古志広島ズーム句会(2022年1月9日)
第一句座
・矢野京子選
【特選】
猿曳きを親と信じてあとを追ふ 菅谷和子
会はぬでも済む人数多ごまめ噛む 飛岡光枝
今年また走ってゐるね初出勤 原京子
子ら帰り子らの匂ひの蒲団干す 岡村美紗子
初富士の木花咲耶照りたまふ 長谷川櫂
【入選】
スマートフォン画面のなかの年賀かな 長井亜紀
とりどりのヤッケやそりや二日かな 夏井通江
寒に入る百合根はあまくかぐはしく 神戸秀子
鏡餅年々小さく二人かな 菅谷和子
空想の翼を広げ寝正月 ももたなおよ
降る雪よコロナ浄めてくれまいか 大場梅子
初めての黒豆母の味に似ず ストーン睦美
水仙の葉のばうばうと蕾をり 飛岡光枝
雪しんしん七草の粥吹きこぼる 大平佳余子
雪積る東京タワーの点りたり 林弘美
霜の夜や葱はとろりと蜜を溜め 原京子
足踏みのミシンカタカタ縫始 ももたなおよ
大空を逆さまにして出初め式 城山邦紀
大波に揺るるもよかれ宝船 斉藤真知子
丹頂は嘆きの丈をきそひけり 長谷川櫂
着ぶくれや夜空に宇宙ステーシヨン 河本秀也
夜の雪屏風の松に降り積もれ 斉藤真知子
蝋梅の香に触れ遊ぶひかりかな ももたなおよ
・長谷川櫂選
【特選】
干からびた身体を戻す初湯かな ストーン睦美
大空を逆さまにして出初め式 城山邦紀
雪の中身を横たへて大根かな 飛岡光枝
着ぶくれや夜空に宇宙ステーシヨン 河本秀也
冬きらきら夜の家々灯りけり 夏井通江
【入選】
いつの間に日陰りけり花びら餅 飛岡光枝
こわごわと病夫に替わり雪下ろし 岡村美紗子
とりどりのヤッケやそりや二日かな 夏井通江
会はぬでも済む人数多ごまめ噛む 飛岡光枝
駆け抜くるLINEの文字や去年今年 河本秀也
子ら帰り子らの匂ひの蒲団干す 岡村美紗子
七草籠つぎつぎ買はれ雪の町 神戸秀子
日になれよ星になれよと薺打つ 長井亜紀
覗き込む昨夜の鏡や雪をんな 飛岡光枝
頻尿の腰の重たき炬燵かな 安藤文
蝋梅の香に触れ遊ぶひかりかな ももたなおよ
第二句座(席題:寒施行、七草)
・矢野京子選
【特選】
ふりむけば闇あるばかり寒施行 長井亜紀
雲水のそつと置きたる寒施行 大場梅子
寒施行闇に光れるあまたの目 安藤文
雪のけて野施行の幸置きにけり ストーン睦美
母もまたホームの七草食べをるか 夏井通江
【入選】
七草や分けても多き母子草 林弘美
とぼしかる夕餉を分けて寒施行 菅谷和子
寒施行あとかたもなく消えゐたり 長谷川櫂
寒施行カラスに取つて食はれけり 菅谷和子
寒施行思はぬ獣あらはれし 上松美智子
七種を叩いてをれば鳥歌ふ ももたなおよ
七草の色やいのちを賜りぬ 城山邦紀
赤ん坊の口につけやる七草粥 斉藤真知子
・長谷川櫂選
【特選】
ふりむけば闇あるばかり寒施行 長井亜紀
むせるなと水も汲みおく寒施行 米山瑠衣
わが腹の透き通るほど七草粥 高橋真樹子
寒施行手つかずのまま石の上 矢野京子
雪のけて野施行の幸置きにけり ストーン睦美
【入選】
七草や分けても多き母子草 林弘美
寒施行これも五欲の一つかな 大平佳余子
寒施行闇に光れるあまたの目 安藤文
寒施行狐の親子礼に来る 岡村美紗子
七種粥まずいまずいと泣く子かな 安藤文
七草の吹けばかがやく粥熱し 長井亜紀
七草や芸妓集ひて賑やかに 上松美智子
七草粥吹きて術後の検診へ 大平佳余子
七草粥食べるや胸のあずましさ 高橋真樹子
赤ん坊の口につけやる七草粥 斉藤真知子
早々と鳥のきてゐる寒施行 斉藤真知子
大油揚げ石でおさへて寒施行 飛岡光枝
洞穴に曰く因縁寒施行 矢野京子
特売の芹をたつぷり七日粥 安藤文
病得て七草粥の身に沁みる 城山邦紀
母もまたホームの七草食べをるか 夏井通江