古志鎌倉ズーム句会(2024年12月8日)
第一句座
•藤英樹選
【特選】
乙丸も女房に買ふか寒の紅 葛西美津子
浅間山人へばりつく初日かな 長谷川櫂
蓬莱の山のひとつは能登の海 藤原智子
ひととせの地獄極楽冬至風呂 萬燈ゆき
この冬の養生の葱下仁田より 葛西美津子
【入選】
眉大事あとは顔色初鏡 田中益美
しんしんと重ね千枚蕪の樽 葛西美津子
新春句無き楸邨の一句集 西川遊歩
道やがて落葉の山に埋もれん 藤原智子
傷みたる心紙子をなづるなり 森永尚子
ひととせを生きて穢れて年湯かな 関根千方
ありがたや八十二才初御空 吉田順子
•長谷川櫂選 (推敲例)
【特選】
新春句なし楸邨の一句集 西川遊歩
【入選】
まつ黒に焦がせば根深湯気漏らす 葛西美津子
みかづきの眉を大事に初鏡 田中益美
蛇の神御目ほそめて初日かな イーブン美奈子
青空の角を曲がればたい焼き屋 きだりえこ
江ノ島にローマ風呂あり初湯せん 西川遊歩
ひととせを生きて穢れて年湯かな 関根千方
初富士やすぐそこに目がくらむほど 田中益美
家ごもり養生の葱下仁田より 葛西美津子
第二句座 (席題:冬帽子、歯朶)
•藤英樹選
【特選】
星の句を詠んでいるのか冬帽子 仲田寛子
瘦せたねと声掛けられず冬帽子 田中益美
晩年の父目深なる冬帽子 萬燈ゆき
冬帽子人は消えゆき詩は残る イーブン美奈子
【入選】
冬帽も棺に入れればいつもの君 森永尚子
歯朶原に沈みて歯朶を刈る人ぞ 長谷川櫂
禿頭を隠すにあらず冬帽子 おほずひろし
けふもまた一人吟行冬帽子 萬燈ゆき
古本屋めぐる一日や冬帽子 木下洋子
冬帽子羆にばたり出つくわす 園田靖彦
宙にいる詩人を仰ぐ冬帽子 仲田寛子
•長谷川櫂選 (推敲例)
【特選】
裏白の乳房の如く垂れゐたり 関根千方
冬帽子十五万人デモの渦 森永尚子
人は去り詩は残りけり冬帽子 イーブン美奈子
天にいる詩人を仰ぐ冬帽子 仲田寛子
【入選】
伊吹山雪の匂ひの歯朶を刈る 藤英樹
歯朶飾る先の先まで対称に 澤田美那子
裏白や日の燦燦とひもすがら 久嶋良子
裏白の夕には乾ぶ一間かな 葛西美津子
裏白を瀧と垂らして飾りけり イーブン美奈子
子規はよむ江戸の裏白京の歯朶 吉田順子