古志鎌倉ズーム句会(2021年5月9日)
第一句座
•藤英樹選
【特選】
まだ動く新婚からの冷蔵庫 森永尚子
木漏れ日にまみれて遊ぶ鹿の子かな 澤田美那子
白牡丹水晶の水こぼれけり 長谷川櫂
はつなつや花は白から金色に 川村玲子
【入選】
一木をしめあげのぼるすひかづら 川村玲子
夏みかん昔のままの酸つぱさよ 木下洋子
大皿に茗荷大葉や初鰹 田中益美
笑ふ嬰に父母も笑ふや更衣 木下洋子
その名佳し花はなほ佳し白雲木 金澤道子
勤勉が腕振つてゆく昭和の日 喜田りえこ
北斎の青を透かして心太 関根千方
•長谷川櫂選
【特選】
母の日や母はうるさきものと知れ 澤田美那子
寝過ごしてしまつた顔のはじき豆 澤田美那子
しんしんと地球に朝や夏木立 西村麒麟
【入選】
木の花の匂ひ重たし更衣 金澤道子
うかうかと黴の御殿の主たり わたなべかよ
顔ひとつ水中眼鏡に吸ひ付かれ 西川遊歩
咲き満ちてまさしくなんぢやもんぢやの木 金澤道子
緊急事態宣言中も浮巣見に わたなべかよ
まだ動く新婚からの冷蔵庫 森永尚子
更衣十年をまた新鮮に 葛西美津子
江東に潮の風ふく更衣 森永尚子
薫風やもはや用なき旅鞄 曽根崇
木漏れ日にまみれて遊ぶ鹿の子かな 澤田美那子
さ牡鹿に憂さのはじめの袋角 澤田美那子
第二句座 (席題:昼寝覚 、代田)
•藤英樹選
【特選】
一面の代田のゆきつく日本海 森永尚子
飯なにとすぐ言ふ夫の昼寝覚 長井はるみ
枝先に雨の名残や昼寝覚め 金澤道子
夕暮れにまた一巡りする代田 澤田美那子
一生のこと何もかも代田べり 長谷川櫂
【入選】
大代田富士の全容映しけり 長谷川櫂
鯉と大河をおよぎつくして昼寝覚 川村玲子
朝の日に水閑もれる代田かな 葛西美津子
天涯の崖から落ちて昼寝覚 川村玲子
代田づくり機械にまかせ涎れ牛 神谷宣行
代を掻く息荒々と三歳馬 長井はるみ
一村の沈むばかりの代田かな 曽根崇
西国のまん丸き山代田かな 藤原智子
•長谷川櫂選
【特選】
けぶる如五月の雨の代田かな 澤田美那子
たましひのひるがえりけり昼寝覚 川村玲子
夕暮れにまた一巡りする代田 澤田美那子
【入選】
我といふ役にも飽きて昼寝かな 関根千方
飯なにとすぐ言ふ夫の昼寝覚 長井はるみ
天涯の崖から落ちて昼寝覚 川村玲子
田水張る白山颪まだつめた 藤英樹
しづかさを探しては猫また昼寝 関根千方
つぎつぎと水張られゆく代田かな おほずひろし
羽越線代田の上を滑りゆく 藤英樹
昼寝覚小さき蟹が歩きをり 西村麒麟
空うつすしずかな代田あるばかり 仲田寛子