鎌倉句会(8月15日)
【特選】
大漁やけさは一村鰯焼く 上俊一
半分は雲入れ替り今朝の秋 石川桃瑪
じたばたと釣られて鯊は青空へ 飛岡光枝
一声で豊年の景太郎冠者 西川遊歩
ゆく夏を惜しむ遠野の河童かな 山田洋
喜びの百姓通信豊の秋 土筆のぶ子
煩悩のからだ捨てゆく涼しさよ 萬燈ゆき
【入選】
一粒の重く大きく豊の秋 城山邦紀
かなかなやかなかなかなやふたりづれ 城山邦紀
だぼ鯊と蔑まれても鯊の秋 城山邦紀
鯊の身をくづして盛るや母の膳 神谷宣行
象の耳そよぎて秋の風起こる 神谷宣行
酒たばこ女も知らず敗戦忌 藤 英樹
みちのくは牡蠣や帆立や豊の秋 藤 英樹
熱き茶を飲みて静かな敗戦忌 間宮伸子
妻愛し横浜愛し生身魂 間宮伸子
豊年や暴るる鯉の頭截つ 唐 振昌
豊年や青空の透くぶだう棚 中田暁美
さし潮の走る早さよ鯊の秋 呑 空
絶え間なき離陸着陸鯊日和 金澤道子
離陸する機体の光鯊の秋 大平佳余子
蓮の実の飛んで水輪をのこしけり 大場梅子
流木に海辺の夏を惜しみけり 菅谷和子
*「海辺の夏」、地名を。
母の肩小さくなりて菊作る 田中益美
鯊の秋幸丸とはめでたき名 葛西美津子
拾得の箒となれや箒草 山田 洋