ネット投句(2020年5月15日)選句と選評
・あすはネット投句のスクーリング(今のところに年1度)です。間に合うよう選句しました。
・俳句を作ったら、それで通じるかどうか、必ず読み直してください。意味不明の句あまたあります。
【特選】
紫木蓮日を纏ひ日日変容す 01_北海道 芳賀佳子
馬ひとつ庭に飼ひたき五月かな 07_福島 渡辺遊太
・馬をひとつは変。一頭?
混沌の桶より一尾大うなぎ 07_福島 渡辺遊太
・桶に
考えてもみなかったバナナ洗ひけり 13_東京 岡 惠
・仮名遣い。
山海空いつぱい映せ白きシャツ 13_東京 森凜柚
山は富士海は黒潮新茶汲む 13_東京 神谷宣行
木洩日にまぎれてしまひ道をしへ 14_神奈川 金澤道子
顛末をしづかに見てる金魚かな 14_神奈川 三玉一郎
薫風や総身で磨く窓と床 14_神奈川 松井恭子
投函の手紙に入れる五月富士 14_神奈川 森川ヨシ子
蝮草に言ひ分のありこちら向く 14_神奈川 中丸佳音
・に、不要。
水切りを教ふる姉貴夏来る 26_京都 氷室茉胡
取替の効かぬ吾が脳袋角 26_京都 氷室茉胡
初幟立てたる地球まはりけり 27_大阪 古味瑳楓
・立てて地球は
新品の冷房の風褒めてをり 27_大阪 高角みつこ
すりこぎで叩いて開けぬ梅酒瓶 27_大阪 高角みつこ
・開ける
川底の緑深みて鯉病めり 27_大阪 山中紅萼
一本の穴子二人で昼の酒 27_大阪 齊藤遼風
高層の風に夢のせ鯉幟 28_兵庫 千堂 富子
薫風や網繕ふも舟の上 37_香川 曽根崇
憂きことの避けて通れず花茨 38_愛媛 豊田喜久子
ほたる舟言葉の河に遊びては 44_大分 山本桃潤
蟻あゆみ蟻たちどまり蟻かしぐ 46_鹿児島 大西朝子
新車には新車の匂い夏の海 46_鹿児島 大西朝子
春愁の鎧おもたき散歩かな 99_不明 安藤文
【入選】
叱られてレモンスカッシュ甘いこと 01_北海道 高橋真樹子
蛹より毛虫より嫌樺のはな 01_北海道 芳賀佳子
しばし待て汝の安らぎの日の泉 01_北海道 柳一斉
皇居いまセントラルパーク若葉風 01_北海道 柳一斉
ウイルスに負けぬ勁さの葉桜よ 04_宮城 長谷川冬虹
・勁さよ
切通抜ければ桐の花明かり 05_秋田 佐藤一郎
薫風や故山の奥の奥から来 11_埼玉 園田靖彦
著莪の花茂る近道とおりやんせ 11_埼玉 佐々木みほ
・とほりやんせ
滝壷や輪廻転生あるごとし 11_埼玉 佐藤森恵
白玉や人は会ふべし話すべし 11_埼玉 上田雅子
・人に会ひたく話したく
指ながき母の結びし粽かな 11_埼玉 上田雅子
病室に太平洋の五月波 12_千葉 若土裕子
・病室へ
メモ添へし桶に溢るる石竹よ 12_千葉 池田祥子
・へて
ひたすらに蕗剥く歳となりにけり 12_千葉 池田祥子
・りてゐき
天空の庭より高く夏燕 13_東京 稲垣京子
目標は卯の花垣や夜の散歩 13_東京 岡 惠
・卯の花垣よ
自転車に乗る度に見ゆ桐の花 13_東京 岡 惠
此の風を待つてゐたのだ夏近し 13_東京 市村さよみ
お神楽に乗って舞い散る楠落葉 13_東京 森徳典
・ひ
蟄居して妻と二人で初鰹 13_東京 森徳典
・二人の
窓の外へカーテンなびき五月来る 13_東京 森凜柚
直ぐ死なず居ついてしまふ金魚かな 13_東京 西川遊歩
豆の花また豆の花紀尾井町 13_東京 長井亜紀
母眠り静かになりて羽蟻飛ぶ 13_東京 長尾貴代
このシャツも何年目かと更衣 13_東京 楠原正光
蟻の列離るるもゐて何処まで 13_東京 堀越としの
鴉一羽翼もつれり青嵐 14_神奈川 越智淳子
・もつれり、は変。
横須賀線客は新樹の光のみ 14_神奈川 遠藤初惠
たんぽぽや齢百余の犬散歩 14_神奈川 遠藤初惠
てのひらに受く木洩日と山清水 14_神奈川 金澤道子
・受くる木漏れ日。と、を入れるのが散文精神。
木の花の匂ひ重たし道をしへ 14_神奈川 金澤道子
夫にも花束もらふ母の日よ 14_神奈川 原田みる
・夫からもらったのか、夫ももtらったのか、これでは不明。
百合の花一日かけてひらきけり 14_神奈川 三玉一郎
昃れば花びらたたみ芥子の花 14_神奈川 山本孝予
一滴の香油の水輪夏来る 14_神奈川 松井恭子
・香油に
コロナ禍や子供が炊いた豆の飯 14_神奈川 水篠けいこ
牡丹揺る牡丹色なるうれしさに 14_神奈川 中丸佳音
花冷えや斎屋(ゆーや)の湯煙揺れ捩じれ 14_神奈川 土屋春樹
麻酔覚め初夏の陽射しに番茉莉 14_神奈川 土屋春樹
今も尚牛の代掻き千枚田 14_神奈川 土屋春樹
・牛が代掻く
母の日やはれて繋がるオンライン 14_神奈川 那珂侑子
ざつくりと盛つて蛸豆ごはんかな 14_神奈川 那珂侑子
・蛸豆とは?
玉虫を拾つてみなに見せびらかす 14_神奈川 那珂侑子
健啖の妻ありがたや夏料理 20_長野 金田伸一
雨一夜嵩増す山の若葉かな 20_長野 大島一馬
夏近し空みるみるうちに海 20_長野 柚木 紀子
薔薇五月いじわるな人笑ひけり 21_岐阜 夏井通江
・いぢ
その男薔薇の刺繍のマスクして 21_岐阜 夏井通江
雨蛙とふいにぶつかるひんやりす 21_岐阜 夏井通江
院回る楠の大樹のこの若葉 21_岐阜 三好政子
消閑や夏川に亀釣る男 21_岐阜 三好政子
どんぐりになりたき孫と柏餅 23_愛知 稲垣雄二
・と? 煮え切らない態度の表明みたいなもの。
少年期茂りに怯へ終りけり 23_愛知 稲垣雄二
門灯の蚊柱構はず通りあれ 23_愛知 臼杵政治
いにしへの神を寿ぎ和布刈る 23_愛知 青沼尾燈子
田螺鳴く迦陵頻伽を祖と恋ひて 23_愛知 服部紀子
・茂吉の歌のなぞり?
新樹道ゆくや足音まで緑 23_愛知 服部紀子
日常に折目ありけり更衣 26_京都 佐々木まき
青嵐心揺さぶる毒舌も 26_京都 氷室茉胡
閉店をドアにお知らせ花樗 27_大阪 古味瑳楓
なにがしはまこと姦し薔薇の園 27_大阪 古味瑳楓
西瓜切るほどの暑さのはや来たる 27_大阪 山中紅萼
あたふたとスカイプ始む五月かな 27_大阪 木下洋子
恐る恐る跳んで飛べたり燕の子 27_大阪 木下洋子
新コロナなど知らぬ夫よ初鰹 27_大阪 澤田美那子
・など、不要。筍を茹でて狸の背のごとし 28_兵庫 加藤百合子
完成のパパのぶらんこおそるおそる 28_兵庫 藤岡美惠子
飛沫上げ網曳く漁船青嵐 28_兵庫 髙見正樹
鮎に串陽のあるうちの冷やし酒 29_奈良 喜田りえこ
セールスの髪のくろぐろ夏来る 29_奈良 田原春
夏シャツの口尖らしてドッジボール 29_奈良 田原春
トラクター代田の泥を県道へ 29_奈良 田原春
われも又黒潮の子初鰹 30_和歌山 玉置陽子
・子よ
栴檀の花や久女の空深く 33_岡山 齋藤嘉子
蚕豆を炒りてころがす掌 37_香川 丸亀葉七子
伸びあがり踊るがごとし胡瓜苗 37_香川 曽根崇
家中にひびく泣き声初端午 37_香川 曽根崇
麦笛を吹く前線の医師団へ 42_長崎 百田直代
片蔭り共に暮らして五十年 44_大分 山本桃潤
ふりふりと泳ぐ金魚や離縁状 46_鹿児島 大西朝子