古志広島ズーム句会(2021年5月2日)
第一句座
・矢野京子選
【特選】
卯波さ波国ぢゆうが知る宮の恋 神戸秀子
行住坐臥わけても昼寝大事かな 長谷川櫂
雑草といふは私ぞ萌ゆるもの 岡村美紗子
役をへしおもちやいつぱい子供の日 菅谷和子
【入選】
せんべいを食ふ間に触れん袋角 菅谷和子
なぜなぜと子にまとはるる目借り時 神戸秀子
ふたりには余るコロッケ昭和の日 ももたなおよ
一匹は離れてゆきし蟻の列 斉藤真知子
牡丹散る己が縛りを解き放ち 河本秀也
夏服のみづみづしきや膝小僧 長井亜紀
花蜂の迷路めぐりよ藤の棚 ももたなおよ
茄子漬けを作るつもりの苗を買ふ 飛岡光枝
掛け香やあるかなきかのかをりこそ 菅谷和子
鯉のぼりその日泥より赤ん坊 石塚純子
種蒔く日軍師となりて機を読まん ストーン睦美
少し早おすが葵祭の軸掛けて 原京子
蒸し上げて五月の薫る柏餅 大平佳余子
・長谷川櫂選
【特選】
歌ひつつ命真直ぐな草を取る 夏井通江
己が顔見たこともなき虎魚かな 斉藤真知子
噴水の止まつたままや天使像 飛岡光枝
【入選】
アスパラガスあらぬ方へと伸びゆけり 飛岡光枝
せんべいを食う間に触れん袋角 菅谷和子
ばさばさと青梅落とし嵐去る 大場梅子
餌をねだり浮き来るめだか夏に入る 原京子
花蜂の迷路めぐりよ藤の棚 ももたなおよ
茄子漬を作るつもりの苗を買ふ 飛岡光枝
初幟立てたぞはやう戻り来よ 矢野京子
登山靴夏の甲斐駒最後とす 岡村美紗子
藤浪のなみまなみまを鯉の口 大平佳余子
芍薬の開ききつたる立ち話 矢野京子
第二句座(席題:穂麦、青嵐)
・矢野京子選
【特選】
耳を切るゴッホの狂気青嵐 大場梅子
新婚や麦の穂かをる夫なりき 飛岡光枝
麦の穂や聞かせてくれよ風の声 米山瑠衣
【入選】
いつせいに麦の穂燃ゆるパンの国 大平佳余子
カンバスに仕上げの筆や青嵐 斉藤真知子
黄金の穂麦揺るるや開拓史 大場梅子
手に触れる麦の穂先の棘痛し 城山邦紀
青嵐吹き上げられて屋根は空 岡村美紗子
白山の風に黄金麦の波 菅谷和子
麦の穂やなほ開拓の志 飛岡光枝
麦の穂やもうすぐゴッホの絵のやうに ももたなおよ
・長谷川櫂選
【特選】
カンバスに仕上げの筆や青嵐 斉藤真知子
黄金の穂麦揺るるや開拓史 大場梅子
麦の穂や聞かせてくれよ風の声 米山瑠衣
【入選】
青嵐竹林われを襲い来る 林弘美
耳を切るゴッホの狂気青嵐 大場梅子
麦の穂やここも太古は海の底 菅谷和子
麦の穂やなほ開拓の志 飛岡光枝