古志仙台ズーム句会(2023年3月26日)
第一句座
長谷川冬虹選
【特選】
忽然と空を統べたる花辛夷 齋藤嘉子
花も見で朧の国へ逝かれしか 川辺酸模
思ひつくさくらの歌と歩きけり 三玉一郎
来年はダムの底なる桜かな 川辺酸模
向き変へて喉試みん初蛙 長谷川櫂
【入選】
砂浜に夫のイニシヤル磯遊び 佐藤和子
月山の水に洗ひて独活膾 石川桃瑪
春光を練り込みけさの醤油だれ 宮本みさ子
改札を小さき母来る春ショール 佐藤和子
狂ひゆく地球のそばを春の月 上村幸三
公魚のひかりこぼれて釣られけり 甲田雅子
春光を放つまで研ぐ餅の米 宮本みさ子
かの人を運び去りしか花筏 青沼尾燈子
てんでんに叛きて蝌蚪の国破れ 上 俊一
海女けふは地下足袋はいて蕨狩 齋藤嘉子
長谷川櫂選
【特選】
三・一一山墓に彫る五人の名 宮本みさ子
自らの漉きし卒業証書受く 武藤主明
とどかない思ひがふぶくさくらかな 三玉一郎
妻の出て何かの種を蒔きにけり 平尾 福
思ひ出におしつぶさるるさくらかな 三玉一郎
【入選】
阿弥陀堂千年杉の花こぼれ 及川由美子
キャリアカー新車六台乗せて春 佐伯律子
月山の水に洗ひて独活膾 石川桃瑪
花冷えやペットボトルの水光る 阿部けいこ
あの日から牛の背ただれ花ふぶき 宮本みさ子
三陸の海歌ひ継げ卒業歌 長谷川冬虹
サーファーの見つけてくれし桜貝 那珂侑子
花も見で朧の国へ逝かれしか 川辺酸模
三椏の花咲き乳あふれ出す 佐伯律子
松島の小島に拾ふさくら貝 甲田雅子
猿らも宴するらむ花月夜 川辺酸模
公魚のひかりこぼれて釣られけり 甲田雅子
春光を放つまで研ぐ餅の米 宮本みさ子
母のごと月山真白彼岸かな 長谷川冬虹
アメリカの遅日の空へホームラン 武藤主明
拳ゆるむややは湯の中花の昼 齋藤嘉子
麦の国泥にまみれて春が逝く 上村幸三
ひらひらと月夜を泳ぐ干鰈 辻奈央子
(ズーム句会)花時を教へ合ふのもオンライン 長谷川冬虹
第二句座 (席題:風車、草青む、蛇穴を出づ)
長谷川冬虹選
【特選】
揺れながら夫のリハビリ草青む 甲田雅子
象の尻二つ並びて草青む 三玉一郎
何草になるともしらず草青む 長谷川櫂
【入選】
草青む公園デビューの赤い靴 武藤主明
打球音ひびく校庭草青む 川辺酸模
蛇出づや法会に向かふ女坂 佐藤和子
蛇出でて野球少年ちやかしをり 佐伯律子
何食はぬ貌して蛇の穴出たる 武藤主明
セーラ服リボンとりかへ草青む 服部尚子
長谷川櫂選
【特選】
母恋へばまた廻りけり風車 谷村和華子
忘れられ月と遊ぶよ風車 齋藤嘉子
象の尻二つ並びて草青む 三玉一郎
【入選】
蛇出づか大小穴の艶めかし 谷村和華子
蛇穴を出でて見上げるホームラン 服部尚子
この国を危ぶみつつも蛇出づる 齋藤嘉子
売れ残りゐて風車よく回る 甲田雅子