古志広島ズーム句会(2022年8月7日)
第一句座
・矢野京子選
【特選】
ゴーギャンの女は果実大夕立 神戸秀子
起し絵の空つきぬけてきのこ雲 飛岡光枝
青空といふ永遠の夏休み 長谷川櫂
箱庭にやさしき国をつくりけり ストーン睦美
冷たくてきれいな水や広島忌 菅谷和子
【入選】
カナカナの声限りなく夕暮れる 伊藤靖子
なよ竹のかぐやいづこや竹を伐る 菅谷和子
ハンモック風のまにまに夢のまに 菅谷和子
マスクして今年もくぐる茅の輪かな 安藤文
原爆忌遺品はひとつ弁当箱 原京子
山と鉾草花のごと立ち並ぶ 長谷川櫂
自由得て沖へ沖へとヨットかな 斉藤真知子
沼の面の表を蜻蛉裏を鯉 矢田民也
草となりし人ばうばうと広島忌 飛岡光枝
草刈の香の真中なり握り飯 石塚純子
敵にも涙の母や終戦忌 米山瑠衣
八月や征かず殺めずながらへて 矢田民也
百丈の菊と弾ける二尺玉 河本秀也
・長谷川櫂選
【特選】
あの夏を駆け抜け被爆電車くる 矢野京子
ゴーギャンの女は果実大夕立 神戸秀子
借りて妻のまことに小さき汗拭ひ 河本秀也
戦況は二転三転紫蘇を揉む 米山瑠衣
草となりし人ばうばうと広島忌 飛岡光枝
草刈の香の真中なり握り飯 石塚純子
潮騒やあとかたもなき海の家 斉藤真知子
敵にも涙の母や終戦忌 米山瑠衣
八月や征かず殺めずながらへて 矢田民也
墓参り掃き寄せ松の塵ばかり 神戸秀子
【入選】
いつの間に戦の渦中百日紅 神戸秀子
へろへろと犬舌を出す暑さかな 安藤文
マスクして今年もくぐる茅の輪かな 安藤文
夏痩せのわけは聞かずに別れけり 岡村美沙子
幾年を忘れて涼し墓の前 河本秀也
真昼間のそよりともせぬ氷旗 矢野京子
鉦叩き国葬といふ闇深し 城山邦紀
息絶えしかなぶん眠る網戸かな 安藤文
打ち水は空の青さを散らしけり 城山邦紀
不真面目がとりえとのたまひ生身魂 矢田民也
第二句座(席題:七夕、桃)
・矢野京子選
【特選】
かささぎの羽踏みふみての逢瀬かな ストーン睦美
星と生まれて星に恋する淋しさよ 長谷川櫂
不愛想な種を抱きて水蜜桃 米山瑠衣
【入選】
うとうととわが彦星は夢の中 大場梅子
がつがつとのぼさん桃をむさぼらん 大場梅子
くれなゐにはぢらふ桃の皮をむく 菅谷和子
やわらかき桃をがぶりと罪ぶかし 夏井通江
金色の蜜の光の桃一つ 長谷川櫂
大き桃捥ぐや太陽眩しみて 飛岡光枝
陶工は皿割り続け桃実る 河本秀也
・長谷川櫂選
【特選】
くれなゐにはぢらふ桃の皮をむく 菅谷和子
大き桃捥ぐや太陽眩しみて 飛岡光枝
白桃や優しく重く掌に 城山邦紀
【入選】
うとうととわが彦星は夢の中 大場梅子
たなばたや飾りは風の色をなし 夏井通江
とりもどす優しき心桃を剥く 斉藤真知子
やわらかき桃をがぶりと罪ぶかし 夏井通江
干乾びしこころとからだ桃啜る 矢野京子
桃食べて桃のやうなるこどもかな ももたなおよ
白桃をしばらく水に浮かせけり 斉藤真知子
不愛想な種を抱きて水蜜桃 米山瑠衣
部屋いっぱい桃の香りや宅急便 城山邦紀