仙台ズーム句会(2020年11月22日)
第一句座
・長谷川冬虹選
【特選】
死について考へてゐる放屁虫 石原夏生
山芋や考古学者のやうに掘る 金谷 哲
みちのくにオリオンの歌聴きに来よ 平尾 福
雪吊りやひかり千本束ねたり 武藤主明
隣人を驚かしたる大嚔 平尾 福
【入選】
太ぶととむらさき大根奥会津 甲田雅子
竹林の竹あをあをと氷りけり 長谷川櫂
青首の大根一本残る田よ 服部尚子
惜命の杖こだまする花野かな 鈴木伊豆山
熊の来て空の匂ひを嗅ぎにけり 平尾 福
小春日の北欧家具の木目かな 森 凛柚
蟷螂の枯れて野を食ひ風を食ひ 石川桃瑪
若き日の一途なる目をマスクかな 長谷川櫂
分校を埋め尽くさんと黄落す 武藤主明
引き籠る苦楽を語れ鬼の子よ 石原夏生
・長谷川櫂選
【特選】
木の葉髪一本ごとに惜しみけり 那珂侑子
冬晴れの宇宙にひびく杵の音 宮本みさ子
蓑虫やおのが稼ぎの蓑の中 上村幸三
みちのくにオリオンの歌聴きに来よ 平尾 福
凩やしばし休ますペンの先 川辺酸模
【入選】
窓際の猫と目が合ふ小春かな 金谷 哲
朝の水飲めば冬空身のうちに 及川由美子
湯冷めして会心の句を忘れけり 辻奈央子
縄飛びの子もその影も宙に浮く 金谷 哲
惜命の杖こだまする花野かな 鈴木伊豆山
死について考へてゐる放屁虫 石原夏生
コロナ禍を横目に蝿の日向ぼこ 川辺酸模
小春日の北欧家具の木目かな 森 凛柚
雪吊りやひかり千本束ねたり 武藤主明
朴落葉子どもが拾ひ仮面とす 佐藤和子
全力で生きて愛せよ冬りんご 谷村和華子
恋人は磁石のごとくクリスマス 森 凛柚
もの言へる自由嬉しや冬木の芽 川辺酸模
隣人を驚かしたる大嚔 平尾 福
第二句座(席題=千鳥 蕪 炬燵)
・長谷川冬虹選
【特選】
磯千鳥風に抗ひ転げつつ 上 俊一
風の日の諍いおさむかぶら蒸し 服部尚子
大禅は大愚に似たり大蕪 長谷川櫂
頭空つぽにする時間炬燵かな 森 凛柚
執着を捨てて蕪のごとくあれ 石原夏生
【入選】
海近く千鳥の声や魂を呼ぶ 甲田雅子
夕映えの国引きの浜千鳥鳴く 青沼尾燈子
千枚に漬けこむ蕪の寒さかな 鈴木伊豆山
かぶら漬け振る舞ひて君帰すまじ 辻奈央子
友二人逝きて九年浜千鳥 川村杳平
交りは水より淡き蕪かな 長谷川櫂
・長谷川櫂選
【特選】
千枚に漬けこむ蕪の寒さかな 鈴木伊豆山
被災地の蕪一束を浅漬けに 金谷 哲
さらわれし千鳥をもどせ寄する波 服部尚子
千鳥すだく声飛び散りぬ三番瀬 石川桃瑪
蕪汁出せば機嫌のよい男 伊藤 寛
みちのくに名酒その名も浜千鳥 石原夏生
妻の味むすめが作る蕪汁 川村杳平
【入選】
句会果て少し悔しき蕪汁 長谷川冬虹
大学子横座に眠る炬燵かな 佐伯律子
毀誉褒貶動ずるなかれ大蕪 長谷川冬虹
夕映えの国引きの浜千鳥鳴く 青沼尾燈子
掘炬燵ぬくもり残す朝かな 阿部けいこ
深々と炬燵に夢を見る子かな 伊藤 寛
磯千鳥風に抗ひ転げつつ 上 俊一
蕪洗ふいつになつても親は親 佐伯律子
かぶら漬け振る舞ひて君帰すまじ 辻奈央子
焦りたる頭の中千鳥走り回る 森 凜柚
ことこととやがて透明蕪かな 谷村和華子
水切りの石に飛び立つ川千鳥 佐伯律子
いつからか常の寝床の炬燵かな 上 俊一
友二人逝きて九年浜千鳥 川村杳平
車置いて千鳥の浜を歩きけり 伊藤 寛
ごろ寝して酔ひの深まる炬燵かな 川辺酸模
執着を捨てて蕪のごとくあれ 石原夏生
雪の来て蕪漬けるころ母の里 平尾 福
コロナ禍や一人ぼつちの掘炬燵 武藤主明
闇の瀬へ声のこぼるる浜千鳥 石川桃瑪
三が日だけの炬燵と決めてをり 那珂侑子
この年を振り返りゐる炬燵かな 青沼尾燈子