古志鎌倉句会 2018年11月17日
兼題=展宏忌 席題=鯨、大根干し
【特選】
観音は白深々と冬に入る 英樹
魚目逝く勇魚は汐を吹き上げて 英樹
大熊手この世の欲を集めけり 英樹
坊守の声に集まる雪螢 英樹
この寺の綿虫はみな飛天かな 英樹
何来るや花柊のしづけさに 美津子
海恋うて山眠りけり展宏忌 美津子
一つまた一つ知恵湧く木の実かな 秀子
暴れゐて師の掌のなかや展宏忌 宣行
われ老人母大老人大根干す 宣行
いつの間に月の光の水たまり のぶ子
悔い多き酒は熱燗展宏忌 ひろし
大根の鈍感力を身につけよ 凜柚
はるかより冬の口笛展宏忌 一郎
へちまは谷中海綿はギリシア 遊歩
綿虫の重力断つて浮く術よ じろ
心には熾火絶やすな展宏忌 梅子
雀らの来ては鳴きをり一茶の忌 東子
正月にとつておきたや今朝の富士 侑子
紅葉のなか軽々と滝かかる 伸子
【入選】
海に鯨天に太陽と冥王星 宣行
酒呑んで子どもに還る展宏忌 宣行
竿打ちて黄金の柚子を落しけり 宣行
鶏頭を抜きたる穴に焚火かな 秀子
立ちながら炎むらとなりぬ鶏頭花 秀子
美しき柿の命の光かな じろ
酒入りて俳句論議や展宏忌 じろ
玄関の中へと桜紅葉かな 侑子
空港や旅の終りの鯨肉 侑子
頭より鯨仕留めし太き銛 京子
水景の石を洗うて鯨飼ふ 京子
極楽はあるかも知れず冬すみれ 伸子
@この句、「ないかもしれず」よりこちらがよい。
女子大の人気はいかに展宏忌 伸子
縞馬は鬣も縞小春かな 道子
湾の口舟でふさぎて鯨取る 遊歩
遊覧船鯨を先に通しけり 順子
一人鍋するもまたよし鰤起し 佳余子
展宏忌なればこの酒熱くせん かよ
無口なる男と猫と冬ごもり 靖彦
大鍋に花と開きぬ松葉蟹 ひろし
冬の日の光と遊ぶヨットかな 麒麟
訪ねればすぐ通さるる炬燵かな 益美
マスクしてゐるがずいぶん話すひと 凜柚
ヴェランダに食ひ残したる大根干す のぶ子
点滴の管連れ歩く夜長かな 伊豆山
コップ酒コップも熱き展宏忌 英樹