古志広島ズーム句会(2023年3月5日)
第一句座
・矢野京子選
【特選】
よぢ登る八十歳の壁紅白梅 上松美智子
春一番国引く神の背を押して 菅谷和子
春泥のやがて固まる一句かな 駒木幹正
親不孝親あればこそ花菜飯 河本秀也
潜りては涙拭うて残る鴨 米山瑠衣
【入選】
かたびら雪触れなんとして翻る 長谷川櫂
すみれ咲く君が戻りてきしごとく 斉藤真知子
どこからか鳥の呼ぶ声春の森 伊藤靖子
ものの芽や深き赤より緑萌ゆ ストーン睦美
一箱の葉に巣ごもれり桜餅 長谷川櫂
空よりも土の明るき落椿 石塚純子
作務終へて腰の小篭に山椒の芽 原京子
波音はオラショの声か桜貝 大場梅子
鯥五郎恋をするのも泥まみれ 斉藤真知子
・長谷川櫂選
【特選】
すみれ咲く君が戻りてきしごとく 斉藤真知子
花見上ぐ友ペットロス吾夫ロス 岡村美沙子
春寒し娘が掛ける老眼鏡 菅谷和子
波音はオラショの声か桜貝 大場梅子
鯥五郎恋をするのも泥まみれ 斉藤真知子
【入選】
かすむ目に大いなるかな春の月 金田伸一
どこからか鳥の呼ぶ声春の森 伊藤靖子
よぢ登る八十歳の壁紅白梅 上松美智子
強き名をつけてやりたき子猫かな 矢野京子
句座あれば今日も来ている菫かな 高橋真樹子
初蝶や象の尻尾と戯れる 城山邦紀
上りきて下りゆくかな花遍路 矢田民也
風に乗りカイトサーフイン春の人 矢野京子
風吹けば風とじやれ合ふ花菜かな 河本秀也
第二句座(席題:草青む、雉)
・矢野京子選
【特選】
わたくしに今幾たびの草青む 岡村美沙子
胸を張りだうだうと雉国鳥ぞ 原京子
草青みファーストシューズ下ろしけり 矢田民也
【入選】
胸の子を下ろすやあたり草青む 神戸秀子
草青む瓦礫の山の隙間かな 林弘美
草青む寅さんふらり堤から 大平佳余子
草青む猫は蛇口の水が好き 駒木幹正
庭に出よ身を動かせと草青む ももたなおよ
転勤の町に一年草青む 石塚純子
雉鳴いて吉野の小道さえわたる 夏井通江
・長谷川櫂選
【特選】
わたくしに今幾たびの草青む 岡村美沙子
胸の子を下ろすやあたり草青む 神戸秀子
草青むころには癒へんこの身かな 矢野京子
草青む馬全身をよこたへて 斉藤真知子
聞こへざる耳に雉鳴く草の原 矢野京子
【入選】
この山の主と名乗れる雉子かな 石塚純子
コンビニへ百歩の道や草青む 矢田民也
吉野建て揺れてをるかやきぎす啼く 大平佳余子
歳時記を読めぬ眼や雉の声 金田伸一
失ひし日々遙かなり草青む 城山邦紀
草青む小さき蕾を震はせて ももたなおよ
転勤の町に一年草青む 石塚純子
平和への思いの丈を雉鳴けり 矢野京子
雉子の声新緑の森突き抜けて 伊藤靖子
雉鳴いて雨降山は見えぬまま 神戸秀子