古志金沢ズーム句会(2022年3月20日)
第一句座(当季雑詠)
・鬼川こまち選
【特選】
春川を越え難民となりにけり 稲垣雄二
和する声和する心の春かすみ 中野徹
鷺の巣の小松ならぶや飴山忌 近藤沙羅
日常のなくなる怖さ南瓜蒔く 近藤沙羅
泰然と雲浮かみたり飴山忌 松川まさみ
北窓を開かば戦火死者の声 松川まさみ
晨朝の一経ささぐ実の忌 泉早苗
赤子包むうすき毛布や余震なほ 安藤久美
国を越え難民となる春ショール 稲垣雄二
春の水満たす俳句の器かな 趙栄順
吹き下ろす雪解の風や飴山忌 梅田恵美子
月おぼろ我もおぼろや飴山忌 中野徹
たんぽぽ一つ又一つ戦車くる 酒井きよみ
【入選】
啓蟄や虫はすぐさま戦ひに 間宮伸子
臈長けて加賀の銘菓や飴山忌 佐々木まき
春の水手にほとばしる實の忌 安藤久美
鮮しきことば湧くべし飴山忌 松川まさみ
戦火から逃れる人に春颯 近藤沙羅
一滴の水花となれ二月堂 趙栄順
紀ノ川の苔の香あをき小鮎かな 玉置陽子
春の月人類はいま崖つ縁 酒井きよみ
父母の一世をおもふ彼岸かな 橋詰育子
春一番二番三番血の匂い 松川まさみ
實忌の雪しろけぶる能登の岸 玉置陽子
金沢の野花あふれしめ実の忌 泉早苗
初花の空に白山實の忌 稲垣雄二
飴山忌四高寮歌の夫の声 密田妖子
啓蟄や瓦礫の山の大地いま 藤倉桂
・長谷川櫂選
【特選】
干鰈炙れば花の骨身かな 玉置陽子
初花の空に白山實の忌 稲垣雄二
なかなかな朝寝なるかな卯辰山 泉早苗
【入選】
啓蟄や虫はすぐさま戦ひに 間宮伸子
フラスコに新たな命飴山忌 氷室茉胡
戦火から逃れる人に春颯 近藤沙羅
飴山忌風の大樹に詩のひびき 松川まさみ
戦あるな戦ぞあるな飴山忌 鬼川こまち
日常のなくなる怖さ南瓜蒔く 近藤沙羅
泥まみれの震へる捕虜や春の風 稲垣雄二
ぐひ吞みに花も散りこめ飴山忌 佐々木まき
泰然と雲浮かみたり飴山忌 松川まさみ
大阪の雪めづらしや實の忌 安藤久美
白山の深きふところ飴山忌 密田妖子
椅子ひとつ庭にもち出す初桜 橋詰育子
春一番二番三番血の匂い 松川まさみ
人としてのこころ育てよ種浸し 山本桃潤
墓に酒そそぎしことも實の忌 酒井きよみ
たんぽぽ一つ又一つ戦車くる 酒井きよみ
紅梅の空に白山飴山忌 梅田恵美子
第二句座(席題=苗札、目刺)
・鬼川こまち選
【特選】
志に痩せてはならじ目刺焼く 長谷川櫂
目刺食む戦禍の国のニュース見つ 泉早苗
藁しべを取る時目刺し痛からん 間宮伸子
戦場へ続く青空目刺焼く 稲垣雄二
目刺し焼く瓦礫の街を思ひつつ 梅田恵美子
目玉なき目より焦げたる目刺かな 玉置陽子
【入選】
目刺焼く焦げし頭をひとかじり 中野徹
目刺し焼く足元すぐに猫の来る 梅田恵美子
苗札をはじきて水のかがやけり 安藤久美
苗札と違ふ花咲くことも又 橋詰育子
潮風へラインダンスの目刺かな 玉置陽子
苗札も鉢も小さし山野草 酒井きよみ
苗札に園児の名のある花壇かな 中野徹
苗札をはみ出しさうなちゆーりつぷ 田村史生
食ふに惜し藍うつくしき目刺かな 近藤沙羅
苗札やこの世の夢を託しつつ 田中紫春
目刺焼く写真の君は煙だけ 稲垣雄二
尾頭の炭となりたる目刺かな 趙栄順
苗札の花は言葉を聞いて咲く 中野徹
・長谷川櫂選
【特選】
父に生干しあとは固干し目刺買ふ 酒井きよみ
目玉なき目より焦げたる目刺かな 玉置陽子
太閤が天守で目刺やく煙 山本桃潤
【入選】
御御足にふるる涅槃の風やさし 田中紫春
苗札と違ふ花咲くことも又 橋詰育子
新しき苗札一つ實の忌 梅田恵美子
うすれたる苗札覆ぶ雑草よ 密田妖子
藁しべを取る時目刺し痛からん 間宮伸子
一人なる昼餉や目刺けぶらせて 橋詰育子
苗札は鳥の墓標となりにけり 稲垣雄二
戦場へ続く青空目刺焼く 稲垣雄二
愛すべき無冠の夫へ目刺かな 鬼川こまち
尾頭の炭となりたる目刺かな 趙栄順
目刺し焼く瓦礫の街を思ひつつ 梅田恵美子
ばりばりと目刺を食うて我励ます 近藤沙羅