古志金沢ズーム句会(2023年3月19日)
第一句座(飴山忌、当季雑詠)
・鬼川こまち選
【特選】
千枚田雲の裾より耕せり 玉置陽子
大朝寝桃源郷に鳥の声 酒井きよみ
ぼんぼりのつとゆるるとき雛の息 田中紫春
滾る湯に極太うどん山の春 藤倉桂
野馬となりて去りたき日和かな 松川まさみ
たおやかに百年生きよ桃の花 安藤久美
学舎に戦の記憶飴山忌 泉早苗
飴山忌山河の石となり眠る 藤倉桂
ほのぼのと酒蒸し饅頭實の忌 花井淳
花を待つ心のままに逝かれけり 飛岡光枝
初蝶来がれきの街へ花のごと 安藤久美
【入選】
粘土練る手に春がくっついてくる 川上あきこ
白山の神と流るる雪解川 花井淳
實忌や加賀国原に芽吹く声 川上あきこ
ふらここやせつなせつなに死を忘れ 趙栄順
春月は湖を飲みこむ飴山忌 間宮伸子
初花の川面のほてり飴山忌 宮田勝
白山の空を落ちくる雲雀かな 趙栄順
杉玉のひかり鮮し飴山忌 松川まさみ
初蝶や天よりこぼれくるごとく 橋詰育子
鋤きおこす土の命や實の忌 安藤久美
初花を待ちて閑かや實の忌 田村史生
手取川酌み交はしたき實の忌 酒井きよみ
燕来るなり日本に村いくつ 佐々木まき
おぼろの夜言葉の森に迷ひこみ 間宮伸子
さても我孫弟子ならん飴山忌 泉早苗
・長谷川櫂選
【特々選】
白山の空を落ちくる雲雀かな 趙栄順
飴山忌山河の石となり眠る 藤倉桂
ふる里を枕に眠る實の忌 清水薫
【特選】
飴山忌言葉がとても清潔な 山本桃潤
何時も行く堤を父と卒業す 山本桃潤
一心に花の声聞く飴山忌 飛岡光枝
追福の百句を編まん飴山忌 宮田勝
鮒鮨のくれなゐ選るや飴山忌 玉置陽子
山の池の鯉で持て成す山の春 藤倉桂
【入選】
串熱き雪代山女飴山忌 飛岡光枝
蜥蜴出て背中ぬくめる實の忌 梅田恵美子
竹皮に包むあんころ實の忌 泉早苗
白魚飯いづこの川の香ならん 趙栄順
滾る湯に極太うどん山の春 藤倉桂
金沢に飴山忌あり美しき 趙栄順
ふと聞いて嬉しやけふの初蛙 橋詰育子
杉玉のひかり鮮し飴山忌 松川まさみ
野馬となりて去りたき日和かな 松川まさみ
鋤きおこす土の命や實の忌 安藤久美
初花を待ちて閑かや實の忌 田村史生
手取川酌み交はしたき實の忌 酒井きよみ
はくれんに傷一つなき飴山忌 稲垣雄二
日射しあび白山まぶし實の忌 梅田恵美子
燕来るなり日本に村いくつ 佐々木まき
さても我孫弟子ならん飴山忌 泉早苗
ほろ苦き能登の菜漬けや飴山忌 田村史生
能登やいま石蓴掻くころ實の忌 酒井きよみ
ほのぼのと酒蒸し饅頭實の忌 花井淳
第二句座(席題:春爛漫、楤の芽)
・鬼川こまち選
【特選】
楤の芽を摘みゆく一句一句かな 飛岡光枝
春爛漫天才同志さす将棋 間宮伸子
珠洲行きのバスは満席春爛漫 清水薫
春爛漫兵の墓には草の花 稲垣雄二
多羅の芽の揚げて香し和紙の上 花井淳
春握るたらめそのまま天ぷらに 稲垣雄二
師の言はときに匕首(あいくち)うどもどき 氷室茉胡
【入選】
楤の芽に飛びつく手の甲傷だらけ 藤倉桂
空にある木をひん曲げて楤を摘む 稲垣雄二
人を待つ春爛漫の金沢よ 花井淳
たらの芽やきのふの雨に輝けり 近藤沙羅
楤の芽を摘むや室戸の潮風に 橋詰育子
がれきの国春爛漫になほ思ふ 梅田恵美子
春爛漫いづこに行くも實の忌 近藤沙羅
楤芽摘む妻の背かくも丸くなり 氷室茉胡
惚けるにまかす楤芽や春爛漫 玉置陽子
らんまんの春はどこかに人さらひ 川上あきこ
金沢に春爛漫の句座はあり 田村史生
春爛漫孫に誘はれトランポリン 氷室茉胡
・長谷川櫂選
【特選】
空にある木をひん曲げて楤を摘む 稲垣雄二
たらの芽の採りつくされし山の道 梅田恵美子
清盛の扇子の招く春爛漫 田中紫春
【入選】
伐採の跡やたらの芽摘み余る 酒井きよみ
この庭の春爛漫の暮れゆけり 飛岡光枝
たらの芽やきのふの雨に輝けり 近藤沙羅
春爛漫天才同志さす将棋 間宮伸子
楤の芽を摘むや室戸の潮風に 橋詰育子
春爛漫孫に誘はれトランポリン 氷室茉胡