古志広島ズーム句会(2023年2月5日)
第一句座
・矢野京子選
【特選】
鬼やらひやらはれて知る痛さかな 城山邦紀
金縷梅やそろそろ山をくすぐろか ももたなおよ
死に処さぐるがごとく梅探り 矢田民也
春立てど宿題多き地球かな 大平佳余子
冬の蜂もののふのまま横たはる 長谷川櫂
【入選】
ウォーキングマシンは物置き日脚伸ぶ 夏井通江
たたかれて帝驚く歌留多かな 菅谷和子
もみくちやにされて断崖野水仙 大場梅子
軒氷柱解けそめ春を奏でけり 菅谷和子
咲き出でてまた雪を呼ぶ雪割草 菅谷和子
指赤く雪かき分くる蕗の薹 石塚純子
大氷柱どれも直立全うす 高橋真樹子
戻りくる賀状いくつか白湯一椀 矢田民也
・長谷川櫂選
【特選】
高曇り花の種振るマツチ箱 石塚純子
藁抜いて心許なき目刺かな 斉藤真知子
大寒や蜜戻しやる蜂の箱 米山瑠衣
【入選】
指赤く雪かき分くる蕗の薹 石塚純子
生き死にをもてあそぶ鬼やらふべし 大場梅子
湯を通す白魚白く笊の上 駒木幹正
年の豆五十個までは数へしが 斉藤真知子
名句生む力となれや寒の水 安藤文
第二句座(席題:蕗の薹、春の宵)
・矢野京子選
【特選】
春の宵一斗の酒を呑む李白 大場梅子
蕗の薹けささみどりが雪に透け 菅谷和子
蕗の薹刻めば花のこぼるるよ 長谷川櫂
【入選】
蕗の薹川はいつしか山盧へと 神戸秀子
蕗の薹そはほろ苦き師の言葉 駒木幹正
蕗の薹知らぬ人住む生家かな 斉藤真知子
蕗の薹朝のひかりを一身に 斉藤真知子
母逝きて己が貌見る春の宵 高橋真樹子
・長谷川櫂選
【特選】
退院やどこもかしこも蕗の薹 米山瑠衣
蕗の薹まことにふきの味したり 上松美智子
蕗の薹見事に花を咲かせけり 上松美智子
【入選】
ふきのたう長生きの母幸せか 夏井通江
春宵や痛みはじむる親不知 斉藤真知子
蕗の薹見つけてうれしひざまづく 伊藤靖子
蕗の薹朝市の棚一杯に 林弘美
明日つむ蕗の薹なりつまずおく 大平佳余子