古志広島ズーム句会(2023年4月2日)
第一句座
・矢野京子選
【特選】
花のなか人のなかなり車椅子 夏井通江
実朝の磯のとどろやさくら貝 大場梅子
春の夜の星を甲羅に渡蟹 長谷川櫂
卒寿への力いただく涅槃かな 金田伸一
沈黙の被爆桜の咲き満ちて 斉藤真知子
【入選】
つなぐ手にはぐれる心桜かな 高橋真樹子
はるばると春を浮かべて駿河湾 高橋真樹子
ひとひらの花の先客ブランコに 神戸秀子
れんげ畑我が家の蜂もお邪魔して 米山瑠衣
花の下胸いつぱいの授乳かな 城山邦紀
角落ちて恋の魔力の失せにけり 大場梅子
黒猫の一家に縞の子猫かな 駒木幹正
小倉山全身全霊春告鳥 ももたなおよ
大空のてつぺんを見に雲雀かな 斉藤真知子
破れたるところの記憶春障子 ストーン睦美
・長谷川櫂選
【特選】
花冷えや押しくら饅頭でもするか 岡村美沙子
角落ちて恋の魔力の失せにけり 大場梅子
胸のなかざーつと音たて花ふぶき 夏井通江
卒寿への力いただく涅槃かな 金田伸一
乳のみ児の大の字となる花の下 城山邦紀
蟇出でて人はマスクをはずしけり ストーン睦美
【入選】
うれしさにふるへこの世へしやぼん玉 石塚純子
はじまりも終はりも花の句帳かな 矢野京子
ひとひらの花の先客ブランコに 神戸秀子
わが町に二筋の川つばめ来よ 石塚純子
杏子さんの選なき朝刊花の冷え 安藤文
一碗の粥炊き上がる花の夜 斉藤真知子
花のなか人のなかなり車椅子 夏井通江
花の昼花吸だけがせはしげに 矢野京子
海深くピアノ鳴るかや桜貝 神戸秀子
活気づく呼子の浜や桜烏賊 大場梅子
居眠りをしてゐる夫へ桜餅 大場梅子
仕舞い湯に花のひとひらこぼれこよ 高橋真樹子
実朝の磯のとどろやさくら貝 大場梅子
春風や寝ても覚めても俳句脳 安藤文
小雀の寝覚めのこゑを床の中 石塚純子
白子干し小坪の浜の日和かな 大場梅子
れんげ畑我が家の蜂もお邪魔して 米山瑠衣
沈黙の被爆桜の咲き満ちて 斉藤真知子
第二句座(席題:古草、朝寝)
・矢野京子選
【特選】
古草にいつまでも日のとどまれる 神戸秀子
大朝寝人類存亡救世す ストーン睦美
夢うつつ迦陵頻伽の朝寝かな 大場梅子
【入選】
はるかなる宇宙の果てへ朝寝かな 安藤文
一番に朝寝を起こす胃袋よ 米山瑠衣
古草はいつの日の毬蔵したる 神戸秀子
古草や横穴群はこの辺り ももたなおよ
古草を引けば新芽も抜けにけり 米山瑠衣
大朝寝犬のくしやみに夢破れ ストーン睦美
朝寝して彼の世にちよつとお邪魔して ももたなおよ
・長谷川櫂選
【特選】
けふよりは花にまみれて朝寝かな 矢野京子
のびのびと朝寝にもらふ力かな 菅谷和子
気持ちよく布団になじむ朝寝かな 上松美智子
【入選】
しばらくは猫と付き合ふ朝寝かな 駒木幹正
もの思ふことのなき日の朝寝かな 伊藤靖子
家族みな出かけた気配大朝寝 石塚純子
古草にいつまでも日のとどまれる 神戸秀子
古草のしぶとくはえてをりにけり 夏井通江
古草の傷のおほきを愛しめり 矢田民也
候補者の音たけだけし朝寝かな 高橋真樹子
大朝寝きのふの傷もはや癒えて 菅谷和子
朝寝して思ひの一句賜りぬ 斉藤真知子
朝寝する亀の寝返り見たきかな 金田伸一
久々の朝寝破るな雀どち 林弘美
早起きの妻に呼ばるる大朝寝 金田伸一
毎日となれば朝寝と言はぬもの 矢田民也