古志金沢ズーム句会(2025年4月20日)
第一句座
当季雑詠
・鬼川こまち選
【特選】
太陽の息の太さや山桜 趙栄順
花いかだ変幻自在崩れざる 山本桃潤
山桜去るも残るも能登無念 稲垣雄二
空に星地球にお玉じやくしかな 清水薫
白波は海の血しぶき水俣忌 玉置陽子
親離れやがて名馬に春の駒 間宮伸子
ふりあふぐ芸術院賞春の星 宮田勝
田を巡る大いなる旅蛙の子 清水薫
人はむかし空をよく読む春の雷 酒井きよみ
【入選】
ででむしや銀河へ行きし跡のあり 川上あきこ
行き暮れて杖持ち直す花薊 田中紫春
佐保姫の尻の跡あり大干潟 玉置陽子
花満ちてひときは大き兵の墓 花井淳
ふらここに走り出す子と追ふ母と 越智淳子
今年こそ鮑取らんと能登の海女 川上あきこ
咲みちし花へ怒涛の薩摩琵琶 泉早苗
壁にたつ衣桁のかげや春惜しむ 松川まさみ
春愁ひついて離れぬ一万歩 稲垣雄二
さくらさくらすべてのことはあとまはし 川上あきこ
乱高下する世にありて目刺食ふ 田村史生
万愚節孫が手加減する将棋 氷室茉胡
小さき腰曲げてめでたし桜えび 安藤久美
・長谷川櫂選
【特選】推敲例
三宝に息なほ荒し桜鯛 玉置陽子
白波は海の血しぶき水俣忌 玉置陽子
春愁ひついて離れず一万歩 稲垣雄二
さを鹿の角落としけり春の月 田村史生
小さくとも腰を曲げたり桜えび 安藤久美
【入選】
追ひかける子を追ひかけてしやぼん玉 宮田勝
地にひたとはりつく影も夏隣 松川まさみ
佐保姫の尻もちのあと大干潟 玉置陽子
桜見る夢は叶はず桜鯛 氷室茉胡
酒蔵の漆喰古りぬ初つばめ 花井淳
マリリンの顔と開きぬチューリップ 飛岡光枝
遠国の土佐にも一つ牡丹寺 橋詰育子
二千年花に埋もれて石舞台 飛岡光枝
けさの雨走りのあやめ花ほどく 飛岡光枝
仏飯を庭の小鳥へ朝桜 藤倉桂
杉玉をかすめて空へ初つばめ 花井淳
第二句座
席題:「羅」、「葉桜」
・鬼川こまち選
【特選】
老ひとり羅に身を遊ばせて 飛岡光枝
葉桜の空に影あるごとくかな 趙栄順
羅の水輪流るる衣桁かな 玉置陽子
花は葉に変幻の世に生きてをり 梅田恵美子
八十も終りのひと日花は葉に 清水薫
【入選】
大桜葉となる昼の明るさに 安藤久美
花は葉に記憶違へる二人かな 松川まさみ
葉桜に囲まれし里母ひとり 土谷眞理子
葉桜のさはぐ大きな風の影 安藤久美
平穏な日々は続かず花は葉に 山本桃潤
葉桜にもたれて眠る桜守り」 藤倉桂
おもかげを探す更地や花は葉に 稲垣雄二
葉桜や焼き味噌香る峡の里 花井淳
葉桜や術後五年の第一歩 藤倉桂
閉ざされし秘仏の扉花は葉に 田村史生
・長谷川櫂選
【特々選】推敲例
羅のよき香の名は忘れけり 安藤久美
葉桜や同じ人思ふ人とをり 松川まさみ
羅に心を隠し会ひにゆく 稲垣雄二
【特選】
葉ざくらや櫻花壇に人も無し 飛岡光枝
羅や嘘も真実も胸のうち 趙栄順
八十も終りのひと日花は葉に 清水薫
【入選】
葉桜や火をもて鍛ふ玉鋼 玉置陽子
絵付師の頑固一徹花は葉に 花井淳
葉桜のさはぐ大きな風の中 安藤久美
羅の水輪流るる衣桁かな 玉置陽子
葉桜やケア帽子脱ぎ前向かん 土谷眞理子
散りつくし夢をみてゐる桜かな 趙栄順