古志金沢ズーム句会(2021年8月29日)
第一句座 当季雑詠
・鬼川こまち選
【特選】
づたづたの国へはるばる鴨来る 梅田恵美子
黙祷のかひなにタトゥー終戦忌 田村史生
梶の葉の詩片いきいきここのそじ 宮田勝
菓子を手に戦争を聞く地蔵盆 稲垣雄二
ばつたんこ打つや一天かきくもり 宮田勝
時は杼の滑る速さや星祭 稲垣雄二
籐寝椅子安らかな死のあるごとく 長谷川櫂
【入選】
老僧の頭並ぶや南瓜畠 稲垣雄二
金胡麻や牛一頭と交換す 篠原隆子
崩れても崩れてもなほ雲の峰 長谷川櫂
蜩を失はれたる時の栞とす 長谷川櫂
父と子に約束老いず大文字 安藤久美
大花火大空襲を語られし 酒井きよみ
かまきりの太刀風おこる無辺かな 宮田勝
大人にも泣きたき日あり桃すする 趙栄順
ひと日ずつ命を譲る花木槿 密田妖子
利酒の舌は健在生身魂 氷室茉胡
それぞれによき臍持ちて昼寝かな 安藤久美
今ごろは山蘆の桃の香しき 越智淳子
大の字になれぬ火床や大文字 近藤沙羅
白桃や上辺の傷の浅からず 佐々木まき
大空が渚となりぬ鱗雲 高橋慧
・長谷川櫂選
【特選】
月の夜のゆめに入りきて木賊刈 篠原隆子
逆らひし長き歳月墓洗ふ 氷室茉胡
川風や笯をかへしては西瓜舟 篠原隆子
【入選】
冷奴影を作るや秋立つ日 山本桃潤
楽しげにいつもの話生身魂 梅田恵美子
づたづたの国へはるばる鴨来る 梅田恵美子
踊笠ことしも土間に掛けしまま 泉早苗
秋暑し年一円の利子通知 氷室茉胡
バロックの闇息づけり鶏頭花 玉置陽子
朝刊に友の一句や涼新た 近藤沙羅
川上は紙漉の村棉の秋 玉置陽子
八月や盲の蝶がさまよひぬ 玉置陽子
それぞれによき臍持ちて昼寝かな 安藤久美
日に焼けて秋の扇となりゐたり 田村史生
第二句座
席題 「竹伐る」、「色鳥」
・鬼川こまち選
【特選】
色鳥の覚へなきこえ大拙館 泉早苗
色鳥の一木にして祭めく 田村史生
すつぱりと竹伐れば竹さやさやと 安藤久美
色鳥や泰平の縁に腰かけて 稲垣雄二
【入選】
竹伐や笛の調べの浅野川 中野徹
くれなゐの紐をしるべや竹を伐る 篠原隆子
竹伐つて山下りきたる男かな 梅田恵美子
代々の男たくまし竹を伐る 趙栄順
竹伐るや星屑帰る処なし 玉置陽子
竹伐るやあたりの風をもろともに 近藤沙羅
・長谷川櫂選
【特選】
わが家の雀に交じる色鳥よ 稲垣雄二
代々の男たくまし竹を伐る 趙栄順
一節を花籠とせむ竹を伐る 山本桃潤
【入選】
竹伐れば心に光射しこみぬ 稲垣雄二
色鳥の覚へなきこえ大拙館 泉早苗
竹を伐る日差しばらばらこぼしつつ 佐々木まき
色鳥やつぎつぎに来てかしましき 近藤沙羅
くれなゐの紐をしるべや竹を伐る 篠原隆子
竹伐つて山下りきたる男かな 梅田恵美子
竹伐つて転がしてあり不破の関 梅田恵美子
色鳥のちさきが一羽枝の先 酒井きよみ
竹伐って積みあげてあり楽寿園 近藤沙羅
色鳥の好きなわが家の梅古木 佐々木まき
色鳥やけふ白山を越えきしか 趙栄順