古志広島ズーム句会(2023年11月5日)
第一句座 | |
矢野京子選 | |
【特選】 | |
各々の事情さておき討入りぬ | 長谷川櫂 |
朝刊に叙勲と戦禍文化の日 | 大平佳余子 |
小春日や大和島根はとこしなへ | 加藤裕子 |
初霜に覚めて川崎展宏忌 | 神戸秀子 |
月こよひレモンのかたち展宏忌 | 菅谷和子 |
咽越しの一句ぐびりと展宏忌 | 城山邦紀 |
【入選】 | |
籾殻も藁も貰ひて冬支度 | 加藤裕子 |
力うどん食べまた歩く展宏忌 | ももたなおよ |
殺す人殺されし人国の冬 | ストーン睦美 |
石ころとなりて旅ゆく展宏忌 | 駒木幹正 |
竹光で切るや夜長の黒羊羹 | 今村榾火 |
かの世にもスミレは咲くや展宏忌 | 矢田民也 |
散るとなく消えて十月桜かな | 神戸秀子 |
恐ろしき世とも知らずに返り花 | 安藤文 |
紅葉の野湯に五体は溶け込みぬ | ストーン睦美 |
富有柿の甘くなるころ展宏忌 | 夏井通江 |
いざわれも小気味よき句を展宏忌 | 金田伸一 |
セーターや夫の通院付添ふ日 | 伊藤靖子 |
澄む空へ口笛を吹く展宏忌 | 夏井通江 |
初氷ひよいと投げれば朝の月 | 岡村美沙子 |
労ひの陽の燦々と刈田かな | 加藤裕子 |
かの世よりマタセンソウデスカ展宏忌 | 矢田民也 |
あ | |
長谷川櫂選 | |
【特特選】 | |
呉港の大き夕暮れ展宏忌 | 今村榾火 |
血まみれの少年の顔展宏忌 | 安藤文 |
展宏忌あす死ぬるなら茶漬飯 | 矢田民也 |
海軍はスマートであれ展宏忌 | 大場梅子 |
かの世よりマタセンソウデスカ展宏忌 | 矢田民也 |
【特選】 | |
かの世にもスミレは咲くか展宏忌 | 矢田民也 |
鶏頭のぶつかる音を聴きゐたり | 今村榾火 |
初心とは秘してゐるもの展宏忌 | 駒木幹正 |
展宏忌京は紅葉のまつただなか | 夏井通江 |
杉高き空に湧く雪止めどなし | 岡村美沙子 |
紅葉谷灯るや一戸また一戸 | 矢田民也 |
殻剥かれ牡蛎不機嫌に目覚めけり | 斉藤真知子 |
展宏忌名もなき人のみごとな句 | 夏井通江 |
煎餅をそつと割る音展宏忌 | 菅谷和子 |
綿虫も思ふことあり展宏忌 | 高橋真樹子 |
恐ろしき世とも知らずに返り花 | 安藤文 |
初霜に覚めて川崎展宏忌 | 神戸秀子 |
展宏忌あ初蝶とたれか詠む | 金田伸一 |
茶の花が犬の鼻先展宏忌 | 大平佳余子 |
菊花展千輪咲きをつくる人 | 原京子 |
枯蟷螂おはりは草に埋もれけり | 斉藤真知子 |
月こよひレモンのかたち展宏忌 | 菅谷和子 |
富有柿の甘くなるころ展宏忌 | 夏井通江 |
大和沈む海鳴止まず展宏忌 | 駒木幹正 |
蟷螂の枯れゆく顔をみてしまふ | 斉藤真知子 |
いざわれも小気味よき句を展宏忌 | 金田伸一 |
蓑虫はテレパシーにて語り合ふ | 駒木幹正 |
かろみよしおとぼけもまた展宏忌 | 金田伸一 |
軽き母丸ごと洗ふラ・フランス | 米山瑠衣 |
本めくる指先の音冬隣 | 城山邦紀 |
【入選】 | |
いつしかに母の枕辺秋深む | 米山瑠衣 |
磯菊の崖にも咲いて展宏忌 | 神戸秀子 |
小鳥来る遠くでチェーンソーの音 | 原京子 |
籾殻も藁も貰ひぬ冬支度 | 加藤裕子 |
殺す人殺されし人国の冬 | ストーン睦美 |
忠魂碑乃木希典書展宏忌 | 上松美智子 |
口笛に冬あたたかき展宏忌 | 石塚純子 |
展宏忌笑ひ皺さへあたたかし | 矢野京子 |
展宏忌飲めば俳句を舐めんなよ | 岡村美沙子 |
冬瓜のぽつりとけふは展宏忌 | 神戸秀子 |
空也忌や空也最中を銀座まで | 大場梅子 |
家売つてマンション暮らし小鳥来る | 神戸秀子 |
咲き残る朝顔母を見送りぬ | 高橋真樹子 |
輝ける平和大事や十月尽 | 上松美智子 |
善き人も皆戦ひへ展宏忌 | ストーン睦美 |
散るとなく消えて十月桜かな | 神戸秀子 |
車椅子の妻から夫へ秋の蝶 | 瑞木綾乃 |
小春日に力うどんや展宏忌 | 伊藤靖子 |
瀬戸内の波おだやかや展宏忌 | 斉藤真知子 |
久々に布団干したり日の匂ふ | 上松美智子 |
喉越しの新酒一献展宏忌 | 斉藤真知子 |
眠りつつ微笑んでゐる日向ぼこ | 米山瑠衣 |
すこやかな腎臓ひとつ柿落葉 | 原京子 |
この痛み誰に告げんか展宏忌 | 米山瑠衣 |
春と秋二人の師あり展宏忌 | 石塚純子 |
澄む空へ口笛を吹く展宏忌 | 夏井通江 |
人間も海鼠も管よ展宏忌 | ストーン睦美 |
春が来た含羞の笑顔展宏忌 | 城山邦紀 |
心愛(ここあ)てふ洒落た名前や七五三 | 安藤文 |
熱燗や展宏さんの自在ぶり | 大場梅子 |
セーノヨイショ春をシーツへ展宏忌 | 城山邦紀 |
綿虫も私も小さし展宏忌 | 夏井通江 |
焚火して酒あたためん展宏忌 | 大平佳余子 |
灯下親し展宏さんの「四季の詩」 | 上松美智子 |
鋭角に鉛筆の芯今朝の冬 | 城山邦紀 |
初氷ひょいと投げれば朝の月 | 岡村美沙子 |
農業祭子持鮎食べ栗を食べ | 上松美智子 |
灯火親し書写は展宏句集とす | ももたなおよ |
亡き父に苦き故郷鷹渡る | 石塚純子 |
あ | |
第二句座(席題:紫式部の実、神渡し) | |
矢野京子選 | |
【特選】 | |
神渡ししづかに吹いてゐることよ | 長谷川櫂 |
一頭のたてがみ乱す神渡し | 斉藤真知子 |
ひと粒に物語ひとつ実むらさき | 高橋真樹子 |
【入選】 | |
石山路掃けどこぼるる式部の実 | 瑞木綾乃 |
剪定の一枝どうぞと式部の実 | 金田伸一 |
神渡しといふ風に乗る旅路かな | 高橋真樹子 |
牛に乗る神もあるべし神渡し | 長谷川櫂 |
触るるたびぽろり紫式部の実 | 大場梅子 |
風神は大袋あけ神渡し | 大平佳余子 |
神々の酔ひも醒めたる神渡し | 斉藤真知子 |
まつさきに子供がみつけ式部の実 | 斉藤真知子 |
龍のごとき雲消えてゆく神渡し | 加藤裕子 |
長谷川櫂選 | |
【特選】 | |
海に飛ぶ白波あまた神渡し | 上松美智子 |
人の世の右往左往や神渡し | 今村榾火 |
神渡し国中の幣ひるがへし | 矢野京子 |
【入選】 | |
末枯れはまことの姿実紫 | 菅谷和子 |
剪定の一枝どうぞと式部の実 | 金田伸一 |
雲一つなき大空を神渡し | 高橋真樹子 |
神なれど煽られつつも神渡し | 加藤裕子 |
つやつやと波郷の墓に式部の実 | 神戸秀子 |
まつさきに子供がみつけ式部の実 | 斉藤真知子 |