古志鎌倉ズーム句会(2023年2月12日)
第一句座
•藤英樹選
【特選】
泥の上泥にまみれて鯥五郎 おほずひろし
立春の光に金魚翻る 神谷宣行
朝刊の冷え切つてゐる沈丁花 わたなべかよ
寒卵父情のごとく手のなかに わたなべかよ
冬麗の塊ならん吉野葛 長谷川櫂
削ぎ削ぎて命のかたち鶯餅 神谷宣行
ふやけたる国へどつどと大雪崩 喜田りえこ
【入選】
原子炉はバベルの塔か冬の月 湯浅菊子
海苔搔く手けふはラ・カンパネラを弾く 長井はるみ
鬱勃と外苑の木々芽吹きけり わたなべかよ
白魚の瞠目したる顔ばかり 関根千方
東京を潤すひと日春の雪 吉田順子
身綺麗にゐたしと思ふ梅真白 金澤道子
龍太忌や山の吐きたる息ひとつ 藤原智子
•長谷川櫂選
【特選】
立春の雪の降りこむ屋台かな 木下洋子
月の面に人の降り立つ梅の花 藤原智子
深夜バス乗客眠る春の雪 田中益美
【入選】
産土を捨てた男に春満月 園田靖彦
母はまた疎開の話春火鉢 升谷正博
鬱勃と外苑の木々芽吹きけり わたなべかよ
艶やかにぜんざい煮えて梅白し 澤田美那子
探梅やまづは天神様の梅 金澤道子
第二句座 (席題=雲雀 、海女)
•藤英樹選
【特選】
平城宮跡や雲雀の空となり 澤田美那子
突き上げし右手に獲物海女躍る 園田靖彦
青空は青き廃墟や揚雲雀 長谷川櫂
くちなはと対峙のままや親ひばり 園田靖彦
商ひも魚もうまし伊勢の海女 喜田りえこ
戦場へ続く大空鳴け雲雀 西川遊歩
【入選】
揚雲雀降り来る気配無かりけり 木下洋子
もくもくと疲れを知らぬ海女ひとり 吉田順子
海底の闇を脱ぎつつ海女浮き来 関根千方
落雲雀野は柔らかく愛ほしく イーブン美奈子
河原では少年野球雲雀鳴く 田中益美
今もなほ雲雀あがるや大極殿 森永尚子
浅間山けふの静寂ひばり鳴く 西川遊歩
•長谷川櫂選
【特選】
腰綱を手繰る夫あれ海女の恋 湯浅菊子
磯なげき白き衣の八十年 森永尚子
天上へ舞ひ上るごと海女潜る 西川遊歩
【入選】
行商の海女の乗り込む伊勢電車 喜田りえこ
神棚の榊を替へて海女の朝 田中益美
揚雲雀降り来る気配無かりけり 木下洋子
海鳥を驚かせたり磯なげき 葛西美津子
命綱にぎり直して海女の夫 澤田美那子
もくもくと疲れを知らぬ海女ひとり 吉田順子
草野球眺めあきたる雲雀かな 森永尚子
金の糸引いて揚がれる雲雀かな わたなべかよ
浅間山けふの静寂ひばり鳴く 西川遊歩
舟に放る鮑常節海女の籠 葛西美津子