みちのく合同福島句会 2018年1月20日
*照井翠句
【特選】
鮭の魂白き山河にかへりけり 櫂
【入選】
下京は道いつぱいに歳の市 福
風に置く藁苞の餅一里塚 雅子
奥つ城の難破船めく雪野かな 由美子
息白く虹立つ音を聴きゐたり 由美子
透けながら蠟梅の香ほどけゆく 律子
鮟鱇はかのホラ吹きの面構 冬虹
綾取は言葉あふるる手話のやう あけみ
寒紅やふたつの鍵の絡まりぬ 律子
初夢の覚めて媼に戻りけり てい子
*長谷川櫂選
【特選】
泥に胸圧されて覚むる三日かな 翠
大寒や水を吸ひたる石の臼 みさ子
風に置く藁苞の餅一里塚 雅子
昼溶けし雪に今宵も雪積る けい子
息白く虹立つ音を聴きゐたり 由美子
霜柱鋭く太く抗へる 冬虹
空を跳ぶやうな雪橇寒休 杳平
亡き夫のメモ書き数多古暦 てい子
どんど焚き去年の我を投じけり 冬虹
【入選】
眉毛にも睫毛にも雪友来たる あけみ
仮設より濡れて戻りし賀状かな 雅子
やはらかな手でかきまぜて初神籤 夏生
まつ毛より涙にかはる春の雪 洋子
初日浴びあばら障子もぬくぬくと 光枝
離れては又寄ってくる風呂の柚子 雅子
回覧の至急の文字の夜寒かな てい子
媼来てふつと吸ひたる冬牡丹 翠
惜しみつつ剪る枯菊のふと香る てい子
綿虫を追ひて掬ひて放しけり 洋子
搗きたての餅熱くあり白くあり みさ子
春光のバス待つ列に並びをり 洋子