古志厳島句会 2017年12月2,3日
*2日第1句座
【特選】
小春日やこども喜ぶ鹿の糞 真知子
杓子はモジリアニの女日向ぼこ 通江
冬満月海にねむれる牡蠣幾万 嘉子
着ぶくれて毛玉の中にゐる君よ 京子
牡蠣筏月の光の鷺降り来 遊歩
焼牡蠣の一つ炎にまかれけり 緑
瀬戸内のレモンの冬の来たりけり 光枝
切れ切れに鳥居の映る冬干潟 沙羅
三度まで死にはぐれても牡蠣すする 紫春
小春日や果報寝て待つ大しやもじ 紫春
【入選】
海賊の裔頼もしや冬帽子 りえこ
小春日や杓子売りをる杓子顔 真知子
いつしかに鹿に囲まれ見上げられ 嘉子
行き当たる原爆ドーム冬ざるる 光枝
冬の海見えてか見ずか鹿座る 沙羅
鹿の糞落葉もろとも掃かれけり 和子
本棚に白き貝殻冬の旅 光枝
広島に生まれ育ちて牡蠣嫌ひ 京子
扁額は深々と黒冬に入る 嘉子
恋鹿の角は枯木となりゆくも 光枝
鹿のゐる枯野ありけり日の渡る まき
鼻と鼻何の相談兎かな 忠保
白糸の氷らんとして山の滝 光枝
山眠る鹿の鼓動を聞きながら 通江
牡蠣焼くや網にごろごろ転がして 遊歩
冬山といへども弥山かぐはしく 京子
一斗缶炭を熾して牡蠣を焼く 光枝
つぎはぎの能の衣裳も冬ごもり 真知子
対岸のこれも見事な紅葉山 嘉子
網の上の牡蠣は炎にまみれけり 真知子
牡蠣船の傾ぎて帰る妻と子へ 忠保
やはらかく布団のごとく焼穴子 紫春
牡蠣飯をよそつてみたし大杓子 真知子
冬の月帰りそこねし神の鹿 真知子
眠りゐる弥山の裾に句会せん 京子
宮島の鳥居をはるかふとん干す 忠保
*3日第1句座
【特選】
海鼠来てヒトデにうなる盛衰記 遊歩
恋に倦み人に倦みたる冬の鹿 忠保
花よりもゆるく紅葉の筏かな 秀也
今朝の冬どこへもゆかぬ大鳥居 緑
大き葉と共に枯れゆく葡萄かな 光枝
【入選】
鹿に生まれ人に生まれて日向ぼこ 秀也
海は母波はゆりかご牡蠣筏 りえこ
寒月や昼間の鹿とすれ違ふ 緑
崩しては作る俳句や冬怒涛 嘉子
信心のこころはるかや牡蠣すする 真知子
この辻も神域ならん鹿通る まき
満ちてくる波の音きく湯ざめかな 京子
寒禽の静やかに抜け大鳥居 秀也
船着くやいなやに熱き牡蠣すする 和子
連絡船冬日の水脈を引きにけり 光枝
広島は水の八衢銀杏散る 嘉子
冬鹿にさみしき顔を見られけり 真知子
旅に来て浴衣の上にちやんちやんこ 緑
歩み来る鹿にもの言ふ小春かな 和子
*3日第2句座
【特選】
川通り餅袋にひとつ冬ごもり 光枝
藍甕の藍こぼるるや寒の晴 りえこ
かたまつて埋火のごと鹿眠る 光枝
宮島の旅の千鳥のうた楽し 遊歩
【入選】
冬の山水の音して水見えず まき
寒鯉と動かぬ午後を過しけり 緑