古志ズーム句会(2021年11月7日)
第一句座
・矢野京子選
【特選】
秋行きぬ仙洞御所の門開けて 原京子
東洋のまなざし深きマスクかな 長谷川櫂
無患子の空晴れわたり七五三 神戸秀子
【入選】
たれ眠る秋日に灼かれ石一つ 飛岡光枝
どの子にもキラキラネーム七五三 安藤文
マスクはづして口元の落ち着かず 斉藤真知子
我が口は掘削機なり西瓜食ふ 河本秀也
玄関のマスクそれぞれ冬に入る 石塚純子
孤独強ひるコロナの世や冬に入る 上松美智子
自然薯のひげを大事と掘り上る 飛岡光枝
種採れば虫もころんと笊の中 米山瑠衣
神の留守人のこころに悪の華 菅谷和子
生きて世は穴ぼこばかり隙間張る 大場梅子
微積分もう一度読む夜長かな ストーン睦美
百キロの南瓜どや顔ハロウィーン 大平佳余子
綿虫のむらさきいろに日暮れくる 高橋真樹子
揺れてゐる水をなだめて紙漉けり 斉藤真知子
落選詫ぶ画面の隅や室の花 原京子
林檎剥く途切れぬ皮のうれしさよ 長井亜紀
・長谷川櫂選
【特選】
眠るまで森に木の実の降る音を 斉藤真知子
【入選】
おくんちの真赤な鯛の冬来る 飛岡光枝
ガラス張り冬の海見ゆレストラン 伊藤靖子
マスクはづして口元の落ち着かず 斉藤真知子
みはるかす山の裾まで刈田かな 菅谷和子
家中の座布団を干す小春かな 丸亀葉七子
玄関のマスクそれぞれ冬に入る 石塚純子
厚物の首くたびれて冬に入る 矢野京子
集落の子らは宝ぞ亥の子餅 大場梅子
十家族テント十色秋うらら 河本秀也
祝唄うたつて売り出す新走 夏井通江
小鳥来る公園の木の賑やかさ 林弘美
白樫の巨木伐採神の留守 石塚純子
抱つこして供へさせけり菊供養 米山瑠衣
木犀の花のかけらや今朝の雨 長井亜紀
落葉から飛び出してくる子犬かな 神戸秀子
立冬や国境超ゆる句会せん 大平佳余子
第二句座(席題:虎落笛、冬薔薇)
・矢野京子選
【特選】
いつの間に眠りの中を虎落笛 河本秀也
わが骨のぎしと軋むや虎落笛 飛岡光枝
眠らざる子どもを探す虎落笛 長谷川櫂
【入選】
かぐはしき雪の精なり冬薔薇 菅谷和子
もがり笛われの心と響きあひ 伊藤靖子
吾冬の薔薇となりたしまだなれず 大平佳余子
妻の座にぼんやりしてる冬薔薇 高橋真樹子
冬ばらをばしつと剪らん展宏忌 大場梅子
冬薔薇わが手触るれば砕けけり 飛岡光枝
冬薔薇大輪の花咲かせけり 上松美智子
夫入れてくれし珈琲冬のばら 大場梅子
・長谷川櫂選
【特選】
ひとの輪のなかの孤独や冬の薔薇 長井亜紀
哀れなる心に咲くや冬薔薇 土谷眞理子
冬薔薇の白をきはめてひらきけり 斉藤真知子
冬薔薇わが手触るれば砕けけり 飛岡光枝
冬薔薇をぐしやぐしやにしてみたきかな 安藤文
【入選】
コロナ禍の世をしんしんと虎落笛 安藤文
眼差しのまつすぐ先に冬薔薇 矢野京子
虎落笛こころに聴いてひとりかな 矢野京子
虎落笛聞きて熊の仔夢の中 ストーン睦美
凍てつきてなほ妖しけれ冬薔薇 ストーン睦美
病むひとのこころに咲けよ冬薔薇 菅谷和子
夫入れてくれし珈琲冬のばら 大場梅子