古志鎌倉ズーム句会(2020年10月11日)
第一句座
・藤英樹選
【特選】
南無金剛金木犀の香りけり 長谷川櫂
秋茄子の丸々とまた長々と 関根千方
学問の自由不自由鉦叩 木下洋子
壺あらば壺にもの言ふ秋の夜 森永尚子
旧仮名に辞書また開き玩亭忌 金澤道子
天晴れと秋の寝ころぶ浅間山 葛西美津子
日本語のうつろふ早さ玩亭忌 澤田美那子
朝寒や開きしままの「後鳥羽院」 越智淳子
【入選】
稲雀小さきバケツの田んぼにも 藤原智子
秋爽の息肋骨のすみずみへ 仲田寛子
ポケットに男の矜持玩亭忌 升谷正博
旅に出よと言はれ雀は蛤に 澤田美那子
行く秋や空に積れる浅間山 長谷川櫂
市振の月を心に月見かな 木下洋子
そこはかと色好みあり才一忌 園田靖彦
・長谷川櫂選
【特選】
うそ寒や汝の横に我の顔 関根千方
栃の実のこつんと落ちて玩亭忌 わたなべかよ
旧仮名や辞書また開く玩亭忌 金澤道子
天晴れや秋の寝ころぶ浅間山 葛西美津子
目の玉の水晶替へて月夜かな 関根千方
玩亭忌旧かなで出す弾劾書 喜田りえこ
我が影に意思の生まるる良夜かな 金澤道子
秋の日に溺れさうなり玩亭忌 藤英樹
そこはかと色好みありき才一忌 園田靖彦
【入選】
稲雀バケツの中の田んぼにも 藤原智子
玩亭忌秋の扇となりにけり 金澤道子
生きのびし市民文学玩亭忌 おほずひろし
秋爽の息肋骨のすみずみへ 仲田寛子
パソコンを閉ぢておやすみ星月夜 田中益美
何本も長薯持たせてくれるなり 長井はるみ
秋が目をぱちりと開ける朝かな 森永尚子
金木犀白いマスクを外しけり 田中益美
渋柿の甘柿となる一夜かな 園田靖彦
園児らの背に頭に木の実降る 園田靖彦
求愛もマスク越しかや玩亭忌 木下洋子
床に就く前に詞華集玩亭忌 越智淳子
幼きは木の実ひとつをお守りに 越智淳子
柿の葉の色づき初めぬ玩亭忌 藤原智子
波寄するごとく声援運動会 藤原智子
至福なる一人の時間夜長かな 吉田順子
手を添へて神のよりしろ案山子抜く 仲田寛子
赤坂に連句の秋や玩亭忌 西村麒麟
旧かなに深き思ひや玩亭忌 わたなべかよ
第二句座
席題=放屁虫 、芋嵐
・藤英樹選
【特選】
愚かなる我に賢き放屁虫 わたなべかよ
放屁虫ゐさうと思ふやはりゐる 金澤道子
馬の眼は哀しく澄みぬ芋嵐 葛西美津子
けふの宿机の上に放屁虫 西村麒麟
芋嵐リュックひとつの一人旅 木下洋子
芋あらし青磁のやうなこの星の 関根千方
【入選】
放屁虫おどさぬやうに紙の端 イーブン美奈子
伊吹へと皆傾ぎゆく芋嵐 澤田美那子
慌ただし故郷去る日の芋嵐 越智淳子
俳諧は息ぞ間合ひぞへこき虫 西川遊歩
芋嵐護符の貼られし農具小屋 曽根崇
民草はなんのと立てり芋嵐 園田靖彦
りつぱなり渾身の屁のへひり虫 森永尚子
一片の雲を払ひて芋嵐 葛西美津子
・長谷川櫂選
【特選】
畑ごとふつとびさうや芋嵐 森永尚子
屁放虫生きとし生けるもの強し 園田靖彦
山寺やその名物にへこきむし 森永尚子
亀虫の姿の見えぬにほひかな おほずひろし
乾坤に芳香はなつや放屁虫 神谷宣行
【入選】
放屁虫おどさぬやうに紙の端 イーブン美奈子
放屁虫後ろの足をひよいと上げ 西村麒麟
愚かなる我に賢き放屁虫 わたなべかよ
弱虫に生きる術あり屁ひり虫 川村玲子
放屁虫ゐさうと思ふやはりゐる 金澤道子
芋嵐ただ一人なる旅をせん 吉田順子
民宿の床に鎮座やへひりむし 曽根崇
慌ただし故郷去る日の芋嵐 越智淳子
取り込める洗濯物に放屁虫 わたなべかよ
ひやひやと胸吹き抜けよ芋嵐 曽根崇
いたち罠がたがた鳴らし芋嵐 仲田寛子
この国の行方おそろし芋嵐 藤英樹
芋嵐沖の小舟の揺れ通し 仲田寛子
姿形美しくして屁ひり虫 澤田美那子
芋嵐骨壺に哭く喉仏 喜田りえこ
りつぱなり渾身の屁のへひり虫 森永尚子
けふの宿机の上に放屁虫 西村麒麟
貼りつきて四角い尻の放屁虫 長井はるみ
夜を光るへつぴり虫のみどりかな イーブン美奈子