古志鎌倉ズーム句会(2021年10月10日)
第一句座
•藤英樹選
【特選】
病む妻のひと足早き秋袷 澤田美那子
わが庭に小鳥来るころ玩亭忌 金澤道子
アフガンは逃れ逃れてゆく秋ぞ 関根千方
ひとつぶの露さへ命うるほせる 関根千方
秋耕やあれこれ思ふ春のこと 木下洋子
いつしかに身の軽くなる花野かな 金澤道子
草々に秋定まりぬ玩亭忌 澤田美那子
【入選】
たかだかと鷹渡りゆく玩亭忌 金澤道子
八十の手習ひをせん玩亭忌 澤田美那子
馬肥えてコロナ収束見えてきし 木下洋子
女ざかりは仕事ざかりや玩亭忌 木下洋子
月山の地酒にほろと玩亭忌 曽根崇
大切なわ行のゐとゑ玩亭忌 西川遊歩
今年酒競ひ並ぶや稲荷山 澤田美那子
•長谷川櫂選
【特選】
質の良き批評あれかし玩亭忌 神谷宣行
蛇穴に入るやジョイスを読むために 西村麒麟
墨をすり筆を浸して玩亭忌 おほずひろし
【入選】
花すすき白深まりぬ玩亭忌 仲田寛子
八十の手習ひをせん玩亭忌 澤田美那子
わが庭に小鳥来るころ玩亭忌 金澤道子
栃の樹の葉の散るころや玩亭忌 仲田寛子
てにをはの難しきこと玩亭忌 金澤道子
ひやおろし六腑に沁みる玩亭忌 升谷正博
浮舟のその後いかに玩亭忌 イーブン美奈子
鯉もまた日ざし好めり新松子 曽根崇
街路樹の色づく頃や玩亭忌 仲田寛子
月山の地酒にほろと玩亭忌 曽根崇
大切なわ行のゐとゑ玩亭忌 西川遊歩
咲きいそぐ秋の七草玩亭忌 曽根崇
ゆく秋の野球観戦玩亭忌 田中益美
第二句座(席題:零余子、霧)
•藤英樹選
【特選】
朝霧の渡りゆくなり高野槙 わたなべかよ
雲裂けて霧ほとばしる羽黒山 曽根崇
むかご飯小三治の死を惜しむべく 西村麒麟
大いなるものの息する夜霧かな 長谷川櫂
みちのくのくがねのやうな零余子飯 園田靖彦
【入選】
霧ふかき横川へつづく石灯籠 木下洋子
一句詠むやうに零余子のこぼれたる 西川遊歩
霧の海引摺鐘はあの寺に 西川遊歩
霧の音馬と一緒に聞いてをり 西村麒麟
摘むよりもこぼるる数の零余子かな 金澤道子
朝霧の湖ながれゆく速さかな 吉田順子
天辺の霧まだ深き弥山かな 喜田りえこ
•長谷川櫂選
【特選】
器みな古く小さしむかご飯 西村麒麟
山ひとつ揺らしてむかご摘みにけり 藤英樹
半分はこぼしつつ採る零余子かな 曽根崇
ささやきの小路で零余子買ひにけり 喜田りえこ
大宇陀や縁先いっぱい零余子干す 曽根崇
【入選】
零余子落つ音にも時の静かさよ 関根千方
目をつけし零余子どこにも見当たらず 森永尚子
籠り居の余生つくづく零余子飯 升谷正博
むかご飯小三治の死を惜しむべく 西村麒麟
零余子取るこぼれたものはそのままに 澤田美那子
霧を抜けまた霧に入る八合目 木下洋子
摘むよりもこぼるる数の零余子かな 金澤道子
みちのくのくがねのやうな零余子飯 園田靖彦