古志鎌倉ズーム句会(2021年1月10日)
第一句座
•藤英樹選
【特選】
ねこ舌の三代揃ふ粥柱 升谷正博
ぽっぺんぺこぽん地球の悲鳴かな 升谷正博
死のやうなしづけさもまたお正月 森永尚子
生え揃ふ真白き乳歯初笑 曽根 崇
この朝を湯気ゆたかなれ大福茶 森永尚子
嫁となり母となりゆく正月よ 田中益美
輪郭の外無限なる福笑ひ 西村麒麟
【入選】
カトレアの花となりつつ莟かな 長谷川櫂
年々に骨がちとなる河豚汁 川村玲子
にらみ鯛尾鷲の潮にのりて来よ 喜田りえこ
底冷の底の底なる靴の音 葛西美津子
歌留多とる姫の黒髪滑らせて わたなべかよ
寒紅の濃いくれなゐがマスクへと 仲田寛子
氷柱打つ朝日まばゆき門口に 長井はるみ
あたらしき雪を冠りて初比叡 木下洋子
•長谷川櫂選
【特選】
閻王の炎のかほへ除夜詣 関根千方
二つ目も大きな餅や雑煮椀 西村麒麟
青空のゆるびはじめや凧 藤原智子
【入選】
ねこ舌の三代揃ふ粥柱 升谷正博
声立てて妻と二人や初笑ひ 西村麒麟
七草籠大和島根の山河かな 澤田美那子
にらみ鯛尾鷲の潮にのりて来よ 喜田りえこ
大粒や葉もあをあをの冬苺 葛西美津子
餅番の手持ちぶさたや二つきり 長井はるみ
この朝を湯気ゆたかなれ大福茶 森永尚子
老いたればいのち算用なづな粥 園田靖彦
底冷の底の底くる靴の音 葛西美津子
桜湯の花に占ふ今年かな 葛西美津子
鷽替へてぎよろ目の鷽が手の中に イーブン美奈子
第二句座(席題=冬将軍、餅花)
•藤英樹選
【特選】
冬将軍ひとなき街をまっしぐら おほずひろし
餅花や母待つ家に帰りたし 喜田りえこ
あるたけのもちばな飾れ疫払い 仲田寛子
鎌倉はひつそりとして冬将軍 田中益美
【入選】
わいわいと来て吊るしゆく餅の花 葛西美津子
揺れてゐるだけでゆたかやもち花は 澤田美那子
餅花や闇にうち寄す波の音 川村玲子
餅花や戯れ猫の伸び上がり 西川遊歩
いつしかにどかと陣張り冬将軍 金澤道子
餅の花鯛や小槌が囃しけり 葛西美津子
餅花や頬赤らめて母の酔ふ 升谷正博
•長谷川櫂選
【特選】
揺れてゐるだけでゆたかやもち花は 澤田美那子
餅花をわけてなつかし人の顔 川村玲子
餅花の揺るるを旅の思ひ出に 西村麒麟
餅花や闇うち返す波の音 川村玲子
餅花を覗きに来たる狐かな 藤英樹
餅花の揺れて双子の生まれけり わたなべかよ
【入選】
紅白の案配もよし餅の花 長井はるみ
餅花やひとあし先に待つ座敷 長井はるみ
わいわいと来て吊るしけり餅の花 葛西美津子
いざ給へ冬将軍の懐へ イーブン美奈子
古びたる農の暦よ餅の花 藤原智子
餅花や音におどろく大時計 森永尚子
冬帝の有無を言はさぬ空の青 吉田順子
冬帝の清しきまでの冷たさよ 関根千方
冬将軍大股で来てわが頭上 園田靖彦
鄙ぶりや餅花だけの一間なる 森永尚子
餅花や錦市場に寄つて行こ 木下洋子
くら闇に餅花揺るるめでたさよ 曽根崇
神棚に餅花一枝揺れゐたり 喜田りえこ
猛り狂ふ波をつらねて冬将軍 升谷正博
あるたけのもちばな飾れ疫払ひ 仲田寛子
竈の火いつも真つ赤ぞ冬将軍 仲田寛子
餅の花鯛や小槌や囃しけり 葛西美津子
餅花や頬赤らめて母の酔ふ 升谷正博
餅花の揺るる小部屋に宵寝かな おほずひろし
鎌倉はひつそりとして餅の花 田中益美