古志鎌倉ズーム句会(2022年4月17日)
第一句座
•藤英樹選
【特選】
咲き満ちてひとひらこぼす桜かな 萬燈ゆき
戦争の只中を春ゆきにけり 関根千方
いちめんの菜の花揺るる近江かな 木下洋子
一村を沈めしダム湖余花白し 曽根崇
わが息の虹色となる石鹸玉 澤田美那子
永き日や嘆きては人別れゆく 長谷川櫂
戦乱や人心春の泥まみれ 西川遊歩
【入選】
一輪の淫らなるまで桃の花 長谷川櫂
うぶすなを奪ふ戦車や忘れ霜 木下洋子
目覚むれば桜の白き闇ばかり イーブン美奈子
夕烏若葉揺すりて巣の支度 おほずひろし
あつけらかんと顎はずしチユーリツプ 長井はるみ
侵略が大手を振つて春が逝く 木下洋子
花見よし酒の香のなき墨堤よ 吉田順子
•長谷川櫂選
【特選】
戦争の只中を春ゆきにけり 関根千方
独裁者退がれ退がれと潮まねき 藤英樹
灌仏の風渡りゆく大甍 喜田りえこ
【入選】
八十八夜砲撃の止まざりき 関根千方
くるぶしの癒えて八十八夜かな 仲田寛子
めぐり来て春おそろしく傷ましく 葛西美津子
マスクして顔失ひし桜かな 萬燈ゆき
ゴミ出しのついでに覗く花まつり 喜田りえこ
箱ずしのもう売り切れて八重桜 森永尚子
人を信じず花冷の坂下る イーブン美奈子
かけがへなき一木一草青き踏む 仲田寛子
春愁をこぼして廻る水車かな 萬燈ゆき
飯蛸は焼かれて花の脚ひらく 関根千方
第二句座 (席題:燕、開帳)
•藤英樹選
【特選】
東京の燕すくなくなりにけり 吉田順子
ひとところ花影妖し御開帳 萬燈ゆき
明日見えぬ瓦礫の町へ燕来る 西川遊歩
鬱鬱と燕の空となりにけり 澤田美那子
【入選】
水張つて棚田千枚つばくらめ 萬燈ゆき
燕の巣土間の入り口開けておく 田中益美
御開帳なにもなき闇拝みけり 神谷宣行
大川の波をかすめて初つばめ 園田靖彦
秘仏なほ隠せしままに御開帳 萬燈ゆき
•長谷川櫂選
【特選】
金色のいやまぶしさよご開帳 葛西美津子
村の人みな年とりぬ御開帳 仲田寛子
風切つて燕とびゆく美しさ 吉田順子
青権現どんと三体開帳す イーブン美奈子
開帳の秘仏ながめん裏表 園田靖彦
【入選】
駅うらは昭和の匂ひ夕つばめ 升谷正博
白絹で御足さすりぬご開帳 葛西美津子
ひらひらと蝶舞ひ込みぬ御開帳 藤英樹
開帳に舟の混みあふ浦港 曽根崇
その中に義士の甲冑出開帳 木下洋子
観音の御足に触るる居開帳 金澤道子
ひとところ花影妖し御開帳 萬燈ゆき
開帳のなにか知らねど頭垂れ 升谷正博
ぼろぼろの真田紐解き御開帳 仲田寛子
御開帳なにもなき闇拝みけり 神谷宣行
車椅子出入り自由の御開帳 田中益美
開帳や厨子も仏もあな小さ 森永尚子
花の山とびら開いてお厨子かな 森永尚子
開帳をよろこびあひて和布干す 曽根崇