古志広島ズーム句会(2021年2月7日)
第一句座
・矢野京子選
【特選】
道の先氷柱かがやく我が家あり 長井亜紀
凍星のひかり語らふ明日は晴れ ももたなおよ
荒海の冬を叫ぶや鰰漁 米山瑠衣
詩奏づる春告鳥に生れたし 谷眞理子
【入選】
探梅の中に母をり父のをり 大平佳余子
果てしなくまことの梅を探る旅 大場梅子
さえざえと身を研ぎ澄ます人であれ ももたなおよ
豆を打つ人も鬼なりおにやらひ 長谷川櫂
春の雲みたいにティッシュ散らすやや 夏井通江
山焼を見てきし眼しづめけり 斉藤真知子
ぬるむとや水に戻れぬ汚染水 長谷川櫂
境内の仏様なる雪だるま 河本秀也
紅梅や鈴ちりちりと猫戻る 飛岡光枝
・長谷川櫂選
【特選】
世界一寒き顔して自転車こぐ 矢野京子
水ぬるむ腰の曲がりし目高にも 原京子
立春や電車のなかの無表情 夏井通江
水餅の水かへて母眠りをり 長井亜紀
雪解け水ごうと飲み込む暗渠かな ストーン睦美
風船がゆく赤い屋根青い屋根 神戸秀子
籠り居の世を喜ばず日向ぼこ 高橋真樹子
舞初や平家の墓はただの石 河本秀也
【入選】
きれぎれの空多角形冬木の芽 夏井通江
早春のまぶしき波へ白子舟 斉藤真知子
嘴すいと逃るる魚や水温む 石塚純子
雪国へ嫁ぎ十年桃の花 飛岡光枝
水仙の花まつすぐに家守る 矢野京子
道の先氷柱かがやく我が家あり 長井亜紀
いのちかな退院の日の福の豆 城山邦紀
俳諧のまことの梅を探る旅 大場梅子
旧正や花丸四角あられもち 矢野京子
寒施行鎌倉山の子狸に 菅谷和子
いつの間に夫は寒がり雛あられ 神戸秀子
一菜はなくも一汁白魚椀 大平佳余子
湯湯婆の湯で顔洗ふ朝かな 米山瑠衣
第二句座(席題:木の芽、早春)
・矢野京子選
【特選】
小宇宙宿してをりぬ木の芽かな 谷眞理子
燦々とわがたましひに木の芽あり 長井亜紀
豊潤な靴の泥より春兆す 高橋真樹子
早春の空にへの字ありくの字あり ももたなおよ
ただならに世に出できたる木の芽かな 斉藤真知子
【入選】
わが屋根も濡れ早春のひかりかな 神戸秀子
窓の外日ごと変はる木の芽かな ストーン睦美
ひそやかに木々は芽を吹く神の森 菅谷和子
早春のひらりひらりと象の耳 斉藤真知子
早春の海やマスクをはづしけり 神戸秀子
早春や駆け下りていく遅刻坂 林弘美
山の子の詩の朗読や木の芽吹く 菅谷和子
・長谷川櫂選
【特選】
早春の海まで飛ばすオートバイ 矢野京子
【入選】
わが屋根も濡れ早春のひかりかな 神戸秀子
草履突つかけ母を探しに木の芽かな 岡村美紗子
早春や道にこぼれて魚籠の水 斉藤真知子
待ちかねて子鹿のかじる木の芽かな 神戸秀子
早春やひらりひらりと象の耳 斉藤真知子