古志鎌倉ズーム句会(2022年6月12日)
第一句座
【特選】
•藤英樹選
ひらがなの国に生まれて衣がへ 長谷川櫂
時代てふ顔なき巨人青嵐 萬燈ゆき
夕焼に人呼ぶ声やウクライナ イーブン美奈子
冷やしたぬきそば命したたかなりにけり 森永尚子
ほうたるや風にぶつかりつつ交む 曽根崇
執着を捨てて涼しき四畳半 喜田りえこ
一突きの時の流れの心太 西川遊歩
【入選】
ぼうふりの天地定めぬ浮沈かな 湯浅菊子
けさ空にひとつ泰山木の花 葛西美津子
生臭し蝙蝠のゐて人がゐて イーブン美奈子
追憶はサマードレスの数ほどに 萬燈ゆき
狡さ我が五臓に棲めり額の花 イーブン美奈子
尻重し頭重たし蟻地獄 関根千方
高速でメール打つ子やソーダ水 木下洋子
ジャムを煮てひと日籠れり梅雨の家 葛西美津子
•長谷川櫂選
【特選】
竹の節ごつとありけり渋団扇 澤田美那子
シュプレヒコール遥か六月十五日 喜田りえこ
点滴とつながれしまま梅雨に入る 園田靖彦
ほうたるの闇やはらかく人うごく 曽根崇
逆巻いてうねる吾が髪梅雨に入る わたなべかよ
【入選】
時代てふ顔なき巨人青嵐 萬燈ゆき
けさ空にひとつ泰山木の花 葛西美津子
向日葵も戦士のかほをしてゐたる 藤英樹
しんかんと我が宇宙なり籐寝椅子 湯浅菊子
崩さねば崩れてしまふかき氷 関根千方
第二句座 (席題:蜥蜴、蚊遣)
•藤英樹選
【特選】
明日売る牛に最後の蚊遣焚く 曽根崇
大蜥蜴ぬつと行く手を阻みけり イーブン美奈子
それぞれの家の香りの蚊遣火よ 藤原智子
懐かしく切なきものよ蚊遣香 田中益美
父ありし日の縁側の蚊遣豚 おほずひろし
【入選】
昼着きて蚊遣の宿の記帳かな 森永尚子
蚊遣香夢の中まで匂ひけり 曽根崇
蚊遣焚く事よりはじめソロキャンプ 金澤道子
蚊遣火を腰にぶらさげ銃を持つ 関根千方
つつがなく法事も終わり蚊遣香 田中益美
蚊遣火の渦消ゆるまで推敲す 関根千方
笠智衆しづかに点す蚊遣香 西川遊歩
蚊遣火やもう帰るとは言ひ出せず イーブン美奈子
•長谷川櫂選
【特選】
蜥蜴の尾生々しくも光りけり 吉田順子
動くもの蜥蜴ばかりの空き家かな 田中益美
蚊遣火の渦消ゆるまで推敲す 関根千方
切られたる蜥蜴の尻尾呆然と 西川遊歩
瑠璃蜥蜴金毘羅さまの神橋に 曽根崇
【入選】
明日売る牛に最後の蚊遣焚く 曽根崇
古書店は店ぢゆう匂ふ蚊遣かな 藤英樹
生家とはふかく沁みたる蚊遣香 萬燈ゆき
蚊遣火や女の白きふくらはぎ 葛西美津子
川風にまたも燃え立つ蚊遣の火 葛西美津子
蚊遣香山ほど持たせ送り出す 長井はるみ
懐かしく切なきものよ蚊遣香 田中益美
探鳥や腰に吊るして蚊遣香 金澤道子
夕暮れのにほひと思ふ蚊遣りかな 喜田りえこ
父ありし日の縁側の蚊遣豚 おほずひろし