古志広島ズーム句会(2021年9月5日)
第一句座
・矢野京子選
【特選】
横たはる佐渡を一刀天の川 岡村美紗子
月光とふれあうて鮎さびにけり 長谷川櫂
秋扇風をたたんで膝の上 城山邦紀
木漏れ日や葡萄の籠に猫ねむる 飛岡光枝
【入選】
じつくりと醸す葡萄酒句作りは 大場梅子
薄絹を剥ぐや白桃まるはだか 菅谷和子
かなかなか夕風の音かかなかなか 河本秀也
天の川かはのむこうは明日かな 長井亜紀
味噌汁や南瓜入れれば母の味 安藤文
秋潮の遠ざかりゆく枕かな 斉藤真知子
新生姜飯に炊き込む雨もよひ 神戸秀子
秋風やかの世で合はす貝合せ(山田歌子さん)長谷川櫂
草の露この世へ光投げかける 夏井通江
旅立ちや猪一家に見送られ 林弘美
かあさんはここに居ますよ今日の月 高橋真樹子
・長谷川櫂選
【特選】
この雨の中を戻りし茄子の馬 矢野京子
ぽつねんと砂の城ある九月かな 大場梅子
木漏れ日や葡萄の籠に猫ねむる 飛岡光枝
【入選】
冬瓜を誰彼撫でてゆきにけり 斉藤真知子
稲光しんかんと夜の競技場 神戸秀子
おのごろのにがり滴滴新豆腐 菅谷和子
秋風の吹き初めにけり猫の国 飛岡光枝
山羊の乳飲みし記憶や秋の空 夏井通江
抱きついて泣く木は夜の枯れ柏 岡村美紗子
薄絹を剥ぐや白桃まるはだか 菅谷和子
精霊船あと追うてくる真暗闇 米山瑠衣
味噌汁や南瓜入れれば母の味 安藤文
晩夏光海より碧いシーグラス 丸亀葉菜子
秋扇風をたたんで膝の上 城山邦紀
聞きなれてなお懐かしき虫の声 ストーン睦美
スランプと言ひて西瓜の種飛ばす 石塚純子
棄てられし民のあはれや威し銃 大場梅子
母の手を引きし昔や墓参り 河本秀也
いつまでも変はらぬ政治秋暑し 安藤文
句友との十年一日秋高し 米山瑠衣
第二句座(席題:曼珠沙華、鰯雲)
・矢野京子選
【特選】
あるときは心のなかに曼珠沙華 長谷川櫂
我が知る言葉幾つや鰯雲 斉藤真知子
菩薩からたちまち夜叉へ曼珠沙華 大場梅子
【入選】
アフガンの女すつくと曼珠沙華 神戸秀子
パラマラソン伴走とゴールやいわし雲 大平佳余子
越後いま黄金の海や鰯雲 長井亜紀
東京の夜熱まだのこり鰯雲 飛岡光枝
亡命ののち伝わらず鰯雲 神戸秀子
・長谷川櫂選
【特選】
鰯雲佐渡の大空ひつそりと 安藤文
東京の夜熱まだのこり鰯雲 飛岡光枝
亡命ののち伝わらず鰯雲 神戸秀子
【入選】
いわし雲老いては妻に従はん 大場梅子
くわんおんの宝珠開かば曼珠沙華 大平佳余子
さまよへる湖のごと鰯雲 高橋真樹子
ぴよんぴよんと猫渡りゆく鰯雲 米山瑠衣
昼月の下を歩めば曼珠沙華 矢野京子
曼珠沙華土間のバケツに入れしまま 斉藤真知子