東北合同宮城句会(仙台) 2018年7月1日
・長谷川櫂選
【特選】
死の風の吹く日も麦の熟れゆけり 照井翠
夏は風ギンドロの葉の喝采の 照井翠
フクシマの神の栖か雲の峰 宮本みさ子
大西日射すや葉陰のトマトにも 宮本みさ子
而して饒舌なるや玉の汗 佐藤光枝
追憶の誉れの一つ桜の実 佐藤光枝
雑草も我も全力冷奴 佐藤光枝
万緑を転つてゆくボールかな 平尾福
穀象は米投げ出して逃げてゆく 平尾福
針となり新茶となりて香しき 武藤主明
屍より管のびきたる浮葉かな 照井翠
負けるなと神の使はす梅雨鴉 宮本みさ子
【入選】
呼鈴は壊れたるまま半夏生 照井翠
百合の香や夫の忌に読む夫の文 石田てい子
夫の忌と母の忌修し天の川 及川由美子
どなたかな麦藁帽の忘れもの 及川由美子
言ひたきこと猫と言ひ合ふ炎暑かな 及川由美子
追ひかけて子犬を洗ふ夏休み 平尾福
現はるる床の木目の涼しさよ 佐藤光枝
百姓の声の筒抜け柿若葉 佐藤光枝
解体の埃つけたるまま昼寝 宮本みさ子
泣き嗄れて生きるもわが世夕端居 宮本みさ子
川の名も知らず形代流れゆく 甲田雅子
火の山を遥かに桃の袋掛け 武藤主明
正直な野菜が南瓜も冬瓜も 武藤主明
草を引きこの生涯を終はらんか 平尾福
みどりごのよく泣く一日雲の峰 佐藤光枝
屋根灼けて雀踊るや転ぶなよ 宮本みさ子
あめんぼう水の力に押されけり 宮本みさ子
・照井翠選
【特選】
人間は欲よりなれる鰻かな 長谷川櫂
闇くぐる夏越の祓月まどか 及川由美子
蟇兜太のことはもうたくさん 川村杳平
蝉生まるかの郎女の恋の丘 宮本みさ子
火の山を遥かに桃の袋掛け 武藤主明
冬瓜の幽かに眼ひらきけり 長谷川櫂
大蛞蝓煙のごとく消え失せし 長谷川櫂
波乗りは光微塵の渚より 長谷川櫂
白鷺は水の王宮行くごとく 平尾福
【入選】
刺さりゐて水を流るる草矢かな 長谷川櫂
五人ゐれば夢は五つやさくらんぼ 長谷川櫂
十薬や匂ひ絡まる庭の下駄 石田てい子
夾竹桃帰還の父の声のこる 甲田雅子
川の名も知らず形代流れゆく 甲田雅子
郭公や甲斐の水音途切れなく 佐藤光枝
一匹の蚊に統らるる四畳半 武藤主明
針となり新茶となりて香しき 武藤主明
掛け持ちの神もありなん夏祭 武藤主明
罌粟の花天を掴みて離れざる 平尾福
風の道いくつもできて大青田 石田てい子
けふ四つ葉のクローバ探す気分して 石田てい子
パラソルを杖がはりにし月見坂 阿部けいこ
イラストの遺影揚げ梅雨の寺 及川由美子
「田園」を奏でてゐたる青田かな 武藤主明
