古志金沢ズーム句会(2024年9月15日)
第一句座
当季雑詠
・鬼川こまち選
【特選】
ロボットのしくじり続く残暑かな 川上あきこ
田の神の手から零るる落とし水 清水薫
残業の妻を待ちをり今年酒 稲垣雄二
広重ぶるう版画涼しき空のいろ 梅田恵美子
秘めごとてふ鎧外しぬ天の川 川上あきこ
家持が盃をあふるる今日の月 安藤久美
妻といふ月の光の一抱へ 長谷川櫂
【入選】
稲刈り機妻のパラソル括り付け 藤倉桂
みつしりと秘密ひと箱黒葡萄 趙栄順
熱きあつき一煎残暑払ふなり 松川まさみ
底知れぬ心の闇や草茂る 長谷川櫂
頬に来る秋の蚊も母母亡くて 飛岡光枝
新涼や一気におろす加太の鯛 玉置陽子
葡萄棚枯れなんとして夜々泣きぬ 飛岡光枝
月皓々ゆがみし大地撫でゆくも 安藤久美
舟でゆく珠洲の国見や月今宵 安藤久美
宵闇や浄土への道開けゆく 花井淳
けふ逢はねばいのちなかりし花オクラ 川上あきこ
畏みてとほき神代の稲光 泉早苗
・長谷川櫂選
【特選】推敲例
家族葬済ませましたと桐一葉 氷室茉胡
新涼や一気におろす加太の鯛 玉置陽子
【入選】
母も吾も闘病中のけふの月 土屋真理子
虫の音の豊かな闇に母一人 稲垣雄二
祝はれて急に年とる敬老日 酒井きよみ
柳散るひと葉にさはぐ水面かな 清水薫
田の神の手から零るや落し水 清水薫
月こよひ珠洲はむかしの波の音 安藤久美
残暑この熱き一煎払ひけり 松川まさみ
川岸の渡し地蔵や水の秋 橋詰育子
秋団扇掬つて捨つる蛾の骸 稲垣雄二
あらがうて風に流るる秋の蝶 趙栄順
早や五年職無き暮らしとろろ汁 松川まさみ
望の月沈みゐるごと芋子汁 酒井きよみ
第二句座
席題:「獺祭忌」、「秋桜」
・鬼川こまち選
【特選】
夕されば石の湯舟へ獺祭忌 花井淳
コスモスや大観覧車空に触れ 飛岡光枝
妹のありてよかりし子規忌かな 橋詰育子
肺を病む苦しさ我も獺祭忌 酒井きよみ
大盛りの伊予の新米獺祭忌 玉置陽子
【入選】
生涯の一句はありや獺祭忌 泉早苗
朝市に残る鶏頭子規忌かな 酒井きよみ
コスモスの可憐に見えてあばれ咲き 松川まさみ
コスモスの揺るるがままを大甕に 稲垣雄二
庭先の下駄から暮れて獺祭忌 飛岡光枝
灼熱を上る蔓草獺祭忌 藤倉桂
同窓のえにしや揺るる秋さくら 安藤久美
子規忌とは知らず全集はたきかけ 密田妖子
あをあをと月を浴びたり獺祭忌 泉早苗
すさまじき日々もはるかに子規忌かな 梅田恵美子
コスモスや倒れ伏すとも地に触れず 藤倉桂
コスモスや空の渚といふところ 長谷川櫂
・長谷川櫂選
【特選】推敲例
コスモスの暴るる空を夜勤明け 稲垣雄二
あんぱんは臍ありてこそ獺祭忌 飛岡光枝
生きながら仏となりし子規忌かな 橋詰育子
【入選】
朝市に残る鶏頭子規忌かな 酒井きよみ
庭先の下駄から暮れて獺祭忌 飛岡光枝
これからを生きる力や獺祭忌 橋詰育子
柿吸へば君を思ふや獺祭忌 趙栄順
吟行は動き回るな獺祭忌 氷室茉胡
コスモスや大観覧車空にあり 飛岡光枝
妹のありてよかりし子規忌かな 橋詰育子
台風のただ中にある子規忌かな 梅田恵美子
月並みの句ばかりできる子規忌かな 間宮伸子