古志鎌倉句会(2020年1月12日)
席題=大寒、水鳥
【大特選】
一花また一花と鶴が夢の中 美津子
白鳥は水の花なり争へる 伸子
そのひとり胸にをさめん年賀状 順子
【特選】
水鳥は水をまぶしみむかう岸 美津子
この庭の薄日の氷る水仙花 美津子
寒の水飲めば我が身は水の琴 秀子
沈丁の怒りの蕾はじけけり 秀子
猫ならば太祇が庵の炬燵猫 菊子
湯豆腐や差し向ふこの朴念仁 菊子
大寒や腕組みほどく謀りごと 邦紀
鎌倉や小さき山の初日の出 尚子
目の前に流れゆふべの浮寝鳥 光枝
大寒や口遊んでは六百句 梅子
初詣ふだん通らぬ段葛 侑子
冬薔薇一輪といふ見事さよ 京子
ほのかなる福藁の香や門に入る 怜
よぼよぼと来て朗々と謡初 英樹
【入選】
寒牡丹おのがこころを映すべく 秀子
母の杖挿さば芽吹かん花の春 秀子
ときめきや二つに折つて花びら餅 秀子
夢の世や岸辺にとほく浮寝鳥 秀子
一碗の雪を沸かして大福茶 光枝
雪片のマチスのダンスダンスダンス 光枝
水鳥のひとつとなりて流れけり 光枝
しづかさの湯気もたもたと葛湯かな 順子
庭楽し大地の色の初雀 順子
しづかなる三日の海と大富士と 侑子
水鳥のいろいろ居りて争はず 侑子
へうたんに紐色々や花の春 麒麟
揺れ揺れて数万本の福笹よ 麒麟
かけ声のはや負けてをり寒稽古 道子
モノレール初春の海見にゆかん 道子
読初や秘すれば花の世阿弥の書 ひろし
何を待つこころの色の七日粥 ひろし
初鴉声もさすがの隅田川 英樹
三越の母大好きな福袋 英樹
ぺたぺたと何の足跡沼涸るる 美津子
鏡餅くだかるる日を待ちしづか 怜
凍鶴の慟哭しんと雪の中 宣行
寒椿晴れてさみしき喉仏 一郎
追羽子や空の中から花一つ 幸三
はろばろと来て曾良眠る波の花 靖彦
初春の朝日に透くや猫の耳 伸子
アフガンへ破魔矢の鈴をりんりんと 邦紀