古志鎌倉ズーム句会(2021年11月14日)
第一句座
•藤英樹選
【特選】
綿虫の一匹に話しかけてみん 藤原智子
展宏忌冬の桜の声を聞け 西村麒麟
花入れは花飾る毎枯れゆけり 西川遊歩
生きてゆく落葉のやうに呼吸して 森永尚子
その奥に白山眠る松林図 関根千方
たとふれば酢茎の味よわが齢 わたなべかよ
【入選】
長身を屈むる鴨居波郷の忌 わたなべかよ
しつとりと言葉降り積む展宏忌 園田靖彦
寂聴さん逝かれはらりと冬紅葉 イーブン美奈子
初雪の便りちらほら展宏忌 金澤道子
冬麗や掌に乗るほどの飛鳥仏 わたなべかよ
はろばろと響動もす海よ展宏忌 升谷正博
人間てふ管を涸らすな展宏忌 関根千方
純情を隠して照れて展宏忌 神谷宣行
せいのーと小春の空へ干すシーツ 喜田りえこ
•長谷川櫂選
【特選】
展宏忌冬の桜の声を聞け 西村麒麟
冬帽子まつさきに日の当たりけり 藤原智子
展宏忌めぐりきてほら花柊 葛西美津子
富岳より見え隠れしたる冬スミレ 魚返みりん
やや熱燗に展宏さんの忌なりけり 仲田寛子
【入選】
にこにこのお顔しか知らず展宏忌 澤田美那子
瀬戸の海に一句捧げん展宏忌 澤田美那子
戦争を挟みし昭和展宏忌 喜田りえこ
寂聴さん逝かれはらりと冬紅葉 イーブン美奈子
初雪の便りちらほら展宏忌 金澤道子
米沢は雪仕度済み展宏忌 藤英樹
いつの間にか消えてしまひし冬の蝶 おほずひろし
けふなぜかしづかな海や展宏忌 葛西美津子
蒼天の青どこまでも展宏忌 おほずひろし
一本が狂ひ咲きをり展宏忌 イーブン美奈子
化け物の虚子に見入られ展宏忌 西川遊歩
くちびる荒れて口笛冬の音 森永尚子
冬晴れほど楽しきものはなかりけり 森永尚子
その奥に白山眠る松林図 関根千方
テンゴクノサケハウマイカ展宏忌 神谷宣行
鮭上る大き頭をぶつけ合ひ 藤英樹
第二句座 (席題:懐手、鮫)
•藤英樹選
【特選】
群衆のすきを自在に鮫泳ぐ 長谷川櫂
小判鮫のごとき奴とは飲めぬなり わたなべかよ
鮫一匹揚げて火を焚く浜辺かな 神谷宣行
懐手そらおそろしき男かな イーブン美奈子
白き腹見せて大鮫船の下 曽根崇
空爆の前の静けさ鮫の海 神谷宣行
ざつくりと鮫に食はれし鉤の先 葛西美津子
【入選】
瞑想の淵に沈みぬ懐手 澤田美那子
干鮫の美味きところぞ土佐の国 森永尚子
反論を考えてゐる懐手 曽根崇
競られゐて鮫の目のなお恐ろしき 澤田美那子
鮫の目や森閑として無表情 長谷川櫂
久々の小町通りや懐手 金澤道子
笠智衆懐手してただ居りぬ 長井はるみ
宇和島は猛き町なり鮫喰らふ おほずひろし
淡々と金の話や懐手 西村麒麟
•長谷川櫂選
【特選】
鮫来たれ妻の病巣食ひつくせ 神谷宣行
懐手そらおそろしき男かな イーブン美奈子
淡々と金の話や懐手 西村麒麟
懐手してゐる国のありにけり 升谷正博
ざつくりと鮫に食はれし鉤の先 葛西美津子
【入選】
鮫捌く乙女の指や夕まぐれ 魚返みりん
干鮫の美味きところぞ土佐の国 森永尚子
鮫の身のあはれ真白や蒲鉾屋 葛西美津子
懐手ついに眠りに落ちにけり 関根千方
鮫一匹揚げて火を焚く浜辺かな 神谷宣行
子雀のあそび見てをり懐手 おほずひろし
鮫の眼が見ている水の暗さかな 森永尚子
懐手して顔ぶれの揃ふまで 金澤道子
笠智衆懐手してただ居りぬ 長井はるみ
宇和島は猛き町なり鮫喰らふ おほずひろし
砂まみれうちあげられし小鮫かな 田中益美
空爆の前の静けさ鮫の海 神谷宣行
宇治橋を代々守る懐手 わたなべかよ