古志広島ズーム句会(2022年2月6日)
第一句座
・矢野京子選
【特選】
寒々と鷽替の鷽並びをり 飛岡光枝
重湯にも薺ななくさなみだほど 矢田民也
浜ひとつ凍らせてゆく寒波かな ストーン睦美
【入選】
ゲレンデはすべての君が恋敵 高橋真樹子
こころにも日にち薬や日脚伸ぶ 菅谷和子
この島は風も旨しや大根干す 米山瑠衣
これがまあ吾子の器量か受験生 林弘美
しばらくは郵便受けは小鳥の巣 菅谷和子
またひとり来て白魚の網のぞく 斉藤真知子
起き上がり小法師とならん着ぶくれて 神戸秀子
鬼役の入れかはりまた鬼は外 長井亜紀
今朝はもう春の明るさ歯をみがく 夏井通江
姉の忌に続く母の忌梅ふふむ ももたなおよ
水菜洗ふ細やかな葉をほどきつつ 伊藤靖子
雪ふかくねむれるキャベツ掘り起こす 神戸秀子
早梅や仰ぐたび富士あたらしく 神戸秀子
冬ごもり胸中の鬼育てつつ 飛岡光枝
氷る夜の光の花の街をゆく 長谷川櫂
風花や三分粥から五分粥へ 矢田民也
包丁で朝の氷柱をひとなぎに 菅谷和子
両端をちよつとつまんで鶯餅 斉藤真知子
・長谷川櫂選
【特選】
故郷や行きも帰りも春の空 米山瑠衣
今朝はもう春の明るさ歯をみがく 夏井通江
雪ふかくねむれるキャベツ掘り起こす 神戸秀子
板の間の板整然と冴ゆるかな 河本秀也
恋猫の恋しか見へぬまなこかな 菅谷和子
【入選】
この島は風も旨しや大根干す 米山瑠衣
ちちははの見舞もならず寒昴 米山瑠衣
またひとり来て白魚の網のぞく 斉藤真知子
我開けてすぐ夫閉めて春障子 原京子
蒲公英や子らの声なき保育園 安藤文
寒々と鷽替の鷽並びをり 飛岡光枝
起き上がり小法師とならん着ぶくれて 神戸秀子
点滴の一滴一滴冬深む 矢田民也
山暮れて野風呂に我と春の月 岡村美紗子
姉の忌に続く母の忌梅ふふむ ももたなおよ
早梅や仰ぐたび富士あたらしく 神戸秀子
年の豆食べて薬を飲み忘れ ももたなおよ
柊を挿す手に消毒薬にほふ 矢野京子
第二句座(席題:初午、山笑ふ)
・矢野京子選
【特選】
佐保姫のくさめに目覚め山笑ふ 菅谷和子
笑ふこと山にまかせて今日の事 原京子
百名山百の形や山笑ふ 大平佳余子
福島の取り残されし山笑ふ 飛岡光枝
【入選】
ゲレンデの恋は短し山笑ふ 高橋真樹子
ふところに特養ホーム山笑ふ 神戸秀子
ふるさとの笑へぬ山も笑ひくれ 大場梅子
朱千本鳥居くぐりて初の午 ストーン睦美
初午の囃子の音聞く遥かより 伊藤靖子
初午やいつもの店の雀焼 原京子
雪解けてひよつこり笑ふ佐渡の山 安藤文
窯を出す大きな壺や山笑ふ 斉藤真知子
・長谷川櫂選
【特選】
九州の山は笑ひているころか 長井亜紀
初午やマスク外して鼻真赤 矢野京子
初午や腰に厳しき雪の嵩 河本秀也
祠なき狐も来よや初午祭 ストーン睦美
【入選】
ゲレンデの恋は短し山笑ふ 高橋真樹子
渓流は微笑み山は笑ひたり 河本秀也
初午のご馳走母の稲荷ずし 菅谷和子
初午やいつもの店の雀焼 原京子
初午や大き油揚げ二つ供へ 大平佳余子