古志金沢ズーム句会(2025年2月16日)
第一句座
当季雑詠
・鬼川こまち選
【特選】
龍太忌の甲斐に目覚むるものばかり 趙栄順
春立つや瓦礫の山を野にさらす 稲垣雄二
紀元節ろうろう福祉となりし能登 密田妖子
住みながらこの国遠き余寒かな 趙栄順
白山は巨大鯨の化身かな 清水薫
滔滔と金の春泥クリムトは 玉置陽子
糸魚川雪解突き出る小枝かな 越智淳子
一身が鼓動となりて畑を打つ 趙栄順
闘病の一巡りして梅見かな 土谷眞理子
ひたひたと薄氷かへる空の底 松川まさみ
【入選】
きさらぎの雲を潜りて観覧車 田中紫春
飛梅の花の飛びくる日和かな 飛岡光枝
ぎんねずの夜空を割りて春が来る 間宮伸子
雪折れの枝を束ねて挿しにけり 花井淳
夕暮れをひとり葱抜く龍太の忌 藤倉桂
鬼の世へひときは青き柊挿す 安藤久美
生へ死へ花の波舞ふ能登の春 稲垣雄二
枝枝の叫び屋根雪落ちるごと 花井淳
能登の畔ずたずたのまま春立てり 稲垣雄二
俎板の何かを知らぬ海鼠かな 清水薫
孕み鹿満月に身を任せをり 田村史生
毛筆は母におよばず流れ海苔 密田妖子
五色豆京洛の春かみしめる 泉早苗
春炬燵青春の愚痴老ひの夢 田村史生
・長谷川櫂選
【特々選】推敲例
住みながら遠きこの国余寒かな 趙栄順
俎板の上とも知らぬ海鼠かな 清水薫
白山は巨大な鯨雪の原 清水薫
一巡りせん闘病の梅見かな 土谷眞理子
【特選】
恋猫の懺悔しやるか椅子のもと 宮田勝
抜け落ちて八十の歯や冬の果 清水薫
春立つや酒の名前も甕覗 飛岡光枝
【入選】
まだ誰も入らぬ墓や梅の花 間宮伸子
春立つや母へ一切かすていら 飛岡光枝
もう一度汁粉作らん春の果 間宮伸子
雪折れの花芽の枝を束ねては 花井淳
春立つやずたずたのまま能登の畔 稲垣雄二
寿司提げて夫へ帰るや夜の雪 鬼川こまち
紅梅のまどろみゐるや昼の雪 近藤沙羅
第二句座
席題:「春の水」、「引鶴」
・鬼川こまち選
【特選】
春の水田に引き入れて農一年 稲垣雄二
一筋のしじまとなりて鶴帰る 趙栄順
春の水供へて君と語らんや 田村史生
鶴引くや少し欠けたる昼の月 田村史生
黒々と銀の太陽鶴引けり 長谷川櫂
鶴帰る空に港があるごとく 間宮伸子
【入選】
飛び立つとき声たくましや鶴引けり 酒井きよみ
頸伸べて氷る山越へ鶴帰る 梅田恵美子
引鶴やみるみる空はがらんどう 宮田勝
ひと滴またひと滴春の水 趙栄順
引鶴や下宿へ送る大荷物 密田妖子
鶴引くや雲より白し母の骨 玉置陽子
みほとけの山のこゑあり春の水 宮田勝
鶴帰る君の故郷に誰ぞ待つ 川上あきこ
春の水飲み干してまた駆け出せり 田村史生
春の水舟を浮べてでかけませう 趙栄順
・長谷川櫂選
【特選】推敲例
春の水ことにやはらか大拙館 密田妖子
鶴引くや雲より白き母の骨 玉置陽子
【入選】
春の水吸うて鞠麩は花の色 安藤久美
一筋のしじまとなりて鶴帰る 趙栄順
菊渓を流れてここへ春の水 泉早苗
三本の包帯濯ぐ春の水 泉早苗
