古志広島ズーム句会(2020年11月1日)
第一句座
【特選】
乳張りて母猪は檻の中 米山瑠衣
瓜坊も母を慕ひて檻の中 米山瑠衣
蓮根は真白き母のふくらはぎ 伊藤靖子
雪虫の中を行かねばならぬかな 高橋真樹子
けふだけの顔が鏡に秋の暮 斉藤真知子
大枯木オラショ唱へて三百年 百田直代
蓑虫の嘆きを聞いてやりにけり 斉藤真知子
【入選】
羊羹の箱に虎飼ふ竹の春 神戸秀子
野の花のみな傾けり十三夜 矢野京子
もつれ行く蝶の残像秋の風 石塚純子
まぼろしの花をこころに牡丹焚 菅谷和子
初冬や日ざしの届く母の椅子 大平佳余子
ゆく秋や何千回と手を洗ひ 矢野京子
今年一番小さき満月茨の実 原京子
マスクして言ひにくき事言うてをり 斉藤真知子
第二句座(席題=嚔、神の留守)
【特選】
くしゃみしてわれは写楽の女かな 神戸秀子
鎌倉の草あをあをと神の留守 神戸秀子
神の留守雪の来たりし八ヶ岳 伊藤靖子
眠りつつ嚔してゐる赤ん坊 斉藤真知子
【入選】
くつさめや誰ともしらず行き交へる 上松美智子
きのふより強きこころや大嚏 菅谷和子
くさめして三千世界とどろかす 大平佳余子
くさめして思はず辺り見渡しぬ 原京子
くつさめやインフルエンザはたコロナ 上松美智子
だんだんと母に似てくる嚔かな 矢野京子
ちさき子のなんとかわゆきくしゃみかな 伊藤靖子
むずむずと大仏様も嚏せん 大場梅子
湖の岸に舟乾き神の旅 飛岡光枝
神の留守すべていちょうの葉は落ちて 伊藤靖子
神の留守ちち根の垂れる大銀杏 丸亀葉菜子
神の留守良き枯れ色の豆畑 米山瑠衣
神留守の社ひびかせ大嚏 菅谷和子
人の輪のさつと離るるくしゃみかな 城山邦紀
大仏と眼を合はせたる嚔かな 河本秀也
畑中に煙りあがるや神の旅 飛岡光枝