ネット投句(2016年1月31日)選句と選評
【選評】
①歳時記の解説に書いてあるようなことを句にしない。その先を。
②どこかでみたような句を作らない。そのためには広く勉強を。
【特選】
堅パンもまた悴んでゐるごとし 14_神奈川 三玉一郎
推古より内外の光凍つる雲 20_長野 柚木紀子
ひらがなの宇宙に遊べ歌かるた 23_愛知 稲垣雄二
失せしこと四度とぞいふ春の塔 26_京都 諏訪いほり
二度寝する熊もあるらん春隣 27_大阪 木下洋子
熱き茶の身を通りゆく寒さかな 27_大阪 澤田美那子
あづかりて花の軽さのショールかな 27_大阪 澤田美那子
鬼やらふわが声ながら頼りなし 37_香川 曽根崇
真つ赤なる達磨ストーブある旅路 44_大分 山本桃潤
【入選】
バス跳ねて女も跳ねて春隣 01_北海道 芳賀匙子
いつの間のメール十通寒夜かな 03_岩手 川村杳平
*間に
河馬の初湯鼻から耳から湯気上る 04_宮城 長谷川冬虹
人日やヒト科ヒト属檻の中 04_宮城 長谷川冬虹
冬凪や手綱短く土佐の犬 12_千葉 花笛
*冬凪よりもっとふさわしい季語を。冬凪ではただの景色としてしか働かない。
まなざしの深くなりたるマスクかな 13_東京 井上じろ
*よくある句かも。
浴びてゐる春の飛沫や風のなか 13_東京 篠原隆子
*風の中が場面説明のみ。
一輪の凍鶴となり雪のなか 13_東京 神谷宣行
*よくある句。
立春の雲の梯子を上りゆく 13_東京 神谷宣行
*春はいま雲の梯子を上りゆく、か
アウトバーン人も車も氷かな 14_神奈川 三玉一郎
例会の中止となるもけふの雪 14_神奈川 森川ヨシ子
餅花や天体ひとつづつ孤独 26_京都 橋本小たか
豆撒のあとの虚しさ何ならん 27_大阪 古味瑳楓
冬籠というて酒場へ出かけゆく 27_大阪 木下洋子
まがふなき晴れをとこなり初門出 38_愛媛 岡崎陽市
鮟鱇の皮をはがるる潔さ 38_愛媛 三木紀幸
*寒さかな
三猿の手のことごとく悴めり 38_愛媛 豊田喜久子
残りたる夢を叩きて蒲団干 38_愛媛 木下誠
雀らと顔見合はせて雪ごもり 42_長崎 川辺酸模