古志広島ズーム句会(2025年10月5日)
第一句座
矢野京子選
【特選】
水替へるごとにかがやく今年米 矢田民也
戦争の影長く引く案山子かな 長谷川櫂
長き夜の底から響く鼾かな 安藤文
病室のひとりの窓にけふの月 斉藤真知子
破芭蕉まだ太陽に挑むごと 加藤裕子
【入選】
蛇笏忌や一番渋の澄みわたり 神戸秀子
けふの月とほくに祖父の炭坑節 瑞木綾乃
まづ空を見上げてはじむ松手入 矢田民也
放牧の牛もカムイも月の中 高橋真樹子
この秋のこの空の下ジェノサイド 今村榾火
干し柿の萎びきつたる甘さかな 城山邦紀
秋灯いまやわれ待つ夫となり 神戸秀子
軽き穂も豊年の色眩しけれ 加藤裕子
無為にしてひと日無事なり鉦叩 石塚純子
恵心堂月の扉をひらきけり 大場梅子
露ちるやうそうそ時の永田町 ももたなおよ
長谷川櫂選(推敲例)
【ことのほか】
藍さらに深くなれよと砧打つ 城山邦紀
【特選】
蛇笏忌や一番渋の澄みわたり 神戸秀子
飛んで来たるか一輪の曼珠沙華 上松美智子
【入選】
水替へるごとにかがやく今年米 矢田民也
広島は修羅の地のうへ秋北斗 瑞木綾乃
けふの月時の彼方の炭坑節 瑞木綾乃
まづ空を見上げてはじむ松手入 矢田民也
主留守の庭を気ままに秋の蜂 ストーン睦美
干し柿は萎びきつたる乳房かな 城山邦紀
千金の老の一日松手入 矢野京子
長き夜の底から響く鼾かな 安藤文
第二句座(席題:とろろ汁、馬追)
矢野京子選
【特選】
開墾の土の匂ひやとろろ汁 高橋真樹子
馬追や端座して待つ能役者 今村榾火
馬追を追いかけてゆく一歳児 ももたなおよ
【入選】
髭揺れて馬追の影大いなり 長谷川櫂
並びゐて麦とろランチ仏蘭西人 ストーン睦美
携帯の明かりより逃げ馬追は 加藤裕子
住みついて馬追の鳴く我が家かな 安藤文
馬追の一跳びで去る夜の闇 長谷川櫂
シリーズの初戦負けまじとろろ汁 金田伸一
長谷川櫂選(推敲例)
【ことのほか】
いとほしや痩せた歯茎でとろろ吸ふ 瑞木綾乃
【特選】
すいつちょや今宵も娘戻り来ず 瑞木綾乃
馬追や地球ゐよいか淋しいか 今村榾火
荒々と木曾の馬追夜深む 大場梅子
【入選】
妻誇る力込めたるとろろ汁 城山邦紀
擂鉢は嫁入り道具とろろ汁 矢野京子
並びゐて麦とろランチ仏蘭西人 ストーン睦美
とろろ汁噛みて命を惜しみけり 石塚純子
とろろ汁女ざかりもとほに過ぎ 矢野京子
とろろ汁啜る女となりしかな 矢田民也
進歩なき我なぐさめよすいつちよん 大場梅子
住みついて馬追の鳴く我が家かな 安藤文
シリーズの初戦負けまじとろろ汁 金田伸一
