古志鎌倉句会 2018年7月8日
席題=香水、蜥蜴
【特選】
香水やローマ衰亡かくありき 伊豆山
香水や我に冷たく美しく 麒麟
もうどんな風にも耐へる夏木かな 侑子
香水瓶かたち愛でつつ古りにけり 桃瑪
犬埋めし庭にほのぼの花南瓜 怜
一睡の夢の香水まとひけり 佳余子
易々と人を死なせて泥涼し 幸三
香水を一滴二滴こころにも 梅子
香水のはるかにかをる闇の中 光枝
嘘で嘘なほ固めゆく暑さかな 靖彦
尾を切つて命走るや青蜥蜴 遊歩
動くもの蜥蜴ばかりの野原かな 益美
【入選】
バスタオル誰が誰やら海の家 益美
台風の後サンダルの見つからず 益美
また我を忘れてゐたる金魚かな 麒麟
鳥を呑む蛇の冷たき時間かな 麒麟
桔梗は水をもらひしばかりかな 麒麟
いつまでも暮れぬ海あり海の家 孝予
アカシアの花のさかりを千歳線 孝予
めまひにも似て船の旅夏料理 孝予
きらきらと石に寝そべる瑠璃蜥蜴 梅子
香水や一糸まとはぬその姿 梅子
香水にいささかいはくありにけり 梅子
濁流に願ひの笹を投げ入れよ 光枝
止まりし石ごと灼けて大蜥蜴 光枝
魂のもどるを待つて昼寝覚 幸三
頁からががんぼの足楸邨忌 幸三
香水をつけて別れにゆくところ 凜柚
その奥の景色の歪む香水瓶 凛柚
庭に来て我に親しき蜥蜴かな 祥子
生み終へて仏の顔のひきがへる 祥子
冷房車仮面被つて人並ぶ 久美
大団扇張りてしあげの水吹かん 久美
よく見れば香水の人妻なりき 英樹
人よりもすこやかにあり蜥蜴の子 英樹
すれ違ふあの日の君の香水と かよ
かちわりやスコアブックにKつづく 靖彦
一二滴使ひし香水出てきたる 侑子
母なぞり一日厨の梅仕事 和華子
筋とりの蕗を流しに曲げて置く 秀子
アルプスの水に太りし桃届く 伸子
方丈記にあるごと地震来台風来 順子
空つぽの香水の瓶まだ捨てず 道子
風の神雷の神眠らせよ 一郎
ヨットの帆草そよぐごと水平線 遊歩
香水の小瓶ごときに騙さるる 美津子