も五七五や零余子飯 | 奈良 | きだりえこ |
募集句
投 句 当季雑詠2句1組(3組まで)
応募料 1組2句 1000円
大会募集句応募用紙とともに、小為替を同封又は現金書留。※入選句結果を希望の方は110円切手3枚同封のこと。
応募締切 令和8年2月10日(月)当日消印有効
表 彰 太宰府天満宮賞、長谷川櫂賞、日本航空賞
応募先 〒 830-1122 北野郵便局留「太宰府天満宮奉納全国俳句大会」募集句係 上瀧玲子行
入選発表 大会当日 会場にて発表
選 者 長谷川櫂(朝日俳壇選者)、小澤實(「澤」主宰)、稲畑廣太郎(ホトトギス主宰)、川越歌澄(第1回北斗賞受賞)
・俳句大会
日 時 令和8年4月26日(土)9時30分より受付
会 場 太宰府天満宮 余香殿(御本殿に向かって左)太宰府市宰府4丁目7番1号
交 通 西鉄太宰府駅より徒歩5分。※車でお越しの方は周辺駐車場をご利用ください。
吟行地 太宰府天満宮及びその周辺(観世音寺・大宰府政庁跡等)
参加料 1000円(当日受付にて)
投句締切 12時15分(吟行句及び当季雑詠3句)
選 者 長谷川櫂、谷口慎也、古庄たみ子(客員選者)
金子清黙、月溪花代
第1部 11時~12時(於:余香殿)
基調講演 長谷川櫂先生 「おくのほそ道、三つの謎」
第2部 12時30分~16時30分(予定)
第一句座
•藤英樹選
【特選】
荒々と冬の匂ひに抱かれけり 葛西美津子
子育ての日々の遥けき小春かな 萬燈ゆき
ありがたうばかりの母や花柊 関根千方
初鏡九十の覚悟問はれをり 澤田美那子
【入選】
こんなにも仏がおはす柿の秋 森永尚子
冬将軍早よ来て熊を眠らせよ 関根千方
年重ね夫婦は河豚に似てきたる 田中益美
毛筆で届く一筆初時雨 仲田寛子
ストーブやお尻まん丸赤ん坊 田中益美
綿虫やあれが母との最後の旅 萬燈ゆき
けさ冬のローズマリーに青き花 葛西美津子
表札は今も夫の名冬ぬくし 金澤道子
さりながらこの世まばゆし花びら餅 長谷川櫂
肩に落つ白髪払ひて冬に入る 仲田寛子
神のごと富士は立ちたり今朝の冬 神谷宣行
•長谷川櫂選(推敲例)
【特選】
荒々と冬の匂ひに抱かれけり 葛西美津子
翁ゆく時雨るる宇宙果てもなし 神谷宣行
退りゆく日差し大事に干菜吊る 金澤道子
錦木のけさの紅新しき 藤原智子
静かさや人をはなるる浮寝鳥 仲田寛子
【入選】
母の忌や父を招きて湯豆腐に 神谷宣行
スポーツ紙三紙抱へて日向ぼこ 藤英樹
眠りゐる山のかをりか蘭奢待 きだりえこ
着ぶくれて河豚の夫婦の二人かな 田中益美
餅花のゆるる単純老の春 澤田美那子
晴れやかな一日二日惜しみけり 藤原智子
綿虫やあれが母との終の旅 萬燈ゆき
けさ冬のローズマリーに青き花 葛西美津子
柿紅葉一枚のせて柿届く 金澤道子
冬ざれのまつ赤なポスト投函す 葛西美津子
ぽつねんと白鷺一羽冬の川 おほずひろし
冬紅葉狂気の画家の筆激し おほずひろし
毟られし羽毛漂ふ冬の庭 葛西美津子
二十年子ら三人と墓洗ふ 土井頼温
会ひにゆく母いまもあり冬桜 萬燈ゆき
子育ての日々の遥けき小春かな 萬燈ゆき
包丁す弾けさうなる鰤の腹 澤田美那子
しぐるるやざくとえぐれる蘭奢待 きだりえこ
狛亀の甲羅冷たし十三夜 久嶋良子
ありがたうばかりいふ母花柊 関根千方
冬に入る肩の白髪を払ひけり 仲田寛子
九十の覚悟はいかに初鏡 澤田美那子
眺めても着てもうれしき春着かな 関根千方
神のごと富士は立ちたり今朝の冬 神谷宣行
父逝きてやがて十年冬桜 萬燈ゆき
第二句座 (席題:埋火、お年玉)
•藤英樹選
【特選】
永らへて己に包むお年玉 萬燈ゆき
胸中になほ埋火のごときもの イーブン美奈子
お年玉うけとる孫の大きな手 吉田順子
【入選】
一年の無病息災お年玉 きだりえこ
何もかも埋み火にして去りたまふ 長谷川櫂
歳ひとつ天に賜るお年玉 神谷宣行
父母へ詫び状添へてお年玉 きだりえこ
埋火やここに飴山全句集 関根千方
お年玉に添え書きのあるうれしさよ 仲田寛子
•長谷川櫂選(推敲例)
【特選】
歳ひとつ天に賜るお年玉 神谷宣行
舞い降りて鶴は我が田のお年玉 神谷宣行
年玉の袋うつくし懐に 藤英樹
【入選】
埋火にしんと冷えきしひとりかな 葛西美津子
永らへし己に包むお年玉 萬燈ゆき
埋火のまつ赤な命惜しみけり 森永尚子
埋火やここに飴山全句集 関根千方
かんかんと熾る備長埋めけり 葛西美津子
ありがたや子孫曾孫にお年玉 金澤道子
日経新聞11月2日「日曜随想」に「名前をつける話」が載っています。黒田杏子さんや夫婦の姓にかかわる話です。どうぞお読みください。
第一句座
長谷川冬虹選
【特選】
鬼出でよわれと遊ばん大花野 上村幸三
母いまは冬の光となりたまふ 長谷川櫂
俤や一つ二つ三つ望の月 青沼尾燈子
芒原追はれるやうに下りて行く 平尾 福
鵙日和田に突き立てし竿一本 上 俊一
【入選】
そのむくろ枝に戻して法師蝉 服部尚子
生き下手で七十八年夜半の月 青沼尾燈子
ふるさとの墓末枯れてざらざらす 宮本みさ子
秋来るかくるかと待ちぬ秋は過ぐ 那珂侑子
亡き人と語らひながら日向ぼこ 平尾 福
わが塒覗きに来たる朝の霧 平尾 福
一焚きにほろと崩るる子持鮎 長谷川櫂
旧姓は近くて遠し柿を剥く 谷村和華子
家ごとの柿一村の吊し柿 上 俊一
大観の朦朧体や秋惜しむ 石川桃瑪
長谷川櫂選(推敲例)
【特選】
あをあをと酢橘の心作句せん 齋藤嘉子
秋来るかくるかと待てば秋は行く 那珂侑子
人あはれ熊またあはれ冬の里 長谷川冬虹
【入選】
この国をいよよみじかき秋が行く 上村幸三
そのむくろ枝に戻しぬ法師蝉 服部尚子
秋の薔薇夫の丹精また一輪 谷村和華子
秋の波高さ競ひて打ち寄せる 宮本みさ子
葛咲くや荒みて国の荒るる中 上村幸三
今朝冬や猫が飛び乗るキーボード 服部尚子
ハロウィンへ行きそこなひし南瓜かな 武藤主明
作りたし酢橘のかをり立つ一句 齋藤嘉子
岩手山初冠雪と学長日記 長谷川冬虹
【第二句座】 (席題:通草、狐、小春日)
長谷川冬虹選
【特選】
腹の底見せるがごとく通草開く 上村幸三
小春日を繭の如くにまとひけり 及川由美子
一等の札高々と小春空 佐伯律子
あけびの実呵々大笑や新首相 齋藤嘉子
【入選】
小春日や怒らなかつた父のこと 青沼尾燈子
狐の子交じってゐたる隠れん坊 平尾 福
遠くから熊を見てゐる狐かな 三玉一郎
宿酔の脳にしみじみ小春日よ 上 俊一
化かされて狐と山野歩きけり 佐伯律子
銀狐今宵尾を立て月に吠ゆ 石川桃瑪
オルガンを聴きゐる猫や小春の日 平尾 福
動かざる象の耳こそ小春かな 谷村和華子
長谷川櫂選(推敲例)
【特選】
あけび蔓編むは一冬仕事なり 武藤主明
懐かしの瀬音の宿の通草かな 上村幸三
小春日のぬくき日差しは妻ならん 青沼尾燈子
【入選】
古希過ぎし野性の女通草喰ふ 及川由美子
きたきつねヘッドライトに振り向きぬ 臼杵政治
遠くから熊を見てゐる狐かな 三玉一郎
腑を見せて通草は開きけり 上村幸三
米櫃にあけび埋め置く二三日 宮本みさ子
後悔の傷口ひらくあけびかな 三玉一郎
坐る度老いる二人や小六月 臼杵政治
手から手へ深紫のあけびの実 齋藤嘉子
第一句座
長谷川櫂選
【特々選】
黄金の茶室の眠る枯野かな 高橋真樹子
【特選】
数珠玉をつなぐのこりの命かな 坂口和子
掻き寄せてごの山紅し秋の暮 飛岡光枝
松原に月のみちつつ松露かな 飛岡光枝
ひと山のごに鳴く虫も唐津かな 矢野京子(広島)
【入選】
秋風をまた乗り継いで唐津かな 矢野京子(広島)
抗がん剤うけしばかりの秋の旅 土谷眞理子
色変へぬままに松ある唐津かな 矢野京子(広島)
海風や月と大書の唐津皿 イーブン美奈子
爽やかや茶碗生みだす掌 瑞木綾乃
第二句座
長谷川櫂選
【特々選】
腸の透きとほるほど冬瓜汁 高橋真樹子
【特選】
白紙に松露饅頭露ひとつ 飛岡光枝
母以外誰も作らぬ裂膾 若松節子
【入選】
青竹の冬華やかに竹の庵 矢野京子(唐津)
秋日和眠らせておく登り窯 斉藤真知子
秋深き旅のゆきつく登り窯 矢野京子(広島)
陶片に紅走る初しぐれ 飛岡光枝
(矢野京子さん、同姓同名)
「ユリイカ」「現代思想」の編集長を務めた評論家三浦雅士さんの展覧会「夢の明るい鏡――三浦雅士と1970年代の輝き」が前橋文学館(群馬県前橋市)で開かれています。10月4日から2026年1月25日まで。
私は行けそうにありませんので、行かれた方はご感想を送ってください。
「夜の翼」40句、「俳句四季」(東京俳句四季出版)11月号に掲載されています。ごらんください。
第一句座
当季雑詠
・鬼川こまち選
【特選】
おおつぶの露ひとしづく梅室忌 宮田勝
秋うらら異種争はぬ鳥獣戯画 氷室茉胡
忘られて瓦礫は草に虫の闇 稲垣雄二
月天心動かぬ祖母の足を揉む 稲垣雄二
一すぢの髪秋寂びのくちびるに 松川まさみ
はればれと人声寄り来梅室忌 松川まさみ
み吉野の霜の歯触り菊膾 玉置陽子
ピアノから氷の音のこぼれけり 長谷川櫂
金の鞍探さむ秋のけもの道 駒木幹正
【入選】
梅室忌夜咄の茶を薄くたて 飛岡光枝
死したれば宇宙は消ゆや夕紅葉 土谷眞理子
銀懐炉母は居ませり永へ 山本桃潤
坊守の悲しみのなか梅室忌 土谷眞理子
暫くは月も残りて梅室忌 田村史生
吹き寄せて加賀のらくがん梅室忌 飛岡光枝
心冴ゆるまで墨磨らん梅室忌 玉置陽子
澄みきつた山野を写す朝の露 田中紫春
身を縮め身をゆつたりと冬に入る 趙栄順
俳諧の峠をいくつ梅室忌 酒井きよみ
金沢に句座の継がれし梅室忌 田村史生
ふはふはと侘しきものに蚊の名残 土谷眞理子
放課後の子ら待ちをりぬ猫じゃらし 川上あきこ
亥の子餅母が恋しと並びをり 安藤久美
露けしや受けし告知を妻に告ぐ 氷室茉胡
・長谷川櫂選
【特選】推敲例
白山の氷りはじめや梅室忌 梅田恵美子
研ぎ研がれ珠の句となれ梅室忌 酒井きよみ
湖の吹かれてうごく初氷 安藤久美
亥の子餅母が恋しと並びをり 安藤久美
【入選】
梅室忌こぼれてあそべ菊の露 安藤久美
争はぬ鳥獣の戯画秋うらら 氷室茉胡
蜆蝶小さけれども秋の使者 近藤沙羅
鮎錆びて刃に似たり梅室忌 越智淳子
梅室を菊の露もて修しけり 花井淳
暫くは月も残りぬ梅室忌 田村史生
さきさきとみ吉野の霜菊膾 玉置陽子
吹き寄せて加賀のらくがん梅室忌 飛岡光枝
はればれと人声寄り来梅室忌 松川まさみ
平明に言の葉研がん梅室忌 花井淳
身ひとつの去就に迷ふ夜寒かな 密田妖子
菊切りてしとどに濡るる梅室忌 飛岡光枝
俳諧の峠がひとつ梅室忌 酒井きよみ
金沢に句座の継がれて梅室忌 田村史生
わが庭に群れて今年も藤袴 橋詰育子
金沢の雨音なるや梅室忌 密田妖子
おん墓の苔美しき梅室忌 趙栄順
今朝氷る砥石の水や梅室忌 飛岡光枝
菊日和癌の告知を妻に告ぐ 氷室茉胡
第二句座
席題:「火恋し」、「落鮎」
・鬼川こまち選
【特選】
四万十やいく曲がりして下り鮎 橋詰育子
われに跳ね流されゆくや秋の鮎 藤倉桂
同級生の訃報届くや火の恋し 藤倉桂
月へ日へ流れて鮎の錆びにけり 田村史生
落鮎や雲のすきまの比良比叡 泉早苗
手の皺の深くなりしや火の恋し 藤倉桂
落鮎に我が身を見たる心地かな 近藤沙羅
一尺のくろがねとなり鮎下る 稲垣雄二
【入選】
火恋しガラス細工の少女の手 間宮伸子
子持鮎火の国の川流れゆく 飛岡光枝
落鮎に我が身を重ね死にゆかん 土谷眞理子
まつたりと雨の重さや火恋し 松川まさみ
火恋し使わぬ部屋の二つほど 趙栄順
家族団らんなつかしや炉火恋し 酒井きよみ
火恋し誰とも会はぬひと日かな 泉早苗
落鮎のまだ水にあり山の家 宮田勝
黒く光る不器男旧家や火恋し 田中紫春
・長谷川櫂選
【特選】推敲例
鮎さびて南朝の秋惜しみけり 安藤久美
日と月と遊びて鮎の錆びにけり 田村史生
ぼろぼろの命尽くせり下り鮎 玉置陽子
秋鮎は水の刃を落ちにけり 稲垣雄二
一尺のくろがねとなり鮎下る 稲垣雄二
【入選】
四万十やいく曲がりして下り鮎 橋詰育子
子持鮎火の国の川流れゆく 飛岡光枝
火ひとつ恋しと集う夕べかな 玉置陽子
月の川落ちゆく鮎の影もなし 梅田恵美子
第一句座
•藤英樹選
【特選】
白々と毒を秘めたる毒茸 澤田美那子
早駆けの馬のごとくに秋ゆけり 萬燈ゆき
高輪は坂ばかりなり秋の雨 おほずひろし
新聞のけさの薄さよ秋の風 萬燈ゆき
月探す我が子を抱きどこまでも 藤原智子
秋澄むや旅に出るごと入院す 神谷宣行
【入選】
栗虫は奥へ奥へと栗の闇 葛西美津子
熊のプー友に伝えよ人も友 鈴木榮子
角伐られ一顧だにせず鹿去りぬ 園田靖彦
はしり柚子民宿の湯に五つほど 木下洋子
帰り来る人何人ぞ秋刀魚焼く 藤原智子
一病と折合ひつけて今日の月 金澤道子
山の家浅間山ごと氷りけり 長谷川櫂
秋収め青空一つ残しけり きだりえこ
•長谷川櫂選(推敲例)
【特選】
菊の香や眠りし母はもう覚めず 神谷宣行
日に透ける黄金の羽鷹柱 金澤道子
夢にでぬ母は怒りの鶏頭花 園田靖彦
【入選】
更待月厨の我に上りけり 森永尚子
長船の九寸五分かと大秋刀魚 西川遊歩
東はベランダ西は玄関月今宵 森永尚子
身に入むや波の引く音寄する音 久嶋良子
高輪は坂ばかりなり秋の雨 おほずひろし
露寒や夢で一度も会はぬ母 園田靖彦
新聞も薄くなりしよ秋の風 萬燈ゆき
雲居にて蕎麦刈る人か声きこゆ 澤田美那子
月探す我が子を抱きそこらまで 藤原智子
やうやつと秋の白波由比が浜 葛西美津子
第二句座 (席題:草紅葉、十夜)
•藤英樹選
【特選】
十夜寺に向かう人みな月の中 吉田順子
草もみじ霜を抱きて峰高く 土井頼温
厳かに取り出したるは十夜柿 鈴木榮子
うづくまるシテはさながら草紅葉 森永尚子
【入選】
草紅葉始まる頃か真如堂 澤田美那子
となへれば我も法然十夜かな 神谷宣行
草紅葉子牛の舌に巻かれけり 園田靖彦
そこいらをけさも二千歩草もみぢ 葛西美津子
草紅葉尾の太ぶとと枯ねずみ 佐藤森恵
あたたかき光ともして十夜かな 藤原智子
恐ろしきまでの波音十夜寺 金澤道子
•長谷川櫂選 (推敲例)
【ことのほか】
十夜へと向かふ人みな月の中 吉田順子
となふれば我も法然十夜かな 神谷宣行
うづくまるシテはさながら草紅葉 森永尚子
【特選】
祖母やつと歩けてはまた十夜へと 田中益美
移ろへる恋もありしを十夜婆 きだりえこ
草紅葉夢やぶれたるものの墓 イーブン美奈子
【入選】
ふざけ合ふ声近づき来草紅葉 木下洋子
バス道を渡れば海や十夜寺 金澤道子
ふらふらと出てお十夜の列の中 イーブン美奈子
月山の神も草木ももみづりぬ 藤英樹
十夜粥闇になじめる心にも 関根千方
草紅葉くるりと巻きぬ牛の舌 園田靖彦
われもまた十夜の婆やとぼとぼと 萬燈ゆき
そこいらをけさも二千歩草もみぢ 葛西美津子
いづこより湧きくる人か十夜寺 藤英樹
草紅葉残る一生を清らかかに 神谷宣行
夜更けて冷えや厳しき十夜粥 澤田美那子
あたたかな光のともる十夜かな 藤原智子
雨ふつて草の光の十夜かな 吉田順子
恐ろしきまでの波音十夜寺 金澤道子