古志金沢ズーム句会(2021年9月19日)
第一句座
当季雑詠
・鬼川こまち選
【特選】
水澄むや殊に小瓶の加賀の飴 稲垣雄二
はるかまで来る心地や曼珠沙華 梅田恵美子
太陽がゆき人間がゆく枯野かな 長谷川櫂
沖縄や真くれなゐなる大花野 玉置陽子
シテ去りてこの世に一つ捨扇 篠原隆子
鯔飛んで醤油工場の煙突二本 山本桃潤
新米や乙女さざめくごとくあり 長谷川櫂
【入選】
柘榴の実我が一生の味もまた 田中紫春
長き自粛花野に心遊ばせて 氷室茉胡
葛あらし崖の奈落の果てまでも 佐々木まき
マンホールのたうちまわる秋出水 中野徹
からからと笑ひ転げる栗の毬 趙栄順
みほとりのものみな白し蛇笏の忌 玉置陽子
ぬくき穴探してをるや秋の蛇 趙栄順
どうしようもなきふたとせよ栗を剥く 花井淳
月にぬれ秋の簾となりにけり 篠原隆子
声あらばすさまじからん鮭の簗 酒井きよみ
野辺に佇つ耳で数へる虫の声 清水薫
さざ波へあとひと尾根ぞ旅の鴨 篠原隆子
雁来月朝顔小さく小さくなり 密田妖子
山門の内は一面萩の海 高橋慧
暮れてなほ席入りを待つ今日の月 宮田勝
・長谷川櫂選
【特選】
どうしようもなきふたとせよ栗を剥く 花井淳
声あらばすさまじからん鮭の簗 酒井きよみ
蟋蟀や眼つむればなほ激し 梅田恵美子
【入選】
歌子さんと笑ひあひし日々花木槿 近藤沙羅
天地の神を宿して今年米 清水薫
夕顔や俤のごと二つ三つ 稲垣雄二
まつはりて人肌恋し秋の蠅 酒井きよみ
盥ほどの田も豊作や千枚田 稲垣雄二
雪近き山のしづけさ鮭のぼる 酒井きよみ
十六夜やたつきの灯消したまへ 安藤久美
ぬくき穴探してをるや秋の蛇 趙栄順
恋の句は君にまかさん古酒新酒 泉早苗
ふるさとの名もなき村の今年米 安藤久美
月にぬれ秋の簾となりにけり 篠原隆子
特選は遠し遠しと法師蝉 氷室茉胡
今年米今年は吾子のお食ひ初め 安藤久美
シテ去りてこの世に一つ捨扇 篠原隆子
鯔飛んで醤油工場の煙突二本 山本桃潤
短冊の重たくなりぬ秋風鈴 田村史生
わがままな老人ばかり秋の空 安藤久美
第二句座
席題 「葉鶏頭」、「天の川」
・鬼川こまち選
【特選】
星の名の茫茫たるや天の川 泉早苗
屏風よりこぼれてゐたり葉鶏頭 長谷川櫂
葉鶏頭唐紅にはじまりぬ 長谷川櫂
アフガンの空にもかかれ天の川 趙栄順
織りすすむ錦の帯や天の川 花井淳
【入選】
夫以外話さぬ一日はげいとう 高橋慧
明けてゆく彼方へはるか天の川 安藤久美
蜘蛛の囲に主はおらず天の川 田村史生
葉鶏頭しんじつ炎えてゐたりけり 長谷川櫂
目の前のことやりぬかん葉鶏頭 近藤沙羅
境界は葉鶏頭なり貸農園 密田妖子
ささやかな夢を形に天の川 高橋慧
天の川黙食てふ箱の中 花井淳
・長谷川櫂選
【特選】
天辺に風遊ばせて葉鶏頭 佐々木まき
銀漢やはやさびさびと競技場 篠原隆子
天の川晩学なれどくさらずに 玉置陽子
【入選】
夫以外話さぬ一日はげいとう 高橋慧
明日のぼる頂上険し銀河濃し 酒井きよみ
星の名の茫茫たるや天の川 泉早苗
獅子のごと風にふりさけ葉鶏頭 佐々木まき
母のゐる軒端珊珊葉鶏頭 宮田勝
アフガンの空にもかかれ天の川 趙栄順
天の川くっきり見ゆとシカゴより 密田妖子
かまつかや村の奢りの持仏堂 篠原隆子
境界は葉鶏頭なり貸農園 密田妖子