古志仙台ズーム句会(2021年12月26日)
第一句座
・長谷川冬虹選
【特選】
餅米を研ぎ赤鬼の手となりぬ 宮本みさ子
団扇もて冷ます尺余の鏡餅 宮本みさ子
忘年会こつそり抜ける二人かな 森 凜柚
芹なづな花を夢みて粥の中 上村幸三
【入選】
隈取を落とし楽屋の冬至風呂 鈴木伊豆山
寒林の線量未だ土の神 佐藤和子
着ぶくれて辣韭の皮剝くごとく 上 俊一
年毎に手を抜いてゆく年用意 齋藤嘉子
野辺送り黒々と行く深雪中 甲田雅子
虎張り子雪の夜更けに小さく吼ゆ 服部尚子
腰たかく水をまといて芹を摘む 甲田雅子
荒鮭の骸の中を水流る 長谷川櫂
良き年も哀しき年も逝きにけり 森 凜柚
百年間餅搗くのみの石の臼 宮本みさ子
・長谷川櫂選
【特選】
残生に花の日々あり日向ぼこ 川辺酸模
団扇もて冷ます尺余の鏡餅 宮本みさ子
柚子風呂や国を出ざること二年 長谷川冬虹
冬凪に干し蛸うつらうつらかな 齋藤嘉子
深閑と月に眠るや蓮の骨 川辺酸模
【入選】
冬ごもり毛玉だらけの父の服 伊藤 寛
ピンポンに笑ひ転けたる湯ざめかな 及川由美子
徘徊を散歩といひて年の暮 上 俊一
新しき言葉生まるる息白し 森 凛柚
年毎に手を抜いてゆく年用意 齋藤嘉子
丸かじりすれば清々蕪かな 石原夏生
餅米を研ぎ赤鬼の手となりぬ 宮本みさ子
風呂敷で一升くるみ師走かな 上 俊一
八つ頭どれが親やら子どもやら 武藤主明
山茶花をくぐりて猫の戻り来る 平尾 福
雪衾日に日に厚く山眠る 齋藤嘉子
混沌のニュースさておき柚子湯かな 佐藤和子
産土の神の還れる当もなし 武藤主明
新年や堂々と行く老いの道 平尾 福
第二句座(席題:人参、初明り、嫁が君)
・長谷川冬虹選
【特選】
人参の花のかたちや母の顔 川村杳平
嫁が君チーズの穴からみる世界 服部尚子
赤々と人参膾雑煮餅 鈴木伊豆山
海上をふるへるやうに初明り 及川由美子
月山の寝姿ほのと初明り 伊藤 寛
姑に手鞠麩はこぶ嫁が君 服部尚子
まつさらな闇まつさらな初明り 森 凛柚
【入選】
子を連れて年始回りか嫁が君 川辺酸模
一日の命ありがた初明り 那珂侑子
実家てふ彼方の記憶嫁が君 川村杳平
独り居を知つてか知らずか嫁が君 及川由美子
人参は人参らしき色であれ 佐伯律子
・長谷川櫂選
【特選】
人参の色の明るさ包丁す 石川桃瑪
独り居を知つてか知らずか嫁が君 及川由美子
人参は人参らしき色であれ 佐伯律子
今年またともに暮らさん嫁が君 武藤主明
【入選】
嫁が君の歯型も目出太大鏡 鈴木伊豆山
飼い猫のまた持てあそぶ嫁が君 阿部けいこ
人参のやうな一句を賜らん 長谷川冬虹
姑のしかけし罠に嫁が君 伊藤 寛
母の部屋隣に移し初明かり 甲田雅子
まつさらな闇まつさらな初明り 森 凛柚