古志仙台ズーム句会(2022年8月28日)
第一句座
・長谷川冬虹選
【特選】
死神を蹴りくしやくしやの夏布団 青沼尾燈子
油蝉六肢たたみて転がれり 武藤主明
散骨の手に秋風がのこりけり 三玉一郎
兵たりし父はどの星終戦日 甲田雅子
よく笑ふ女に似たり秋茄子 川辺酸模
【入選】
四十雀蟬を腹から食ひ始む 阿部けいこ
星飛んでよりこの人と半世紀 齋藤嘉子
外苑の木々哭く声か夜の秋 長谷川櫂
忽然と見知らぬ町やいなびかり 上村幸三
蟬時雨母を恋しと母が言ふ 谷村和華子
炉に刺して花のごとしや子持鮎 齋藤嘉子
向日葵の沖へ沖へと陽が沈む 武藤主明
スイミーの切手で届く夏便り 阿部けいこ
人の訃になにもできずに秋扇 青沼尾燈子
秋天へ球児満塁ホームラン 那珂侑子
・長谷川櫂選
【特選】
秋風や日本に奏でるバンドゥーラ 齋藤嘉子
窓開けて虫大国に眠りけり 及川由美子
散骨の手に秋風がのこりけり 三玉一郎
夜の秋顔をたたいて化粧水 阿部けいこ
アルプスの控え選手の夏終る 武藤主明
【入選】
四十雀蟬を腹から食ひ始む 阿部けいこ
パン買ひにサンダルで出て雲は秋 及川由美子
油蝉六肢たたみて転がれり 武藤主明
新盆の部屋に静かな風通る 佐伯律子
僧も出てていねいに刈る盆の道 甲田雅子
田の神が月夜に遊ぶ刈田かな 齋藤嘉子
忽然と見知らぬ町やいなびかり 上村幸三
炉に刺して花のごとしや子持鮎 齋藤嘉子
秋晴へ散骨の手をはたきけり 三玉一郎
葛の花深山の香り放ちけり 及川由美子
スイミーの切手で届く夏便り 阿部けいこ
添水鳴れ吾が藪よりの竹真青 石川桃瑪
第二句座(席題:桔梗、鹿、相撲)
・長谷川冬虹選
【特選】
弓取の白きししむら大相撲 石川桃瑪
口下手がどつと沸かせる草相撲 齋藤嘉子
魂がごつとぶつかる相撲かな 三玉一郎
幼子に勝つてはならぬ草相撲 武藤主明
【入選】
少年の生成りの回し草相撲 佐藤和子
桔梗や無口な父のなつかしく 平尾 福
もみあげも胸毛も濃くて負け力士 及川由美子
吐息つくやうに開くや白桔梗 甲田雅子
細き子の勝ちて喜ぶ相撲かな 阿部けいこ
官軍の迫りし峠花桔梗 武藤主明
まだきみに言へぬことある桔梗かな 三玉一郎
山里の痩せ地に白く桔梗かな 上 俊一
・長谷川櫂選
【特選】
魂がごつとぶつかる相撲かな 三玉一郎
こんなにも白のさびしき桔梗かな 谷村和華子
蝦夷鹿の大きく跳んで藪に消ゆ 服部尚子
幼子に勝つてはならぬ草相撲 武藤主明
寝て起きて大きくなつてゆく力士 三玉一郎
【入選】
少年の生成りの回し草相撲 佐藤和子
夫ながくわんぱく相撲の行司なり 甲田雅子
権禰宜の尻の白さよ宮相撲 川辺酸模
官軍の迫りし峠花桔梗 武藤主明
畑に行く度に数へる南瓜かな 阿部けいこ
耳立ててぢつと見てゐる母鹿よ 長谷川冬虹
今宵また畑荒らすか鹿の声 川辺酸模
野次に沸き勝ち負け問はぬ草相撲 及川由美子
振り向きし鹿の眼の物悲し 佐伯律子
夫婦鹿ひとこゑもなく立ち去れり 青沼尾燈子