ネット投句(2018日10日31)選句と選評
①やっと復調。
②取り合せ、安易。
【特選】
熱燗や癌細胞め死滅せよ 03_岩手 川村杳平
行けど行けどかの花野無し津波あと 07_福島 渡辺遊太
秋燈や妻の白髪も知らざりき 08_茨城 斉藤慎哉
風握る力もう無し芒の穂 12_千葉 森住昌弘
@掴む
踏まれてこそ轢かれてこそ銀杏の実 13_東京 安藤文彦
手のひらに地球をのせて秋惜しむ 13_東京 神谷宣行
すき透る骨の髄まで新走り 13_東京 長井亜紀
夏に買ひし帽子ぽつんと秋終る 14_神奈川 三玉一郎
「詩の職人」もよからむ花柊 20_長野 柚木紀子
@「」不要。
新しき空のはじめや松手入れ 23_愛知 稲垣雄二
下り簗一切の音なだれ込む 27_大阪 安藤久美
さらぼひて竹十文字捨案山子 27_大阪 古味瑳楓
@晒されて。ふつうの言葉で。
小魚のつついて遊ぶ崩れ簗 27_大阪 澤田美那子
秋深き故郷を恋ふ新羅琴 27_大阪 澤田美那子
@秋深し
老の白眉毛にのこる秋の風 27_大阪 齊藤遼風
あけびの実はじけて煙立つごとし 28_兵庫 加藤百合子
引力の形に葡萄みのりけり 28_兵庫 加藤百合子
霧深きコンテナヤード無限大 28_兵庫 加藤百合子
牡蠣筏八艘飛びで鬼ヶ島 37_香川 丸亀葉七子
軍鶏の目に老いの翳りや暮の秋 42_長崎 川辺酸模
冷まじきものの一つに女かな 42_長崎 川辺酸模
愚痴はもうおしまいにして栗ご飯 42_長崎 百田直代
@おしまひ
【入選】
秋の蝶羽震はせて交わりぬ 04_宮城 長谷川冬虹
ざくざくと靴音行きぬ秋の雨 07_福島 渡辺遊太
たくさんの案山子が囲む学校田 10_群馬 白石明男
はるかなる雲のはざまの秋の湖 11_埼玉 おほずひろし
@はざまに、はざまや
小春日や筆談の文字取り交はす 11_埼玉 園田靖彦
@文字→紙
百まではあと幾年やちゃんちゃんこ 11_埼玉 上田雅子
@幾年か
鴨群るるなるほどこれは鴨の陣 13_東京 柴田清栄
紅玉や水沢近しいわし雲 13_東京 松橋和也
@紅玉の
石臼をぐるりごろりと今年蕎麦 13_東京 西川遊歩
懐かしき恋のいざこざ枯蟷螂 13_東京 西川遊歩
升均す新米真白真四角に 13_東京 西川遊歩
大杉のこのくらがりに銀杏舞う 13_東京 太田直子
@舞ふ
雁渡り愛しき人は帰らざる 13_東京 長尾貴代
@雁渡し。この季語、再考を。
そぞろ寒根菜汁を作らんや 14_神奈川 越智淳子
@作らんか
遅刻ならいつそ逃げやう鵙日和 14_神奈川 高橋佳代
@逃げやう→休もう
真つ白な船を見送る丘小春 14_神奈川 高橋佳代
柿の実のもっさり落ちて草の中 14_神奈川 山本孝予
@もさりと
晩秋の雨音にゐて二度寝かな 14_神奈川 松井恭子
秋の空クレーン四基競いたり 14_神奈川 水篠けいこ
@競ひ
皿に置く福島の柿奈良の柿 14_神奈川 水篠けいこ
名はウーナ冬北斗攀じ上る爪 20_長野 柚木紀子
秋の雲大空に我はげまさる 21_岐阜 夏井通江
@季語再考。
甘き香やほたほたの火で煮るりんご 21_岐阜 三好政子
@甘き香、再考
ゆるぎなく肥りし鯖や秋の空 23_愛知 青沼尾燈子
@秋の空、最高
柳散るさてこれからのスケジール 26_京都 佐々木まき
秋の日やためらはず行く白い杖 26_京都 諏訪いほり
風を入れに帰る生家や野紺菊 26_京都 氷室茉胡
いにしへの都の石も秋の雨 27_大阪 古味瑳楓
土佐にをりよき酒の香や秋遍路 27_大阪 齊藤遼風
@にゐて
なにかしら跳ぶもの愉し花野道 28_兵庫 藤岡美惠子
古希にして四十肩とは牡蠣啜る 37_香川 丸亀葉七子
天に一つ水面にひとつ今日の月 37_香川 曽根崇
あらためておほきな地球ながれ星 38_愛媛 岡崎陽市
柿たわわここにも人の住まぬ家 38_愛媛 豊田喜久子
伏せる松立てる松あり後の月 38_愛媛 木下誠
自由とは自縛解くことちゃんちゃんこ 44_大分 山本桃潤
古希前の最後の一日秋惜しむ 44_大分 竹内幸一