古志雪中句会(2月2日、3日)
二月二日一座目
【特選】
隼は真白きこの世睥睨す 光枝
雪の巌熱き大志のごとくあり 善子
碩学や雪の力の大漢和 卯木
【入選】
雪積みて河原の石も眠りけり 光枝
雪国の雪の真中に降ろさるる 一郎
雪椿また一つ咲く雪の中 英樹
白鳥の背中は濡れて春の雪 善子
ざくざくと氷にささる蓮の骨 光枝
立春大吉雪にまみれて竹箒 英樹
地蔵まで雪掻いてあり雪の原 光枝
深閑と五十万語や龍の玉 玲子
しずり雪あびつつ汲まん寒の水 善子
どさどさと雪を落として鬼逃ぐる 英樹
金花糖おかめや鯛や冬ごもり 光枝
一語一語言葉の道の雪深し 玲子
山小屋の氷柱の育つ日和かな 慧
雪国にほがらほがらと春来り 英樹
かうかうと白鳥何をかなしめる 松太
碩学も恋けむ雪の菱ヶ岳 卯木
八木鼻の崖ふきあがる吹雪かな 松太
雪も空も波も重たし鰤大根 美津子
あの雪の山のどこかに今日の宿 一郎
大岩は獅子のごとしや春の雪 善子
綱つけて樏つけて屋根の上 いと子
寒鯉は命一つの静けさに 善子
包丁に静まる雪の光かな 卯木
二座目
【特選】
雪無量感無量なり湯はあふれ 遊歩
雪原を流るる川のごと一生 光枝
その先は神のみのゆく雪の道 一郎
【入選】
熊笹の雪撥ねあげしあと静寂 美津子
花一つ莟が一つ桜漬 善子
山宿のガラス煌く深雪晴 有子
良寛の口の中から春の風 英樹
二月三日一座目
【特選】
雪国は雪どさどさと福は内 英樹
雪解の水の味する洗ひ鯉 一郎
寒の水泥はかせんと鯉放つ 光枝
大陽炎あそんでゐるや雪の上 英樹
女らも雪のごとくに寒の湯に 英樹
【入選】
やらはるる鬼やらふ鬼春の雪 玲子
雪原の真下に眠る鯨かな 一郎
湯の中へ氷の体沈めけり 一郎
雪山の白くまぶしき眠りかな 玲子
雪の村みんなどでかい家ばかり 松太
餅花の鯛の泳げる虚空かな 慧
白鳥の背すべり落つ水の玉 光枝
新潟の雪のにほひの宿やかな 一郎
けふ春のりんりんと鳴れ雪雫 英樹
春の雪叩きてうれし石叩き 英樹
空青く山はま白に春立ちぬ 玲子
八木鼻の上より春の立ちにけり 善子
花びらのごと寒鯉のあらひかな 善子
魚屋の隅のばけつに寒蜆 善子
二座目
【特選】
雪吊を外して自由なる春へ 一郎
白鳥は橇ひきながら天を行く 遊歩
せせらぎはやがて雪代岩魚かな 美津子
神々の楽奏でをる氷柱かな 英樹
【入選】
空と大書雪国に春来たりけり 美津子
寒鯉は星の寝息のごとくあり 一郎
白鳥のなほ灰色の羽や春 玲子
立春やがらがらぽんと玉撥ねし 津子
今朝春の色ほのぼのと金花糖 松太
鷹一羽塩を噴き出す大岩に 光枝
何鳥の声や深雪のかなたより 卯木
人類の日一日と朧かな 英樹