飛岡光枝 says:2012年2月14日 at 7:30 PM
◆俳句の質問 004
雲雀より空にやすらふ峠かな 芭蕉
山焼や夜はうつくしき信濃川 一茶
うすかりし春の虹なり消えにけり 五十嵐播水
切字「や」「かな」「けり」は一句のなかにひとつだけしか入れてはいけないのはなぜですか。
返信
kai says:
2012年2月15日 at 1:48 PM (Edit)
【回答】
切字は1つしか入れていけないということはありません。この問題を考えるにはわかっておかなけらばならないことがいくつかあります。
そのひとつは切字あるいは切れの働き。俳句の切れは文字どおり言葉を切ってそこに間(ま)を作るものです。そのなかで「や」「かな」「けり」のような切れを作るための言葉を「切字」とよびます。
次にここからわかることは切れを作るのはこの3つの切字だけではないということです。名詞で切れることもあれば、助詞の「て」で切れることもあります。芭蕉はすべての言葉が切字だといっています。
もうひとつはそのような切れあるいは切字には強弱があること。「や」「かな」「けり」についていうと、だいたいこの順に強くなります。名詞の切れなどはいちばん弱い部類の切れです。
この3点を理解していれば、質問の答えはおのずからわかります。俳句には切字をひとつしか使わないようにというのは、強い切れを二つ以上入れてはいけないということです。なぜなら互いにぶつかりあって間が成立しないからです。
具体的は「かな」と「けり」を同時に使うことはありません。どちらも強い切字だからです。これに対して、「や」と「けり」はしばしば一緒に使います。「や」は比較的弱い切字だからです。
降る雪や明治は遠くなりにけり 中村草田男
鮎打つや天城に近くなりにけり 石田波郷
こうした句をごらんになれば、おわかりになるはずです。質問の例にあげてある播水の句にも「なり」と「けり」2つの切字があります。このうち「なり」は弱い切れです。このように切れは強弱、めりはりこそが大事なのです。
ただ句のどこを切るか切らないかは理屈で理解してもあまり役に立ちません。ご自分で俳句を作りながら一句一句、言葉の感触で判断してください。
