古志広島ズーム句会(2022年6月5日)
第一句座
・矢野京子選
【特選】
君ら母に愛されしこと螢飛ぶ 長谷川櫂
桜貝さがしにいつて何処まで 飛岡光枝
滴りや一句一句に母宿る 長谷川櫂
【入選】
かつかつと軍事パレード蜈蚣くる 大平佳余子
亜紀といふ名こそ涼しき忘れまじ 米山瑠衣
羽抜鳥まだ抜けきらぬ羽ひとつ 城山邦紀
真昼間の日は水にゆれ目高の子 飛岡光枝
逝つてはならぬ人逝かしめり若葉雨 石塚純子
泰山木太陽の花月の花 飛岡光枝
忠敬の歩幅さだまる雲の峰 菅谷和子
白ぼたん地蔵菩薩となりたまへ 石塚純子
抱きしめてわが子を託す青山河 長谷川櫂
夜更かしの女見てゐる金魚かな 斉藤真知子
・長谷川櫂選
【特選】
会ふごとに齢訊かるる帰省かな 矢田民也
声援のやぶれかぶれの団扇かな 矢野京子
草笛を吹いて呼び戻せるならば 矢野京子
大いなる夏へと逝きし句友かな ももたなおよ
【入選】
亜紀さんの夏帽子かなあの雲は 大平佳余子
羽抜鳥まだ抜けきらぬ羽ひとつ 城山邦紀
幻の麦穂の波を風わたる 飛岡光枝
森深く青鳩のくる泉かな 大平佳余子
神いづこ屍累累木下闇 城山邦紀
逝つてはならぬ人逝かしめり若葉雨 石塚純子
青空のなかに暮らして茄子を焼く 夏井通江
草つかむ春蝉の殻八ヶ岳 石塚純子
川向こうあんなところに虹の脚 岡村美紗子
大阪の明るき夏の闇に寝る 夏井通江
昼寝覚いづこより戻りしや知らず 上松美智子
昼寝覚すでに方舟発ちたるや 矢田民也
梅の実のあまく香れる売家かな 矢野京子
白ぼたん地蔵菩薩となりたまへ 石塚純子
父の日や新聞を読む父しづか 安藤文
明け早しカヌーすいすい街の川 ももたなおよ
明易し葉かげにひとつ白き花 斉藤真知子
夜更かしの女見てゐる金魚かな 斉藤真知子
第二句座(長井亜紀さんの追悼句)
・矢野京子選
【特選】
この夏の海見ぬままのサングラス 斉藤真知子
夏草やいのちにいのち重なりて 飛岡光枝
思ひ出は君の笑顔やソーダー水 斉藤真知子
【入選】
ありがとう亜紀さんの句集読み返す 大平佳余子
亜紀さんへおくる一輪白薔薇 菅谷和子
愛されし思い出抱いて夏帽子 夏井通江
愛深き母とこしなへ夏の星 菅谷和子
子に遺すいのちの句集さくらんぼ 飛岡光枝
子の手紙いだきて逝きし夏の空 夏井通江
大いなる夏本番といふときに 大場梅子
滴りを母の涙と思ふらん 菅谷和子
母いつも君らのそばに夏の空 斉藤真知子
鈴をふる声のこだます雲の峰 上松美智子
・長谷川櫂選
【特選】
亜紀さんの蚕豆なりしいざ剝かん 大平佳余子
子に遺すいのちの句集さくらんぼ 飛岡光枝
全て捨て全てを抱きて夏のゆく 城山邦紀
【入選】
ほうたるの乱舞の中を渡られし 原京子
亜紀さんの声まだ耳に昼寝覚 安藤文
子ら強くこれから生きよ豆の飯 安藤文
扇風機はたと止まれば君のこと ももたなおよ
母いつも君らのそばに夏の空 斉藤真知子