古志雪中句会(新潟)2018年1月7、8日
*1月7日(日)
【特選☆】
垂直に立ち水平に弓始 遊歩
一の矢は光なりけり弓始 洋子
弓始神のお尻に当たりけり 一郎
古り古りてなほも磨かん初鏡 恭子
【特選】
弓始次の間を待つしじまかな 薫
吉凶をこの一つ矢に弓始 薫
雪の降る山を遠くに初句会 真知子
音のなき音のありけり弓始 一郎
弓始的中の矢のふるへたる 真知子
暗闇の力信じて弓始 一郎
弓始しづけさの矢をつがへけり 一郎
弓始百射て百を射ぬくべく 玲子
弓を引く人は大の字弓始 通江
【入選】
しづと出て引きしぼりたり弓始 桃馬
耳元を過ぎし矢の音弓はじめ 慧
深閑と宇宙の鼓動雪が降る 松太
新潟の米と水もて若菜粥 洋子
弓先に五色の幣や弓はじめ 慧
風切の白一色の破魔矢受く 光枝
まぶしさの雪の弥彦へ初詣 光枝
あらたまの日を受けて立つ弓士かな 善子
弓始的をそるるもめでたけれ 真知子
七草をまな板そめて叩きけり 善子
あばら家に一家揃ひぬ雑煮餅 雄一
当たりし矢重き音たて弓始 通江
ど真ん中射る気合ひなり弓始 通江
長々と当たりの声を弓始 善子
今日の日の紫紺の袴弓始 慧
雪の田のごとき一枚初暦 玲子
*1月8日(月)午前
【特選】
遠山の雪の冷たさ花びら餅 玲子
蕎麦掻や鬼のごとくにかき回し 洋子
弓始蒼き狼さながらに 松太
雪堀の終わりし顔に雪が舞ふ 卯木
良寛の遊ぶ心を書き初め 遊歩
一枚に一句大書初投句 洋子
【入選】
矢をとれば那須与一や弓始 松太
友の出る歌会始あと三日 洋子
大雪塊沈まんとして流れ行く 卯木
熱の目に今あかあかと雪の山 光枝
しづり雪一つ落ちたりまた一つ 桃馬
小雪舞ふ夜のこと誰に告ぐるべき 桃馬
信濃川春ゆつくりと流れこよ 光枝
その人を称へて雪の降りしきる 美津子
一晩を妻に抱かれしたんぽかな 松太
冬耕の後ろ姿は風となる 一郎
礼節のこころ一矢に弓始 遊歩
顔の上猫が歩めり福笑 善子
特大の昆布粉を吹く掛蓬莱 遊歩
じゆうたんの花にごろ寝や松の内 玲子
春を待つ万代橋を渡りけり 真知子
越の国山は残らず雪の山 桃馬
紅さして寒き女となりにけり 松太
百万の鰤の国なり越の海 薫
弾かれてまた弾かれて独楽まはる 真知子
雪山をどかんと据ゑてお焚上げ 美津子
どこよりも雪は激しく胸の奥 善子
腹ぺこの猫に起こされ初寝覚 善子
*同日午後
【特選】
春風をぱくりぱくりと獅子舞へり 善子
玉のごとく鯉の沈むや寒の水 光枝
雑煮餅山のごとくにしづもれり 真知子
獅子頭とれば湯気あげ獅子頭 光枝
雑煮餅笑はるるほどよくのびて 美津子
【入選】
舞ひ終へて人に戻りぬ獅子頭 慧
お雑煮の鮭もいくらも越後かな 善子
人日の人を見てゐるゴリラかな 松太
獅子舞を迎へて一家勢揃ひ 薫
獅子頭ぼろぼろなれどめでたけれ 真知子
獅子舞の頭にまじる白きもの 真知子
雑煮餅一つすなはち旅心 松太